表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/5

異端児

光と闇

「何が何でも世界一を獲る」

焦るマーリンズのフロント陣が動いた。翌年、球界に激震が走る。前年に23勝0敗、防御率1.56、WHIP 0.72という、野球の歴史を塗り替える成績でワールドシリーズMVPに輝いた怪物左腕、ギャレット・クローシェイ(29歳)を、7年2億ドルの超巨額契約で獲得したのだ。

シンプソン、A・カブレラ、そしてクローシェイ。メディアは彼らを「史上最強のトリプルエース」と呼び、街は狂騒に包まれた。

クローシェイの加入1年目、チームは破竹の勢いで100勝を挙げ、再び地区優勝を果たす。しかし、マウンドの裏側では、目に見えない亀裂が確実に広がっていた。

クローシェイは、この年も圧倒的だった。周囲の期待を嘲笑うかのように、2年連続のサイ・ヤング賞を獲得。メディアのカメラはすべてクローシェイに向けられた。

それを見たシンプソンの心の中で、何かが音を立てて崩れていく。

「俺がエースだ。俺がチームを勝たせる男でなければならないのに……」

シンプソンは狂ったように練習に没頭し始めた。誰の言葉も耳に入らなくなり、笑顔は消え、ストイックすぎるあまり周囲を威圧するようになった。彼は、自ら孤独の闇へと落ちていった。


【決裂のキャッチボール】

クローシェイ加入の2年目。夏のある日、運命の歯車が完全に狂う。

試合前のグラウンド。カブレラはいつも通り、グローブを持ってシンプソンに声をかけた。

「おい、シンプソン。キャッチボールしようぜ」

しかし、シンプソンはカブレラと目を合わせようともしなかった。

「……すまない。今日は別の奴とやる」

シンプソンは背を向け、若手投手の手を引いて離れていった。カブレラはその場に立ち尽くし、寂しそうに自分のグローブを見つめるしかなかった。

その夜の試合、先発したシンプソンはピリッとしなかった。ランナーを背負い、ベンチに戻ってきたシンプソンに、カブレラが配球のアドバイスをしようと歩み寄る。

「シンプソン、さっきのスライダーは少し高かった。次は——」

「うるさい! 引退間際のロートルが、俺に指示するな!!」

シンプソンが怒鳴り声を上げ、カブレラの胸ぐらを掴んだ。ベンチ裏は騒然となり、スタントンやホウイーツが必死に二人を引き剥がす。カブレラは怒るわけでもなく、ただただ悲しそうな目で、かつての「弟」を見つめていた。


【夏のデッドライン、そして解体】

関係修復は不可能だった。首脳陣は苦渋の決断を下す。

夏のトレードデッドライン(移籍期限)の当日。カブレラにシカゴ・カブスへの電撃トレードが通告された。

ロッカーの荷物をまとめるカブレラ。チームメイトたちが別れを惜しむ中、シンプソンは遠くのベンチに座り、スパイクの紐を結び直すふりをして、最後までカブレラを見ようとはしなかった。カブレラは一度だけシンプソンの背中を見つめ、何も言わずにマイアミを去った。

そして、不協和音の代償はすぐに訪れる。

その年のオフ、怪物クローシェイはわずか1年(契約上2年目終了時)でオプトアウト権(契約破棄)を行使し、「このチームには居づらい」と言い残して古巣シカゴ・ホワイトソックスへと電撃移籍してしまう。

トリプルエースは崩壊した。一人残され、ファンからも冷ややかな目を向けられるようになったシンプソンもまた、すべてを振り切るようにFA権を行使し、ニューヨーク・ヤンキースへと旅立っていった。

((((;゜Д゜)))))))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ