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入学式前、寮に入って、話しかけられる ⑦

 自分のことを好きだって言ってくれる二人のことをわたしも好ましくは思っている。わたしはベルラ・クイシュインの身体から追い出されたこ頃は、誰もわたしを好きじゃないんだって勝手に思い込んでいた。でもそうじゃなかったんだ。あの頃のわたしのことを探してくれた人が居たんだって、それはわたしにとって嬉しいことではあった。



 わたしはネネちゃんやアル君のことをちゃんと知っているわけじゃない。でもわたしのことを大切にしてくれようとしていることは確かなのだ。だからこれからもっと二人と仲良くなりたかった。



「ベルちゃん……! 嬉しい!! わたしね、ベルちゃんに何か言ってくる人が居たら全力で守るからね? これでも伯爵令嬢だから、ちょっとした影響力はあるんだから」

「ベルと仲良く出来るのは嬉しい。俺はずっとベルを見ていたいから」

「アル兄様! 私の方がベルちゃんのことをずっと見てたいの!! あ、そういえばベルちゃんの絵も私達持っているけれど、返した方がいい?」




 ネネちゃんとアル君がそんな会話を交わしている。うん、仲良しだね。それにしても絵を持っているってどういうことだろう?

 不思議に思っていると二人が説明をしてくれた。



「ベルを見かけて、ベルラ様だと思った後に売ってある絵を見つけて買ったんだ。……気持ち悪く思うかもしれないけれど、俺達はその絵をよく見ていた。いつかベルに会えたらって思って……よりどころにしていたというかなんというか」

「もちろん、ベルちゃんが嫌だって言ったら苦渋の判断だけど、返す」




 そう言いながら二人ともわたしの顔色をうかがうような様子を見せる。それを見ておかしくなった。



 この二人って本当に、わたしのことが大好きなんだなって思った。わたしに嫌われたくなくて、こんなに必死なんだなって。

 絵を大切にしていて、よりどころにしていたなんてびっくりだけれども――嫌な気持ちはない。

 描いてもらったわたしたち家族の絵を二人が大切にしてくれているんだなって、不思議な感覚。




「持っていたままで大丈夫だよ? 二人ともわたしのことが大好きなんだね? ありがとう。絵で描かれているわたしも、実物と同じぐらい可愛いでしょ?」


 可愛く描いてもらえたんだって、自慢するように笑いかける。

 二人はすぐに笑顔になった。




「ええ。絵の中のベルちゃんも凄く可愛かったの!! 見ているだけで幸せな気持ちになっていたけれど、実物の方が凄く可愛い。絵だとベルちゃんの表情変わらないけれど、実物のベルちゃんって表情がころころ変わって、そう言う所は昔と変わらないなって思ったの」

「絵だと色は見えないけれど、父親に愛されてベルが穏やかに暮らしているんだなと分かったから絵を見たら安心出来た。ベルは可愛いと思う。ネネデリアの言う通り、実物の方が良い」





 それにしてもネネちゃんはずっとにこにこしているな。わたしに会えて嬉しいって全身で示してくれているところは、本当に可愛らしい。

 アル君も嬉しそうにしていて、その様子を見ていると学園に入学して良かったなと思った。



 だってわたしが学園に入らないことを選択していたら二人に会えなかったってことだもんね。そうなったら二人ともずっと……わたしのことを探していたんだろうか。会えないことに苦しんだんだろうな。

 うん、良かったな。

 わたしネネちゃんとアル君のことを悲しませ続けることは嫌だなってそう思ったから。





「ありがとう! ネネちゃんも可愛いし、アル君もかっこいいよ。わたし、綺麗なもの大好きだから、見ていたら嬉しくなるからじっと見ちゃうかも」



 にこにこしながらわたしがそう言ったら、二人とも頷いてくれた。



「そういえば、ベルちゃんってどこの学科?」

「わたしはね、魔法実技!」


 わたしがそう答えたらネネちゃんはがっかりしたような顔をした。




「そっかぁ。やっぱり学科違うなぁ、残念。アル兄様は同じ魔法学科ではあるよね、いいな」

「俺は魔法研究の方だからベルとはちょっと違うぞ」


 アル君はどうやら魔法研究の学科に居るらしい。同じ魔法を学ぶ学科ではあるけれど、違う所に進んでいるみたい。


「そうなんだ。魔法研究も楽しそうだね? わたし、魔法のこと大好きだからいっぱいその話したいなぁ」



 わたしはそう言ってからネネちゃんの方を向く。



「ネネちゃんはどの学科?」

「私はね、文官目指す学科! あの人と一緒の学科だと嫌だから、違う学科にしたの」

「そうなんだね」



 同じ学科を避けるなんて余程、ネネちゃんはあの子のことが苦手なんだろう。ネネちゃんってにこにこしていて、人のことをあんまり嫌いになったりしなさそうに見えるんだけどな。



 これまでの接し方で、そういう風な態度になっちゃったのかな?

 ネネちゃんとアル君と一緒に居たら、わたしもあの子と関わることになったりするのかな? ってそんな風に思った。



 その日はしばらく話してから解散した。


 ――また、話すのが楽しみだなってそう思った。


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