学園の入学試験 ②
3/24 二話目
朝食を食べてから、わたしたちは学園都市へと移動した。まずは宿をとるところから。日帰りも出来るけれど、折角だから少しぶらぶらしたりもするつもりなの。
ニコラドさんの弟子である学園長にも会う予定だしね!! 楽しみだなぁ。ニコラドさんの弟子とか、あとはニコラドさんの孫とかともそのうち会えるはず。
そうやって知っている人と親しい人に会うのって楽しみだよね。
試験の前だというのに、凄くわたしはそっちの楽しみの方がずっと大きいの。もっと真剣に取り組んだ方がいいのにね。
そのことは分かっているから、気合を入れるために朝も勉強していたよ。あとね、魔法の実技も試験には含まれているから今日のわたしのコンディションも確認しているよ。だってそうじゃないと、上手く魔法が使えないなんて事態になるもん。
わたしはね、魔法をずっと学んできているから少しぐらい調子が悪くても魔法を使うことはきっと出来るよ。一定水準の結果はきっと出せると思う。
でもそれがわたしの魔法だって、勘違いされるのは面白くないもん。
わたしがパパとママの娘だって知っている人は学園には全然居ない。居てもニコラドさんの弟子の学園長ぐらい。だからわたしがちょっと失敗しても、上手く魔法を使えなくても……それでパパとママに結び付ける人は居ないかもしれない。
ただね、わたしが嫌なの!
パパとママの娘であるわたしが座学はともかくとして、魔法で不甲斐ない姿を見せたくないの。わたしは二人の娘であることを誇りに思っているから、わたしがそれに相応しくない態度なんて絶対にしたくない。
だから宿で魔法の感覚を掴むことにしたの。少しだけ魔法を使って、今日のわたしはどのくらい調子が良いかなって確認をする。
「ベルレナ、何をそんなに魔法を使っているの?」
ママが不思議そうにわたしにむかって言う。
「試験でね、上手く魔法が使えるか確認の為にちょっと練習中! わたし、パパとママの二人の娘としてちゃんと成果を出すからね?」
わたしがそう言うと、ママがくすくすと笑っている。
「入学試験なんてものはそこまで気負うものじゃないわよ?」
「うん。知っている。わたしはちょっと調子が悪かったとしても、おそらく試験は通るだろうって。でもわたしは魔導師であるパパとママの娘なの。それなのに魔法がちゃんと使えないのなんて嫌だもん。学園に通っている間にもパパとママの素晴らしさも伝えた志いなぁ。あ、でもちゃんとね、パパとママが魔導師だっては知られないようにはするからね?」
わたしはパパとママのことを自慢したい。わたしの大好きな人達なんだって。
とはいえ、自慢しすぎたらやっぱりパパとママの素性とか知られそうだし、その辺はおさえなきゃだけど。でもパパとママのことを話してもいいぐらいに仲良い人が出来たらまた別なんだろうな。
「そうなのね。ベルレナが私達のためにと頑張るのは嬉しいけれど、無理はしたら駄目よ? ディオノレもそう思うわ」
ママはそう言いながら、時間まで寝るといって二度寝してしまったパパを見る。
パパは今日、早くに目を覚ましたからまだ眠たいみたいだった。それにこの宿、良いところをとったからベッドがふかふかだもんね。
部屋は同じだけどベッドは二つあるタイプだよ。パパとママが一緒に寝ればいいのに、別のベッドで寝るみたい。わたしはどっちかのベッドに一緒に眠る予定。
「うん。無理はしないよ。わたしちゃんと、そのあたりは調整を頑張る予定だもん。試験頑張るから、終わったら沢山褒めてね!!」
パパとママが褒めてくれるんだって思うと余計にやる気が出るからそう宣言しておく。
「もちろんよ」
「……あたり、前だ」
「あれ、パパ、起きたの?」
ママからの返事だけを想定していたのに、パパの声も聞こえてきた。眠たそうにしているパパは、起き上がってわたしに向かって笑いかける。
「ああ。ベルレナ、お前がきちんと実力を出せれば何の問題もない。だから、頑張れ」
「うん!! ふふっ、パパがそう言ってくれるとなんか何でも上手く出来るような気がするね。パパの言葉って凄い!」
わたしはパパの言葉に嬉しくなってそう答える。
「そうか」
「そうだよ。パパってパパが思っているよりもずっと凄い人なんだからね」
わたしはそう言って、ママの方を見る。
「ね、ね、ママ。わたしが試験受けている間、パパと一緒にお出かけしてきたら? パパを一人で外に出てもらうときっと女性に話しかけられちゃうから」
「そうね……。行くなら二人でにするわ」
「うん。ママも駄目だよ? ママも、綺麗だから男性に話しかけられちゃうよ」
わたしがそう言ったらママは頷いた。
パパもママも凄く綺麗だから、一人でふらふらしていたらきっと話しかけられちゃうもんね。
二人とも話しかけられても相手にはしないだろうけれど、二人で出かけてもらった方がわたしは嬉しい。
そんな会話を交わした後、わたしは試験を受けるために学園に向かうのだった。




