全知という名の愚かさ (ミニ)
——これってつまり、賢くなればなるほど、人は愚かになるってことかしら?
つまり「全知の存在」こそが、これまで存在した、そして今も存在するあらゆる生物の中で、最も愚かな存在ってことになるのかしら?
つまり「全知の存在」こそが、全歴史上において最も愚かな生物なのよ!
この問いにおいて、私は絶対に「中立」なんて立場を取らないわ!
答えはひとつ! イエス!
そう、絶対にそうなの!
ここに「ノー」の選択肢なんてあり得ない。絶対にあり得ないわ!
ずっと前に気づくべきだったのよ。
中立になりたくない、けれど選択もしたくないのなら、答えが「ひとつ」しかない状態を作り出せばいいだけじゃない。
例えば「私は今、何歳なのか?」という問い。答えはひとつしかないわ。今の私の年齢以上でも以下でもあり得ないんだから!
「青色は青いのか?」——そう、青いに決まってる!
答えは明白じゃないの! 分かったわ、理解できた!
その時、何かが私の頭を突き刺した。
それは肉体的な感覚ではないけれど、かといって精神的なものでもなかった。
「中立!」と、叫びそうになったわ。
私ではなく、誰か、あるいは何か……ううん、やっぱり私だったのかしら? 自分でもよく分からない。
「それ」は休むことなく、何度も同じ言葉を繰り返していたの。
私の狂気の火に油を注いでいたのは、まさに「それ」だった。
けれど私はそれを追い払おうと、振り払おうと必死にあがいた。
魂なんて存在しないわ。そして魂が存在しないのなら、精神的なものだって存在するはずがない。
だとしたら、これは物理的な何かなのよ。答えは明白!
私は考証を続けるわ。
『我思う、ゆえに我あり』。
思考しているのなら、私は存在する。
存在しているのなら、私は生きている。
生きているのなら、私は死んでいない。
死んでいないのに頭を何かに突き刺されたのだとすれば、それは尖ったものでも、致命的なものでもないはずよ。
頭への一撃で私を殺せないのなら、矢でも、剣でも、槍でも、その類の武器でもないということになるわ。
頭を端から端まで撫で回してみたけれど、異物なんて何一つ触れなかった。
けれど、痛みはある。
私を貫いた「何か」が、その正体を突き止めている間に一瞬で消え去るなんてあり得ない。
……つまり、私の中で何かカチリと音が鳴り、回路が不発を起こしたということね。
誰かが私を監視している。
……なるほどね。
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