表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
357/357

入学式前、寮に入って、話しかけられる ⑥

5/8 二話目


「そうなんだ……」



 一瞬、わたしが原因でかな? とも思ったけれど、ネネちゃんはともかくとしてアル君はその魂の色があまり好みではないってことなのかな。

 それにしてもあの子って、中身は大人なのかな? それはそれで不思議な感じだね。



 なんというか、少なくともわたしの身体に入る前に当たり前に生きていた日々があるってことではあるよね? そうじゃなかったら赤ちゃんと同じような感じで、何も出来ないはずだから。



 うん、凄く不思議なことだよね。

 神の悪戯と呼ばれているのは、魔導師でさえも解明出来ないようなことだから。

 防ぐことが本当に出来ないのかとか、その辺もいつか知れたら嬉しいな。とはいってもそれを解明するには普通の人生だと時間が足りなさすぎるわけだけど。





「わたし、あの子は皆に好かれているって勝手に思っちゃってたけれど違うんだね」

「……ベルラ・クイシュインを尊敬していたりする人は多いけれどね。ただ私はあんまりかなって」

「ただ向こうはなぜか俺とネネデリアに関わりたがっていたりするんだ。迷惑な話だ」



 二人は複雑そうな表情でそう言った。やっぱりあまり好ましくは思っていないんだろうな……。


 ベルラ・クイシュインとして生きているあの子のことを人に聞くと、良い噂の方が多い。立派に王太子の婚約者として活動しているらしい。わたしがベルラ・クイシュインのままだったら、今のように立派にはなれなかったのでは? とは思うので、素直に凄いなとは思う。





「アル兄様はああいう人を見ていると、あんまり良い気はしないみたい。私も……あの人は過去のベルラ様を否定するから、嫌だなっては思うの。自分には関係ないって、あんな風には戻らないって。私はベルちゃんがベルラ様として生きていた頃から、大好きだったのに。まるであんな風に生きてはいけないって、怖れているみたいで、なんだかなぁって思うもん」

「うーん、まぁ、それも仕方がないんじゃない? わたしとあの子って別人だもん。わたしの身体で目が覚めた時に昔のことを聞いていたら、ちゃんとしようみたいになるのかなっては思うよ。昔のわたしのことを好きだっていってくれてありがとう、ネネちゃん」




 ネネちゃんに向かって、わたしは宥めるようにそう言った。ネネちゃんはぷんすかしているけれど、笑っている方が嬉しいなと思うから。

 わたしの言葉を聞いて、ネネちゃんは笑った。



「今のベルちゃんって、冷静だよね。ベルラ様だった頃だと、もっとベルちゃん感情的だった気がするもん。どっちのベルちゃんも好き!」



 そう言われて、確かに……と思った。ベルラ・クイシュインとして生きていた頃のわたしって今よりもずっと子供だった。感情の制御なんて中々出来なかったし、思ったことをすぐに口にしてしまうタイプだった。

 深く物事も考えていなかった気もする。




「歪みすぎた人を見ていると気分が悪くなることも多いから、俺は自分からあの女に近づきたいとは思わない。自然体な人と一緒にいる方がずっと楽だ」

「アル君、そう言うの見て気分が悪くなっちゃうなら学園生活を送っているだけでも大変じゃない? 無理してない?」




 アル君は魂の色が見られる分、生きづらいのかもしれないと思った。見ていて気分が悪くなってしまうなんて大変だ。要するにあれだよね、苦手な匂いとかをかぎたくないとかそういうのと同じなのかな?

 きっと人の本質が見えてしまうということだろうし、人と話すのにも色んなことを考えてしまいそう。




「大丈夫だ。もう慣れた。それに気持ち悪くなった際はすぐにその場を離れるしな」

「そっかー。それならよかった。わたしを見てたらほっとするっていうなら、幾らでも見て気分を落ち着かせていいからね? わたしはアル君に見つめられたらうれしいし」



 アル君、大変な思いをしながらも沢山の人が居るところで生活していっているんだろうなと思うと気を張らないようにしてあげたいなとは思った。

 わたしの魂を見ているとほっとするらしいから、それなら幾らでも見てくれたらいいなって思った。



 そういうわけでわたしはアル君に向かってにぱぁと笑う。

 満面の笑みで笑いかけると、アル君も嬉しそうな顔をしていた。



「ああ。……何かあったらベルに会いに行くかもしれない」

「うん。幾らでも会いにきていいよ?」

「そんなことを言われると、俺は暇さえあれば会いに行きそうだ」

「全然いいよ! というかアル君ってわたしのことを探してくれていたのもあって、わたしに凄く会いたいんだね」



 アル君に暇さえあれば会いに行きそうと言われて、悪い気はしない。普通に嬉しいな。



「ベルちゃん! 私も、ベルちゃんに会いにいってもいい? アル兄様だけだとずるいもん。私も、ベルちゃんと沢山話したいもん!! はっ、でも私達がベルちゃんの元へ会いにいっていたら、周りが騒がしくなっちゃうかも……」



 ネネちゃんはそう言って、何とも言えない表情だ。

 アル君もネネちゃんも貴族だし、二人ともきっと周りの人達から人気なんだろうな。



 わたしがベルラ・クイシュインだったことは周りに言いふらす気もないし、大多数が知らないことだもん。

 だからいきなりわたしが入学して二人と仲良くしていたらいろいろ言ってくる人は出てくるのかもしれない。



「その時はその時でどうにかするから大丈夫だよ。わたしも再会出来たんだから、二人と堂々と仲良くしたいもん」



 うん、面倒事はあるかもしれないけれど、仲良くしたいのは本心だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ベルラにゲームのヒロインと勘違いされる流れかな? お友達取られたし、ざまぁに怯える余り攻撃してくるんだろうか?
最悪は国家すら超えたクソデカ暴力があるしなガハハ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ