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おっさんの俺が、処刑寸前の王女を嫁に貰ったがどうすればいい!?  作者: 渓夏 酔月
第四章 王女と聖剣の勇者

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40.ミディアナ王国

 結局、東に行くと言うフレイヤとわたし達とは、別行動をとることになった。


 夫がマディアから渡されたお金がまだ残っていたので、三分の一ほどをフレイヤに渡した。フレイヤのお金を見る目つきは酷かった。今にもよだれを垂らしそうだった。お金に苦労し過ぎると、女神といえどもああなってしまうのかと思った。過度の苦労はよくないわね。


 ミディアナ王国への道は、ずっとアクレイア街道を西進すればいい。もともとアルスべールの人々の発祥の地と言われる、アクレイアへの巡礼の道がアクレイア街道であり、その宿場町として栄えたのがミディアナの起源だ。


 わたし達はマディアのお金のおかげで良い宿に泊まり、快適な旅を送ることが出来た。思えば夫と出会ってからいろいろなところに行ったが、野宿や物置に泊まったりとロクなことがなかった。快適な宿に美味しい食事というのは本当に最高だ。


 夫には恥ずかしいから黙っていたけれど、新婚旅行のようで嬉しかったわ。


 ミディアナ王国に入ると、大勢の人達が行き交っていた。ここはアクレイア街道と南北に走る北國街道の交わる交通の要衝だ。お店の数も多く、たまにはショッピングもしてみたいわね。


 エドガー様は夫の元同僚とは言っても、今やミディアナ王国の国王陛下だ。紹介状も持たずに謁見など可能なのだろうか。


 やけに自信満々な我が夫がどうするのか、わたしもマルタ様も興味津々だった。しかしそれは驚くべき方法だった。


「エドガー国王の古い友人でミランって言います。エドガーいませんかね」


 我が夫は、王宮の門を守る衛兵にそう言った。


 子供が友達に会いに行くのとは訳が違う。そんなので会える訳がないとわたしが呆れていると、


「陛下から聞いています。どうぞミラン様!」


 と言って、衛兵はわたし達を王宮の中へと案内してくれた。


 こんな緩い王宮の警備があるなんて信じられなかった。エドガー国王陛下は我が夫の親友だったらしい。『名無し』とかいう残念な夫のあだ名も、エドガー様がつけたそうだ。似た者同士と言ったところなのだろうか。


 王宮の応接室にわたしと夫、それにマルタ様が案内された。


 夫はそわそわとして落ち着かず、旧友との再会をとても楽しみにしているようだった。


 マルタ様はもともとエドガー様とは仲が悪いらしく、つまらなそうにしている。


 我が夫がめずらしくウキウキしている様を見て、なんだかわたしもエドガー様に会うのが楽しみになってきた。


 応接室の扉が開いて、背の高いイケメン紳士が入って来た。若い頃はさぞかしモテたであろう感じだった。その紳士は我が夫を見ると、いきなり抱き着いた。


「ようミラン! 元気そうで何よりだ! 生きていたのなら連絡ぐらい寄越せよ」


「悪かったよエドガー。俺もお前が王様になったなんて知らなくてな」


 そうお互いに言い合う姿は、明らかに親しい者同士のものだった。わたしも見ていて嬉しくなる。


「そうだ、ミラン……実はお前に会って欲しい人がいるんだ」


 そう言うとエドガー様は少し表情をこわばらせ、後ろに向かって手招きした。


「何だよエドガー、お前のところにセシル様がいるって本当……」


 夫が急に絶句した。


 エドガー様の後ろに立っていたのは、三人の子供を連れた美しい女性だった。


「……ソ……ソフィ……」


「ミラン、あなたが生きていてくれて本当に良かったわ。今はわたし、エドガーと結婚して王妃なの。この子達を紹介するわ、わたしとエドガーの子よ」


 我が夫、ミランの最愛の人であるソフィ様は、そう言って微笑んだ。





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