激闘(その五)
どちらの装甲艦にも、美少女のイラストが大きく描かれていた。
美少女は銀色の甲冑を着ていて、それには名札がついている。右の艦が「いばらき」で、左の艦が「かごしま」だ。
神奈川県知事と千葉県知事は直感する。山梨県知事や長野県知事と同じように、この二人も味方だ。
そう思うのと同時に、通信が届く。
「私たちが前に出て、盾になる!」
「だから、あとから付いてきて!」
やはり味方だ。
さらに二人の美少女は、神奈川県知事、千葉県知事、山梨県知事、長野県知事に対して、あるデータを送ってくる。
東京都の秘密兵器がある座標だ。要塞の扉をぶち破ったあとは、そこに向けて全力を叩き込めばいい。インターネットからの攻撃で、秘密兵器を仕留めるのだ。
「助かるぜ」
神奈川県知事と千葉県知事は感謝する。
「ここに駆けつけるってことは、隕石の予想進路、やっと計算が終わったんだな」
「・・・・・・まだだよ」
二人の美少女が不機嫌そうに言う。
「計算が終わっていたら、もっと大戦力で来てるよ。今はこれが精一杯」
とはいえ、さっきから流れてくる霧も、彼女たちの仕業らしい。敵の動きを遅くする上に、相手の体力ゲージを強制的に表示させるという。
「こうなる予感はしていたから♪」
「最低限の準備だけはしておいたのだ♪」
軽い口調で告げると、二隻の装甲艦が先行する。
すかさず要塞からの強烈な一撃が飛んで来るが、
「きかないよー♪」
「今のところはねー♪」
二隻の装甲艦が要塞への道を切り開いていく。本当に頼もしい存在だ。
ミッドナイトブルーの戦艦とコバルトブルーの戦艦は、緑色をした二隻の装甲艦、その真後ろにつく。
そこで見つけた。どちらの装甲艦にも、艦尾に赤い横線が表示されている。
「これは何だ?」
神奈川県知事と千葉県知事が尋ねると、すぐに答えが返ってくる。
「この装甲艦の体力ゲージだよ」
「それがゼロになったら、艦は消滅するから」
ここは電脳空間だ。現実ではなく、都庁のインターネット内部にある世界。
なので、艦が消滅するのに時間はかからない。多くの場合、一瞬で消える。
つまり、装甲艦の体力ゲージは、「戦艦が安全でいられる時間」も同じ。この体力ゲージがゼロになったら、次の瞬間から戦艦は要塞の攻撃にさらされる。
赤い横線は現在進行形で減り続けていた。
「私たちの艦で、要塞の至近距離までは導けると思う。そこから先の健闘を祈る♪」
「戦艦のお二方、火力面では当てにしているよ♪」




