激闘(その四)
艦は無傷で済んだものの、
「・・・・・・」
神奈川県知事と千葉県知事は絶句する。
今の一撃で、高圧縮したバリアの八割近くを削ぎ落とされてしまった。
艦を一旦後退させる。
これに対して、宇宙要塞は第二射を撃ってこなかった。
連発できない仕様なのか。
それとも、要塞から一定以内の距離に侵入した場合にのみ攻撃してくる、そんな設定になっているのか。
どちらにせよ、四人の県知事は焦る。今の攻撃、すさまじい破壊力だ。
しかし、こちらには時間がない。
こうしている間にも、東京都の秘密兵器が驚異の速度で連打し続けているのだ。早く止めないと、誰も追いつけなくなる。
「こうなったら一か八か、強行突入するか?」
千葉県知事が提案する。
それは一回限りの大博打だ。ハイリスクな作戦であり、おそらく成功率は高くない。その攻撃で要塞の扉を突破できなければ、このミッションは失敗に終わる。
しかし、他に手がないのなら・・・・・・。
こちらの艦が後退したことで、敵の増援部隊が波状攻撃を仕掛けてきた。
二隻の戦艦は慌てて迎撃を再開する。
ここでも、長野県と山梨県の二機が活躍した。
白い機体が敵を追い込み、黒い機体が狩っていく。
そんな二機のおかげで、この波状攻撃は凌げそうだが、
「まずいな」
神奈川県知事はつぶやく。
それだけでは勝てない。要塞の扉を、何としても突破しなければ・・・・・・。
「こんなことなら、こういう戦艦じゃなくて、防御重視の『装甲艦』で来れば良かったな」
千葉県知事がぼやいた。
だが、頭ではわかっている。装甲艦では火力が足りない。
要塞からの攻撃に耐えきったとしても、あの扉はかなり硬そうだ。
あれを打ち破るには、どうしても戦艦級の火力が必要になる。
しかも、一隻では無理だ。最低でも二隻は必要だろう。
つまり、自分たちのどちらかが撃沈された時点で、ゲームオーバーだ。
この直後、二人は戦場の異変に気づいた。
自分たちの後方から、宇宙空間に白いものが流れてきている。
「これは・・・・・・霧か?」
その量はどんどん増えていく。
そして、次の異変が現れた。
敵の動きが急に鈍くなったのだ。
自分たちの動きに変化はない。しかし、敵だけがはっきりと遅くなっている。これまでの半分のスピードだ。
「この霧が原因か?」
何が起きているのか、正確なことはわからない。
だが、これで戦況が大きく好転した。
さらに、敵の各量産機、その前に謎の横線が出現する。
あれは・・・・・・ひょっとして「体力ゲージ」か?
敵の量産機だけでなく、宇宙要塞の扉にも黄色の横線が出現している。ものすごい長さだ。
もしも、あれが本当に「体力ゲージ」なら、やはり戦艦級の火力が必要になる。
しかも、十分な威力の攻撃を叩き込むためには、要塞のすぐそばまで接近する必要があった。
その場合、さっきの一撃が障害になる。戦艦のバリアでは、要塞からの攻撃を防ぎきることはできない。
せめて、この場に防御に秀でた艦、たとえば「装甲艦」でもあれば、話は変わってくるのだが・・・・・・。
そう考えた瞬間、自分たちの後方から、何かが接近してくる。
神奈川県知事と千葉県知事は思わず目を疑った。
自分たちが欲しているものが、そこにあったのだ。
緑色の装甲艦! しかも、二隻!
謎の艦がこちらへと、猛スピードで突き進んでくる!




