表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グンマ県、海を買う  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/43

これは海を目指す戦い(その三)

 それは二重にじゅうの意味で衝撃しょうげきだった。


 どちらも『海なし県』ではない。


 ゆえに、事前じぜん調査ちょうさ一切いっさいしなかった。まさかのダークホース登場とうじょうだ。


 さらに、茨城いばらき県と鹿児島かごしま県は「一瞬いっしゅんで」首位しゅいに立った。


 通常つうじょうはあり得ない。『フロンティア・オークション』はボタン連打れんだによる入札にゅうさつだ。


 しかも、千分せんぶん一秒いちびょうまで計測けいそく可能だという。


 だから、最初のはやし勝負で、栃木とちぎ県「だけ」が一番乗りになった。千分の一秒まで一致いっちするのは、それほどきびしいのだ。


 なのに、画面上の入札にゅうさつ履歴りれきを見るかぎりだと、あの二県は「同時に」首位に立ったのである。


 入札はかく都道府県ごとのため、「茨城県」と「鹿児島県」とは別々になるはず。


 事実、パソコン画面にうつっているサラブレッドは、たしかに二頭にとうだ。二県で一頭ではない。


 何が起きているのかわからずに、グンマ県知事けんちじ沈黙ちんもくした。


 先ほどまではげしくり合っていた三県も、今は足を止めている。予想外の伏兵ふくへい出現しゅつげんに、少なからず動揺どうようしているようだ。


 一方で、茨城県と鹿児島県も足を止めている。『2000ポンディー』から前にすすもうとはしない。


 この『フロンティア・オークション』において、落札者らくさつしゃまるケースは、おもに次の二つだ。


 一つめは、「だれ追加ついかの入札をおこなわずに、一分間が経過けいかした」場合。この場合は、その時点で首位に立っていた者が落札する。


 二つめは、「ある入札者が十分間、首位を維持いじした」場合。この場合も当然とうぜん、首位の者が落札する。


 前者のルールがあるため、このまま画面を見ているだけで一分経過、というのが一番まずい。


 しかし、茨城県と鹿児島県がどうして? しかも、二県同時にだと?


「ひょっとしてですが・・・・・・」


 秘書ひしょが自信なさげに言ってくる。


「いや、でも・・・・・・考えすぎかも」


 何か思い当たることがあるらしい。


「気になることがあるなら、今すぐ言ってしいんだが」


「ひょっとしてですが、あの二県って、どちらも宇宙うちゅうセンターがありますよね?」


 それでグンマ県知事もピンとくる。


 前にたてばやし市をおとずれて、『分福茶釜ぶんぶくちゃがま伝説でんせつで知られるりん参拝さんぱいした。あのあとに視察しさつったプラネタリウムで、そんな話を聞いた気がする。茨城県の「つくば市」にある宇宙センターと、鹿児島県の「種子島たねがしま」にある宇宙センター。


「なるほど。あり得ない話ではないな。そのことが関係しているのかも」


 もしそうなら、宇宙開発の過程かていつちかった技術を、使ったのかもしれない。脅威きょういのハイテクノロジーだ。それで「二県同時」という状況じょうきょうが、実現じつげんしたのではないか?


 グンマ県知事はひとまず、『1ポンディー』を追加しておく。茨城県と鹿児島県の落札を阻止そしするためだ。


 あの二県が参戦さんせんしてきたとなると、オークションに出品しゅっぴんされているのは、宇宙開発において重要なしまなのか?


 だとすると、面倒めんどうなことになりそうだ。茨城県と鹿児島県、そう簡単かんたんには引き下がらないだろうし・・・・・・。


 ここで栃木とちぎ県も『1ポンディー』を追加した。それでいい。誰かが入札している限り、『一分間ルール』での落札をふうじることができる。


 とはいえ、『十分間ルール』のことを考えると、このままの状態じょうたいつづけるわけにもいかない。あの二県にわって、誰かが首位に立たなければ・・・・・・。


 グンマ県知事は入札ボタンを押す。今回も『1ポンディー』だ。もう少し様子ようすを見る。


 数十秒後、栃木県も動いた。追加の『1ポンディー』。


 今のところ、茨城県と鹿児島県は動かない。『2000ポンディー』で止まったままだ。


 だが、ずっと止まっているとは限らない。今は首位にいるから、動く理由がないだけだ。


 この状況、いかけるがわとしては、ギリギリまでつわけにもいかない。


 たとえば、のこり一分になって仕掛しかけても、それに合わせて相手も動き出す。


 そうなると、一分間のボタン連打勝負だ。


 今の内にもっと差をめておかないと、こちらが追いつくことができずに、あの二県のりが成功せいこうしてしまう。


 この局面きょくめん、できることなら、まず他の県に動いて欲しかった。


 茨城県と鹿児島県がどう反応はんのうするのか、先に見ておきたい。脅威きょういのハイテクノロジーを、使い続けるのかどうか。


 それによって、こちらの対応たいおうも変わってくる。


 グンマ県知事は入札ボタンを押した。今回も『1ポンディー』だ。自分から仕掛ける決心けっしんは、まだつかない。


 茨城県と鹿児島県が首位に立って、すでに五分が経過している。


 その直後だ。突然とつぜん、パソコンにメールがとどく。


「このいそがしい時に」


 メールをおくってきた相手を見るなり、グンマ県知事はいきんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ