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賢くなるほど愚かになる法則

私は選ぶことが嫌いだった。

正確に言えば……誰かが私に選択権なんてくれたことがあったかしら?

正直に言おう、私は「生活能力ゼロの人間」だ。

善と悪、白と黒、生と死……そんな二者択一よりも複雑で多岐にわたる選択肢を突きつけられたら、もうお手上げ。

食べた後の食器を洗うことすら、私にとっては難事業だったのだから。

理由……ううん、言い訳なら、いつだって必死に探していたけれど。

子供の頃は、そんなこと考えもしなかった。

ゴロゴロしながら自分の好きなことをしていれば、残りの面倒事は全部親——あるいは私の場合、保護者の義務だった能天気な時代。

両親に会っていなかったわけじゃない。むしろ、9歳や13歳だった頃の私が望んでいたよりも、ずっと頻繁に顔を合わせていた。

13歳って、まだ子供かしら? それとも思春期に入るのかしら?

……まあ、どうでもいいけれど。

あの面会は虚無そのものだったわ。

帰り道にアイスでも買えるように数十円のお小遣いでもくれた方が、よっぽど有益だったくらい。

ああ、アイスは好きだったわね。

……って、私ったら本題から逸れてるじゃない。自分がどこにいるのかすら忘れかけて……。

思い出に浸る。いま私がやっているのはまさにそれで、それが息抜きになっていた。

両親との面会が嫌いだったと言ったけれど、憎んでいたわけじゃないの。

幼い子供にとって、それは「週に一度会う大人たちとの定例会」みたいなものだった。

共通の趣味なんて一つもなく、会話といえば学校や成績、習い事のことばかり。

「最近どう?」なんて、ありふれた近況報告すら聞かれない。

呆れた話よね。

……もしかして私、やっぱりあの面会が嫌いだったのかしら?

愛と憎しみの間に、明確な境界線なんてあるの? それは曖昧なものじゃない?

好きでもないけれど、憎んでもいない。だとしたら、あの感情をどう表現すればいいのかしら?

中立ニュートラル』——脳内でその言葉がぼんやりと明滅する。

でも、「中立」って何かしら?

『中立とは、AとBの境界線。愛と憎しみ、善と悪、良いことと悪いことの間。どんな場所にも中立の選択肢が存在する』

私は自分に言い聞かせるように思考を重ねた。

でも、もしそんな都合のいいものが存在するなら……。

私は思考の途中で自分を止めた。

「中立」は、本当に良い選択肢なのかしら?

ネガティブとポジティブの間にあるなら、それを「良いもの」と呼ぶのは公平かしら?

じゃあ、なぜ「悪いもの」ではないの?

例えば「存在」と「非存在」の問題。そこに中間的な立ち位置なんて取れるかしら?

同時に存在し、同時に存在しないナニカ。

シュレディンガーの猫?

あの猫は生きておらず、死んでもいない。だとしたら、あの状態をどう表現すればいいの? 半死? それとも『生半可』な状態?

『中立』——その響きが、頭の中で何度も何度も鳴り響く。

まるで自分が、救いようのない愚か者になったかのように。

自分の立ち位置を説明できない人間が逃げ込む、あまりにも分かりきった概念すら理解できないなんて。

でも、もし逆だとしたら?

私が賢すぎるからこそ、私の理性が曖昧さを許さず、AかBかの明確な答えを求めているとしたら?

ここに「中立」の立場なんて存在するかしら?

というより、どんな場所であれ、そんな都合のいいポジションを取ることなんてできるの?

今「中立」であるものが、数世紀後には善か悪かに変わってしまうなら……すべてが決定され、運命と決定論的な時間が支配する世界において、「中立」なんて本当に存在するかしら?

もし私たちの世界がまさにそれだとしたら?

この太陽の下、真ん中に居場所を見つけることはできるの?

できない? できる?

それとも、「できない」と「できる」の二者択一に閉ざされた、この無限の思考の渦から抜け出す方法はあるのかしら?

中立なんて大嫌い。私は明確な答えが欲しいの!

最もありふれた疑問に答えてくれるはずなのに、中立は私にさらなる思考と問いを強制するだけ。

なぜ? なぜ? なぜなの!?

人間の理性を満足させ、安らぎを与える「黄金の中道」なんて存在するの?

議論や争いの輪の中に加わることなく、ただ存在するだけであらゆる議論を終わらせるようなものが?

存在するなら、どこに? 存在しないなら、なぜ?

無力感から、私は地面へ倒れ込んだ。

まだ慣れていない——ううん、一生慣れることなんてなさそうな灼熱の夏の太陽のせいで、土はまるで溶岩のように熱かった。

でも、今の私にとってそんなことはどうでもよかった。

気にするべきだったかもしれないけれど、私は現実の感覚を捨て、抽象的な思考に没頭することを選んだのだから。

疑問を増やすだけの知識なんて、一体何の意味があるの?

知れば知るほど、人は愚かになるのかしら?

だって「問いを立てる」こと自体が、そのテーマに対する無知の証明——最大の指標じゃないの。無知であるなら、言葉の定義通り、その分野において「愚か」ということになるわ。

かつての私——幼かった頃の私は、「なぜ空は青いのか」「なぜ草は緑なのか」と問いかけることができた。

答えは明快で、いつだって目の前の教科書に載っていた。

でも今の私は、あの頃の自分よりも、これまでの人生のどの瞬間よりも絶対に賢いはず。

なのに、疑問は増える一方。

——これってつまり、賢くなればなるほど、人は愚かになるってことかしら?

最後までお読みいただきありがとうございます!

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それでは、また次回の更新でお会いしましょう♪

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