痺れる朝の二度寝 (ミニ)
私は渋々、口の中のブツを噛み砕き始めた。
……うん。確かにもの凄く、猛烈に、吐き気がするほど不快な食感だわ。
まるで生きたカタツムリかナメクジをそのまま奥歯で咀嚼している気分。噛むたびに、この世の終わりみたいな最悪の後味が容赦なく溢れ出してくる。
ようやくの思いでそれを飲み込んだものの、喉を通る時でさえ数十個の細かい破片に分裂して蠢いているようで、ちっとも落ち着かない。
最悪。さっきよりも余計に水が飲みたくなってきたじゃない。
もちろん、全身にぶちまけられるんじゃなくて、ちゃんと口から飲むまともなやつをね。
――と、そこへシズエが水の入ったコップを差し出してきた。
小さな手足で一生懸命にコップを支えながら、ヨロヨロと危なっかしい足取りで運んできてくれたのだ。
私は彼女の負担を減らすべく、ありがたくその貴重な贈り物を受け取ることにした。
シズエは「ふぅ」と重たげに、けれど同時に安心したようなため息をつくと、ぺこりと一礼した。
そして瞬時にちびっ子たちのグループへと戻り、遠巻きに私の苦しむ姿を観察し始めた。
……うん、いい子ね。私の苦悶の表情を特等席で観劇したいだけのことはあるわ。
とはいえ、冷たい水はまさに救いだった。
喉を潤すたびに、口内を支配していた地獄のようなアゴニー(苦痛)がほんの少しだけ和らいでいく。
完全に渇きが癒えたわけではないけれど、無いよりは遥かにマシよ。
――あ、大脳の感覚領域が何かを感知したわ。これがモニカの言っていた効果ね。
両腕の感覚がじわじわと麻痺し、完全に消えていく。
……ただあの女、腕だけじゃなくて『足まで』完璧に痺れて動かなくなるなんて、一言も言ってなかったのだけれど!
「あと数時間は寝てなさい。まあ、どのみちこれからの4時間は指一本動かせないでしょうけどね!」
モニカは愉快そうに高笑いすると、私の身体を新しい寝床へと横たえさせた。
さっきの場所はまだ水浸しだったからね。
私のこの完全に無力化した状態に付け込んで、あの濡れネズミ用の絨毯の上に放置しなかったことだけは、素直に感謝しておくべきかしら。
私はそっと目を閉じた。
まぶたの透過スキルは任意でオフにできたから、外の光が睡眠を妨げる心配はない。
……さて、それじゃあ。
おやすみなさい、素敵な朝の始まりに。
お読みいただき、本当にありがとうございます!
今回のエピソードは他の話の半分ほどの長さになってしまったため、タイトルに【ミニ】と付けさせていただきました。残りの文章をどこに挟むべきか悩んだ末の、少し変則的な判断となります。
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