学園の入学試験 ①
さて、秋がやってきた。紅葉の季節に学園に入学するための試験が行われる。学園に入学しよう! というのは結構前から決まっていた。
パパとニコラドさんが通っていた学園だと思うと、余計に興奮した気持ちになってくる。
とはいっても魔導師であるパパとニコラドさんが学園に通っているのなんて、ずっと昔のことなんだけれど。
今日は朝早く目を覚ましたの。なぜかって、試験を受けるんだと思うと楽しみで仕方がなくなったから!
こんな風に翌日のことが楽しみで仕方がなくて、目を覚ましてしまうなんてわたしは子供だなぁと自分に呆れてしまう。でも楽しみなものは楽しみなの!
わたしはずっと屋敷の中で勉強していた。それにパパとママに色んな場所に連れて行ってもらって沢山の知識をつけてきた。
試験って、それらの成果を示すことが出来る場だよね。わたしって、試験とか受けたことないから受験するだけでも楽しみで仕方がないんだ。
朝からリラックス出来ていて、わたしはほっとしている。
こういう本番前は緊張してしまう人も結構いるらしいの。でも緊張している状態だと、本来の実力が出せないものだよね。
入学試験を受けに行く際には、こんな風に実力を出せない人も多かったりするのだろうか。
わたしはそんなことを考える。
それってもったいないことだよね。でもそう言う試験って一度しかないことだから、もし具合が悪いとか、リラックスできなくて失敗しただとかそういうことが起こっても仕方がないことなんだよね。
誰がなんて言おうとしても、それはどうしようもないこと。
わたしはそう考えると、学園って明確な競争の場ではあるんだなと思う。
だって順位がつくわけで、明確に上と下みたいに括られるわけでしょ? おそらく同年代の人達を集めてそう言う風に括るのってもっと頑張ってほしいっていう考えがあるからだよね。ちょっと順位が下だと、もっと上まで頑張ろうって思うし。
あとは将来のための基準にしているとかそんな感じなのかな。向こうからしても、優秀な学生が欲しいだろうし。それは当たり前の感情だよね。あとは学園生活の中で、どれだけ人と上手く付き合って生きて行けるかとかの確認もしているんだろうなぁ。
人づきあいがうまく出来ないとどうしようもない職場などもあるし、そういう適性を踏まえた上で就職先を決めるのが一番だよね。
わたしは……学園に通ってみたいって思っているだけで、それ以上のことなんて考えていない。
働きたい場所があったら働いてもいいし、パパとママの元へ戻ろうと思ったら戻ってもいい。それか好きなように旅をしてもいい。
うん、わたしの可能性って無限大なんだよね。
大人になってできることとかもっと沢山増えていくんだろうなぁ。パパとママはわたしがやりたいことをなにも否定することなく、受け入れてくれるだろうな。なんでも応援してくれそう。
進路とかを自分で決めた時にそれは駄目だって否定する親とかも居るんだよね。自分の望む未来に子供を向かわせたいってそう思う人たち。
その気持ちも分からなくはないけれど、本人が何をやりたいかが一番だと思うんだけどなぁ。
わたしはそんなことを考えながら、パパの元へと向かう。パパはまだすやすや眠っている。
これから朝食を食べてから、試験を受けに向かうっていうのにパパってばマイペースだ。
パパはいつもそうなんだよ。どういう場でも冷静で、特に生活を変えたりなんかしない。ああ、でもわたしが学園に入学する際には流石に寂しがってはくれそう。
パパって冷たく見えて、凄く愛情深い人だもん。
わたしはそれをよく知っているの!
わたしはパパの寝顔をじーっと見つめて、にこにこしてしまう。綺麗な顔だなって。気持ち良さそうに見ているパパを見ていると、起こさない方がいいかもしれないって気持ちも芽生える。
ただこのまま眠ったままだと困るので起こす。
「パパ!」
大きな声を出す。
パパは「ううぅん」と口にしつつ、起きる気配がない。相変わらずパパの眠りは深い。パパって眠るのも結構好きだよね。
「パパ、起きてー! 今日はわたしが試験を受けに行く日だよ? ママとだけでいっちゃうよ?」
これから転移魔法で移動するので、パパが起きなければママに連れて行ってもらえばいい。だけど、わたしはパパも一緒がいいの。
パパが「頑張れ」って言ってくれれば、それだけで頑張れる気がする。というか、通常よりもずっと良い成果を出せそうかも。
なんて、わたしはそう思っているんだよ。
だからパパに何度も声をかけて起こした。しばらくしたらパパが起きてくれてほっとした。




