冬の訪れと、合否 ③
「あ、トバイだ!」
わたしはトバイの元へと駆け寄った。ニコラドさんの契約獣であるトバイとも、わたしは長い付き合いだ。トバイはわたしを見て、嬉しそうに鳴いた。
「どうしたの? 手紙?」
いつもトバイは手紙や贈り物などを持ってきたりするので、わたしはそう問いかけた。
トバイは手紙をわたしに差し出してくる。二通ある。一通はパパ宛。そしてもう一つはわたし宛だった。
わたし個人へのもの? と不思議に思いながらわたしは外でその手紙を開く。
そこに入っていたものを見たわたしは、すぐさま家の中へと駆けだした。
「パパー! ママー!!」
声が弾んでいるのが自分でもわかる。だって、手紙にはわたしが待っていたものが入っていたから。
「ベルレナ……どうした?」
眠たそうな顔をしながらパパがわたしの前に姿を現す。わたしはその姿を見た途端、パパに思いっきり抱き着いた。
わたしはパパに抱き着くのが大好き。パパにべたってくっつくと、抱きしめ返してくれるしね。
大好きな家族とくっつくととても幸せな気持ちになるよね。わたしはね、好きな人とはいつもくっついていたいなっていつも思う。
もし恋人が出来たら、その人にもこうやってくっつきたくなるのかな?
「あのね、学園の試験、合格していたよ! 手紙届いていたの。あとね、パパ宛のものもあったから、これ、どうぞ!」
わたしはそう言って、パパに向かって報告をする。
そう、届いたのは試験の結果だった。パパやニコラドさん達はわたしなら落ちることはないだろうって言っていた。
だけれどももし試験を落ちたらちょっとだけ落ち込むなとそんな風には思っていた。だから合格通知が届くとほっとして、にこにこしてしまう。
パパは優しい笑顔でわたしの頭を撫でてくれた。
パパって、昔より撫でるのも上手になったよね。慣れてきたっていうか。わたしがパパの娘になった頃は、誰かの頭を撫でるなんて信じらないって感じでつたない手の動きだったのに。
「良かったな」
そう言いながらパパは手紙を受け取って、中身を読んでいる。
これで来年から学園生活を出来るんだよね。パパやママと離れて生活をしなければならないことは不安もあるけれども、わたしは楽しみの方がずっと大きい。
「ベルレナ、入学のための手続きを進めるぞ」
「うん。手続きしないと、入学出来ないもんね」
わたしはそういいながらパパのことを見る。
試験に受かっただけでは学園に入学できるわけでは決してない。ちゃんと入学するよーって学園に伝えたり、寮に入る手続きをしたり、書類を書いたりもしないといけないんだよ。
それを忘れてしまうと試験に合格していても学園に入学することなんて出来ないんだって。
だから手続きを忘れないようにはしないといけないよね。
わたしはそんなことを思いながら、楽しみで仕方がない。
それからやってきたママにも、試験が合格した報告をしたよ。ママもね、わたしが試験に受かったことを褒めてくれた。
「良かったわね。今日はお祝いにしましょう。ただ……あなたがこの家からいなくなるのは寂しいなって思うけれど」
ママがそんなことを言うので、ママにもぎゅーっと抱き着いた。
わたしはパパの身体の一部から作られたホムンクルスで、ママとは何のつながりもない存在ではある。
小説などを読んでいると、血の繋がらない子供に対して酷いことをするような人もいるらしい。というか、そう言う話はあるもんね。でもママってわたしのことを心から大切にしてくれていることが分かるから、わたしは家族に恵まれているなとは思う。
ベルラ・クイシュインだった頃もわたしは恵まれていたとは思う。それに魂だけになって彷徨っていた時だってパパに見つけてもらえた。
――だから、わたしってなんだかんだ幸せ者なんだなとは思ったりする。
パパに見つけてもらえなかったら、そのまま消えてもおかしくなかった。わたしは実際に消えかけで、誰にもわたしを見つけてもらえないまま亡くなったら、凄く悲しかったと思う。
でも今のわたしはパパに見つけてもらえて、ママもいて、凄く幸せなんだよね。
学園に入学して、この先に何があったとしてもきっとパパとママは味方でいてくれるって知っているから、わたしは学園生活が楽しみで仕方がないの!
春に向けて沢山の準備をしないとね!
寮の準備をしたりとか、あとは学園生活に向けて、必要なものを買いそろえたりもしないと。
杖などはきちんと準備しているし、向こうで買えばいいから最悪買い忘れてもどうにかなりそうだけど、出来れば事前に準備は整えておきたいなぁ。
あとはやらなければならないことってなんだろう?
ぴんとこないから、そのあたりは相談しながら考えよう! 友達を沢山作るための計画もしないとね。




