冬の訪れと、合否 ②
雪だるまを作った後は、わたしはぶらぶらと歩いている。雪が降る中、歩くのって楽しい。
大雪というほどは降っていないけれど、しとしとと降り注ぐ雪を見ているとただただ楽しい。
わたしは春が一番好きだけど、冬ももちろん嫌いじゃない。というか嫌いな季節なんてない。
冬はね、雪を見るのも好きなんだ。わたしの住んでいる場所がよく雪が降るから、積もっているのが当たり前の感覚。
とはいえ、都会だと雪かきなどもされているだろうし、真っ白な雪景色が見られない地域も沢山あるだろう。
学園は此処ほど雪は降らないって聞いているので、来年の冬にはそんな景色が当たり前になるんだろうなぁ。
わたしは新たな生活がもうすぐ始まるかもと思うとドキドキしていた。
入学したら、それこそ知らない人ばかりの場所に飛び込むんだよね。それで、周りにいる同年代の全てが、同じ学園の学生! うん、凄いことだよね。
ニコラドさんとかは、学園生活での繋がりって重要だって言っていた。パパやニコラドさんは魔導師として生きていてるから、その学園生活は随分昔で、もう他の同級生は寿命を迎えているんだろうな。
……パパとニコラドさんって、互いに奇跡的な確率で魔導師になったんだろうなぁ。だって魔導師になれる魔法使いって数えられるだけだって聞くもん。
わたしは魔導師に何人も会ったことがあるけれど、それはパパとママが魔導師だからで、普通なら一生に一度出会えるかどうかな感じだよね。
わたしにも一生の友達が出来るかな。親友と呼ばれる人が一人でも出来たら、わたしはきっと学園に通って良かったって思えるだろうな。
雪の中を考え事をしながら歩いていると、わたしを食べようとして魔物が襲い掛かってくることもある。
これは山の中を歩いていればよくある話だ。
山には魔物が沢山生息しているからね。危険な植物も山ほどあるし、わたしの住まいがこんな山の中にあるって言ったら学園で出会う人たちには驚かれるんだろうか。
でも連れてくるだけの大切な友人が出来たら、ちゃんと注意しないと。勝手に一人で山をぶらぶらなんてしたらもしかしたら魔物に襲われて死んでしまうかもしれないからって。
友人が山に連れてきたせいでなくなったりしたら悲しいもんね。わたしが出来ることや当たり前に思っていることってきっと他の人ではそうではない。多分、そうだから誰かと一緒に行動する時はその人のことも考えないといけないなってわたしはそう思う。
一人で暴走しすぎないようにってことだよね。
学園に入学したら集団行動をするわけで、わたし馴染めるかな?
我慢をしすぎるのも違うけれど、人に迷惑をかけるのも違うだろうし。
実は周りから嫌われてました! みたいなことにならないようにはしたいなぁ。
パパとママは大丈夫だっていうだろうけれど、それは二人ともわたしのことが大好きだから贔屓が入っているだろうから。
集団行動をする時に、わたしが一人で全部やっちゃうっていうのも駄目だよね。
魔物討伐とかをするにしても、わたしが全てやっていたら意味ないし。魔法に関してもわたしが出来るからといって周りの人たち全てにそれを強要するのも違う。
魔法学科だと実技もあるから、その時はやりすぎないようにはしないといけない。
わたし一人で片づけるなんてしちゃ駄目だもん。
そんなことしたら幾ら魔法の腕が良くても協調性が全くないって判断されそうな気がする。
わたしは就職とかを目的にして学園には通わないけれど、そういうのを目的とする人たちは教師からの評判も大事なんだろうな。
学園生活で経験したことって、きっと後の人生に沢山の影響を与えるのだろうな。特に人間としての、短い人生しか歩まない人たちにとっては学生生活って長いものだし。
わたしはどうだろう? 魔導師を目指すか目指さないかとかもまだ決めていない。そもそもなれるかも分からないけれど、目指そうとするかどうかも考えていない。
わたしはパパとママたちのことが大好き。魔導師になって寿命が滅茶苦茶長くなったとしても、孤独にはならない。でも他の人達が亡くなるのをずっと見続けることにはなってしまう。
……ニコラドさんなんかは人と沢山関わっているから、本当に数え切れないほどの人の死を見送ってきたんだろうな。
パパとママのように人と深く関わらない魔導師の方が多いのは、そういう別れがあることを想定しているからなのだろうか。
例えばわたしが、魔導師にならないと決めたら――パパとママを悲しませることにはなってしまうんだ。
そのことを考えると、どちらがいいんだろうってずっと考えてしまう。
難しい問題だよね。
わたしはパパ以上に大切に思う人が今後出来るのか否かもさっぱり分からない。でももしかしたら、誰かに恋をしたりしたらわたしはパパよりも誰かを優先することがあるんだろうか?
想像もつかないや。
雪の中を歩き回って、散歩をしているうちにそれなりの時間が経過してしまっていた。
そろそろ家に帰ろうと、帰路を歩く。
そして帰ると、そこにはニコラドさんの契約獣であるトバイの姿があった。




