表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/46

制限時間は10分!

「紳士淑女の皆様! 本日は、ローカル大会40連覇の絶対王者――ミハエルお兄ちゃんと、ゲームの名前すら初めて聞いた超初心者――キキお姉ちゃんによる、超重要デュエルを開催します!」

「ちょっとモニカ! 苗字キキじゃなくて名前マリカで呼びなさいよ!」

「……というわけで、ここにタイマーを設置します! プレイヤーに与えられた時間はたったの10分! 10分が経過した時点で、HPが一番少ない『王』を持っている方の負けよ!」

ミハエルの顔に、狂気じみた笑みが浮かんだ。

私は最初、どこにその「タイマー」があるのか分からなかった。この世界の文明レベルはどう見ても高くないし、モニカがテーブルの下からデジタルタイマーを取り出せるとも思えない。

けれど、天井を突き破らんばかりのミハエルの不穏な視線を追っていくと――目に入った。

大きい。巨大。絶大。惑星級。言い方は何でもいいけれど、それは半透明の鮮やかなマリンブルーをした巨大な文字盤だった。

そこにはごく普通のフォントで「10:00」と表示されていたけれど、どこか無駄にスタイリッシュな威圧感を放っている。……なんて気取った描写をしてる場合じゃないわ!

カウントダウン開始まで、あと20秒、19秒、18秒……。

いやいや、私何ボケっと眺めてんのよ!?

作戦を立てなきゃ! 盤上ゲームなんて完全に初見だし、このテーブルにつくのも、このゲームをするのも、この対戦相手と戦うのも全部初めてなのよ。ミハエルがどんなプレイスタイルなのかすら分からない。

彼には圧倒的な経験値があって、独自の定石、戦略、プラン、あらゆる手札が揃っているはず。私が初心者だからって手加減してくれるなんて期待するのは、東大卒の論理と常識に対する冒涜よ。

相手のプライドがどう働くかも未知数だわ。見た感じ、この手のゲームを骨の髄までしゃぶり尽くしてきたタイプだし、私みたいな雑魚の尻尾で喉を詰まらせるわけがない。丸呑みにして終わりよ……。

「それじゃあ……スタート!」

モニカの膝の上に座っていたステファニが、小さな手を上から下へ振り下ろした。そして、私を煽るように元気に叫んだ。

「ミハエルお兄ちゃん、キキお姉ちゃんを跡形もなくボコボコにしてー!」

みんなが大爆笑した。私とミハエル以外の全員が。……そう、ミハエルも笑っていなかった。

先手は彼だった。どうやら、チェスや将棋とは少しルールが違うらしい。このゲームでは黒が先手なのだ。……何かしら、この世界は反転奴隷制(?)でも導入してんの?

(マリカ! やめなさい! くだらない一人ボケツッコミをしてる場合じゃないでしょ!)

私は心の中で自分を叱り飛ばした。内なるドラゴン(妄想)を懐柔し、せめてこの10分間だけでもおとなしくさせておくために。

ミハエルは初手から長考に入った。長すぎるくらいに。

このゲームのタイマーは、チェスのようにプレイヤーごとに独立しているわけではなく、持ち時間が完全に「共有」されているのだ。

一瞬、ミハエルは意図的に時間を稼いでいるんじゃないかと思った。残り2分になるまで引き延ばし、そこから一気に攻撃を仕掛けて防衛に徹し、タイムアップで逃げ切るつもりなんじゃないかと。

……けれど、彼がそんな姑息な真似をするはずがないわ。あまりに汚いし、あまりに味気ない勝利じゃない。

もし彼が本当に噂通りの天才なら、そんな勝ち方をしたって退屈なだけでしょう? ジャスパー相手には普通にプレイしていたんだから、私が相手だからってスタイルを変える理由もないわ。

それに、周囲のガキどもも息をのんで見守っている。誰一人として目を逸らそうとしない。これから目撃するであろう歴史的瞬間――ミハエルが「大人の部外者」をいかに蹂躙し、叩き潰すのかを、期待に胸を膨らませて待っているのだから。

最後までお読みいただきありがとうございます!

もし少しでも「クスッとした」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部から【★評価】や【ブックマーク登録】をポチッと押していただけると嬉しいです!

皆様の星(★)とブクマが、作者の燃え尽きを防止する最大のエリクサー(生きる糧)になります……!(切実)

それでは、また次回の更新でお会いしましょう♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ