入学式 ①
今日は入学式だ。なんだか新しい日常がこれから始まるのだと思うと、ワクワクしてならない。
だってね、こういう入学式に参加するのはわたし、初めてだよ。
本の世界では学園生活って幾らでも見たことがあったけれど、実際に経験するとまた違う感覚になるよね。わたしは凄く朝からご機嫌だよ!!
そういえば入学式って、成績優秀な人が挨拶をするんだよね。基本的に王族や高位貴族の人が挨拶をすることが多いみたいだよ。そういうわけで今年の入学式では、王太子が挨拶するだろうって言われている。
たまに王族や高位貴族以外が挨拶をすることもあるらしいよ。
ただ王族が通うにもかかわらずそれ以外が挨拶をするとなると、悪い意味で目立ちそうだよね。
わたしはそういう嫌な目立ち方は嫌だなぁ。多分、成績優秀者の中でも挨拶を辞退する人もきっといるんだろうな。その方が平和だもんね。余程の理由がなければ目立とうとはしないんだろうな、皆。
平民って、権力者たちからしたら簡単にどうにか出来る存在だしね。わたしはなにか理不尽なことを言われてもパパとママが居るからどうにでも出来るけど。
というか学園内で何かあったら、学園長が全力でわたしのことを守ろうとはするとは思う。パパとママに対して恐れなどを抱いているらしい学園長はわたしに何かあることを凄く嫌がっている。
それにしても制服に身を包んだわたし、凄く可愛くて朝から嬉しくて仕方がなかったよ。
簪型の杖を身に着けるために、髪を少しまとめているんだよ。普段と違う髪型をしているわたしも、良いよねぇ。
入学式の会場へ向かうまでの間に、これまで挨拶をした生徒達から「可愛い」って言ってもらえた。
ちなみにネネちゃんとアル君が朝からわたしの住まう寮の前で待っていてくれていた。
アル君って、わたしが思っているよりもずっと人気者みたい。ネネちゃんのことを妹だと知らない女の子が睨んでいたりもしていたよ。ただ「アル兄様」って呼んでいるのを見て、察したみたいだけど。
ただ流石にわたしに話しかけてきた時は、周りの人たちの視線はちょっと凄かった。
同じ寮の子に、「アルバーノ様と知り合いなの?」と驚かれたぐらいだった。アル君、この学園も三年目なのに、あんまり女の子と話してこなかったみたい。
ちょっともったいないね。
こんなにも同年代の子が沢山いる中で、交流を狭めているのって経験出来るかもしれない楽しいことを逃しているということでもあるし。とはいっても、アル君は人の色とかが見えるから、人付き合いがしにくいんだろうけれど。
アル君ってもしかして学生のうちに経験出来る楽しいことをなかなかやっていないのかもしれない。となると、わたしがアル君の経験していないことを、一緒にやってみるのもありかも? わたしが誘ったらアル君、一緒に来てくれそうだよね。
「そういえばアル兄様って生徒会に誘われていたけれど断ったんだよね? それが正解だったね。そうじゃないとベルちゃんと一緒に遊ぶ時間なくなっていたかもだし。まぁ、私はベルちゃんを独占出来るならそれはそれでよかったけれど」
ネネちゃんがそう言いながら、アル君に話しかけている。
アル君は生徒会に誘われていたらしい。それだけ優秀なんだろうなと流石だなと思う。
「アル君、生徒会に誘われてたんだ。凄いね!」
「別に凄くはない。……今年から王太子殿下が生徒会長になる。ベルラ・クイシュインもだ。だからその関係で誘われたんだろう。ネネデリアもその内、誘われるかもしれないぞ」
「えー、嫌だぁ」
アル君にとっては、生徒会に誘われたことは特になんでもないことらしい。それにしても王太子殿下って、入学したばかりで生徒会長になるの? びっくりだね。
やっぱり王族の特権なのかなぁ。
王太子殿下は順当にいけば、このまま王様になるんだろうね。だからこそ、生徒会をやることって良い経験になるんだろう。
それにしてもベルラ・クイシュインとして生きているあの子も、優秀なんだろうな。そうじゃなかったら流石に生徒会にいきなり入ることになったら反発しそうだもん。
わたしはあの子のこと、寮で過ごしているうちに色々聞いた。使い魔面での問題は起こっていても、それ以上のことは特に問題ないんだって。
あの子も頑張っているんだなって思うと、良いことだなって思った。
「あ、でもベルちゃんが生徒会に入るとかなら、私も一緒に入るけど」
「私は平民だし、入れないと思うよ? それに学園生活中にやりたいこといっぱいあるもん。生徒会って忙しそうなイメージあるなぁ」
「そうだね。凄く忙しいって聞くよ。その分、生徒会活動を全う出来れば卒業後のステータスになるって聞いた。それをきっかけに求婚状が沢山届いた人も過去にはいるんだって」
「へぇ」
生徒会ってそれだけ特別な存在ではあるんだなって驚く。だってあくまで学生なのにね。
生徒会って結構自由に色んなことが出来る感じなんだろうか? うん、わからないけれど、聞いている限りは大変そう。
アル君って、大変なことでもそつなくこなすイメージだから生徒会に入っても問題なかったんだろうな。
「ねぇ、ネネちゃん、アル君。入学式って午前中だけでしょ? 終わったら学園内をぶらぶらするか、遊びにいったりしない?」
わたしがそう誘ったら、二人とも嬉しそうに頷いた。




