0パーセント
同時刻、別の場所。
茨城県知事は地元の宇宙センターで、ホッとしていた。
やっと計算が終わったのだ。
コンピュータが導き出した数値は「0パーセント」。
宇宙空間を進んできていた三つの隕石、どれも地球に衝突することはない。
というのも、いきなり木っ端微塵に爆発したのだ。
しかも、三つの隕石が同時にである。
予想外の事態に、宇宙センター内はまだ落ち着かない。
隕石が爆発する直前に、その近くにいる「謎の飛行物体」を確認したのだ。
あれは何だったのか?
茨城県知事は考える。
あの飛行物体、昔話に出てきそうな茶釜の形をしていた。ほら、『分福茶釜』の絵本とかで見る、あんな感じ。
あれが現れて数秒後、三つの隕石が同時に爆発したのだ。
現在の地球人がつくるもので、あんなことは不可能だろう。まるで魔法でも使ったかのような、超高度なテクノロジーだ。あの飛行物体、たぶん異星人の技術ではないかと、個人的には思っている。
(でも、なぜ茶釜の形?)
とにもかくにも、隕石の危機が去ったのは事実。地球に衝突する可能性は「0パーセント」だ。
謎の飛行物体についての考察は、専門家のみなさんにお任せするとして、今は他に確認したいことがある。『フロンティア・オークション』の方はどうなっているのか。
一分ほど前に、長野県知事からメールが届いていた。
それによると、東京都の秘密兵器を止めることに成功したらしい。
最後は埼玉県知事が決めてくれたそうだ。証拠の映像が、メールに添付されていた。
そして今、オークションに残っているのは、首位の東京、二位のグンマ、三位の栃木。この三つだけだ。あとは「棄権」か「最初から不参加」。
したがって、東京、グンマ、栃木、この中から勝者が決まる。はたして、月面の海を手にするのは、どこになるのか。
たぶん東京だろうなと思いつつ、今回の『フロンティア・オークション』、各都道府県の入札履歴を、最初からチェックしていく。今後の参考になりそうな情報が、何かあるかも・・・・・・。
そんな作業をしながら、茨城県知事は秘書を呼ぶ。
おなかがすいたのだ。たしか、この前グンマ県知事からもらった『こんにゃく詰め合わせセット』が、ここの冷蔵庫にまだ残っていたはず。
その内の何品かを持ってきてもらった。
さっそくお皿にお箸を伸ばして、もぐもぐもぐ。
「お♪ このコンニャク、なかなかだね♪」
上機嫌になる茨城県知事。
お箸の先で、次のコンニャクに狙いを定めながら、
「さーて、今回のオークション、最終的な勝者は誰になるのかな♪」




