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記憶の空白地帯

「僕が言いたいのはね……僕も、自分がどうやって負けたのか覚えてないんだよ。理解できる!?」

ミハエルは、自分でも現実を受け止めきれていないかのように、蚊の鳴くような小声で呟いた。

「覚えていない」とはどういうことかしら?

まあ、私にだって時々記憶の欠落ブラックアウトはあるわ。1ヶ月分の支払いを忘れていたとか、その手の最高にありふれた物忘れの部類よ。

そういう状況で一番悲惨で破壊的な出来事と言えば、例えばケトルの火を消し忘れて水がすべて蒸発し、それをまた忘れて何度も繰り返してしまうようなことかしら。

そういったトラブルは確かに腹が立つわ。……そう、ただイライラするだけで、そこに深遠な考察の余地なんてないの。

理由はいつだって単純明快よ。

水がないのは蒸発したから。蒸発したのは高温だったから。高温だったのは私がコンロを消し忘れたから。そして忘れたのは、ちょっとした記憶のド忘れのせい。

数秒前に説明されたことを理解できないことだってあるけれど、それも単に忘れたから。ただそれだけ。

けれど、今回は違う。……この状況は別よ!

私だけじゃなく、対戦相手の彼までもが「結末に至るプロセス」を覚えていないなんて。

この問いへの答えは、単純な論理のロジックチェーンでは到底たどり着けない。表面上に転がっているような代物ではなく、少なくとも2層、あるいは3層……もしかすると無限の深淵の底に隠されているナニカよ。

「……最後に覚えているのはどの場面、ミハエル?」

私は周囲に静寂が満ちているかのように見せかけるため、ボソボソと低音で呟いた。

私たちが何から、あるいは「誰」からこの非日常的な会話を隠そうとしているのかは分からなかったけれど。

ミハエルは私の声のトーンを察し、それに合わせるように口を開いた。

「僕が言いたいのはね……僕も、自分がどうやって負けたのか覚えてないんだよ。理解できる!?」

ミハエルは、自分でも現実を受け止めきれていないかのように、蚊の鳴くような小声で呟いた。

「覚えていない」とはどういうことかしら?

まあ、私にだって時々記憶の欠落ブラックアウトはあるわ。1ヶ月分の支払いを忘れていたとか、その手の最高にありふれた物忘れの部類よ。

そういう状況で一番悲惨で破壊的な出来事と言えば、例えばケトルの火を消し忘れて水がすべて蒸発し、それをまた忘れて何度も繰り返してしまうようなことかしら。

そういったトラブルは確かに腹が立つわ。……そう、ただイライラするだけで、そこに深遠な考察の余地なんてないの。

理由はいつだって単純明快よ。

水がないのは蒸発したから。蒸発したのは高温だったから。高温だったのは私がコンロを消し忘れたから。そして忘れたのは、ちょっとしたド忘れのせい。

数秒前に説明されたことを理解できないことだってあるけれど、それも単に忘れたから。ただそれだけ。

けれど、今回は違う。……この状況は別よ!

私だけじゃなく、対戦相手の彼までもが「結末に至るプロセス」を覚えていないなんて。

この問いへの答えは、単純な論理のロジックチェーンでは到底たどり着けない。表面に転がっているような代物ではなく、少なくとも2層、あるいは3層……もしかすると無限の深淵の底に隠されているナニカよ。

「……最後に覚えているのはどの場面、ミハエル?」

私は周囲に静寂が満ちているかのように見せかけるため、ボソボソと低音で呟いた。

私たちが何から、あるいは「誰」からこの非日常的な会話を隠そうとしているのかは分からなかったけれど。

ミハエルは私の声のトーンを察し、それに合わせるように口を開いた。

「えっと、うーん……」

彼は口をつぐんだ。それは演技などではなく、真剣な思考の沈黙だった。

「たぶん、最後の2分間くらい……かな。僕たちの対局は10:00から04:10までの約6分間だったでしょ? 僕の頭に鮮明に残っているのは、10:00からちょうど06:00までの場面なんだ。それ以降はモヤがかかってるか、完全に吹き飛んでる」

驚いたことに(……この状況で今更何に驚けというのだけれど)、ミハエルの記憶は私よりもずっと広範囲に残っていたわ。

私の記憶を構造化するなら、残っているのは10:00と04:00の点だけ。

一見すると十分なようにも思えるでしょうけれど、問題は09:00から04:10までの間が丸ごと欠落していることよ。

つまり、私にとって対局のほぼ全編が霧の中。覚えているのは「開始」と「終了」の瞬間だけなのだから。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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それでは、また次回の更新でお会いしましょう♪

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