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亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第二部 高難易度ダンジョン編

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99話 ユニークvsユニーク

 レルゲンはまず、黒龍の剣だけが効かないのか、それとも遠距離攻撃全般を受け付けないのか、または攻撃自体に効果がないのか確かめようと二人に声をかけた。


「この剣の攻撃は全く効いていない。二人とも全力の一撃をモンストルム・ファブリカへ叩き込んでほしい!」


「ええ!」

「はい!」


 マリーは全力の魔力を込めた物理攻撃で斬りつけ、セレスティアはマルチ・フロストジャベリンを四十本ほど生成して一気に放つ。


 すると一つの答えが導き出された。

 堅い外壁に覆われているモンストルム・ファブリカに、一見効果が薄そうな物理攻撃が通り、逆に遠距離からの攻撃は一切通っていないようだった。

 セレスティアがレルゲンに伝える。


「恐らくレルゲンの一撃を警戒した耐魔力の一種だと推測されます! その代わりマリーの一撃が有効になっています!」


「わかった、ありがとう」


 ――まだ推測の域を出ないが、ミリィを取り込んだことでこの魔物の何かが変わったんだ。だから耐魔力なんて代物が急に付与されている。


 今まで黒龍の剣による光線攻撃に頼っていたレルゲンだったが、思考の転換が必要だった。


 ――物理攻撃が効き、魔力による攻撃が効かないのなら、『熱による直接攻撃』ならどうだ?


 即座に黒龍の剣に全力で魔力を込めると、テクトが少し呆れたように笑う。


「馬鹿の一つ覚えだよレルゲン・シュトーゲン。君にはそれしか無いのかい?」


 テクトの煽りには反応せず、碧く輝く黒龍の剣にドライド渾身の傑作である『真・白銀の剣』を重ねて光を吸収させる。

 眩く輝いている『真・白銀の剣』は無色の純粋な光を放ち、黒龍の剣は輝きを失う。


 白銀の剣から光を徐々に引き出し、念動魔術によって光を拡散させないように制御する。

 一本の長い光の柱となった白銀の剣の外側に、集約された状態の光を纏わせていく。

 白銀の剣は超高熱により刀身が赤くなり始め、やがて白へと変色した。


 ナイトとの決戦のときは、既に剣の融解が始まっていたが、さすがは六段階目の素材でできた剣だ。融解による変形が起きることなく、剣の状態を保っていた。


 テクトも全く理解できないレルゲンの念動魔術に狼狽を隠し切れず、思わず口に出してしまう。


「……なんだそれは」


「さあな。ただ、この魔術は他の誰も再現不可能な『ユニーク魔術』だろうとだけ教えてやる」


「ユニーク魔術だと? 馬鹿な、ありえない。そんな高尚な魔術をその歳で発現させるなど」


「なら、一度受けてみるがいいさ。そのご自慢の防御力で」


「いいだろう。間抜けな君に特別に機会をあげよう。いつでもどうぞ?」


 全身からさらに青い魔力が噴き上がり、全てを身体能力へ注ぎ込んだ一撃は、容易にモンストルム・ファブリカの足を灼き斬った。


「なん……だと? この七段階目の完成されたモンストルム・ファブリカを斬ったというのか!? しかし、この程度の傷、容易に修復できる――そして……!」


 身体の一部が割けるように腕を出現させ、レルゲンに向けて手をかざす。


「前に君が逃げるしかできなかった大出力の核撃砲はどうする? 避けたければそうすればいい。その代わり、後ろの国はどうなるかわからない君じゃないだろう?」


 レルゲンは下を向き、少しの脱力状態になる。

 それを見たマリーとセレスティアは心配そうな顔つきになり見守るが、声はかけない。

 光がモンストルム・ファブリカの手の平へと集まっていき、充足しきった瞬間――大出力の光線となってレルゲンへ一直線に向かう。


 しかし、レルゲンは動かない。

 テクトは諦めたのかと思ったが、顔を上げたレルゲンの目が見開いたと同時に、モンストルム・ファブリカが放った光線は遥か上空へと軌道が曲げられ、やがて消えてゆく。


「何をした……? レルゲン・シュトーゲン」


「見ての通りさ。俺にその攻撃はもう効かない」


「……!! ならば当初の目的通り、魔物たちに君の国を蹂躙させるとしよう」


 明らかにヨルダルクでの遭遇時より魔物の生産速度と生産数が上がっている。

 ハクロウが騎士団の指揮を取り、大きな声をかける。


「俺たちは手筈通り魔物の相手をする! 進め!!」


 号令と共に騎士団とマリー、セレスティアが魔物たちの群れと対峙する。

 マリーが騎士団に向けて短く言葉をかけた。


「特別な六段階目は私とセレス姉様、ハクロウ騎士団長で相手をします! 皆さんはそれ以外の魔物を狩って下さい!」


「「「了解!!」」」


 それぞれ役割が決まり、駆け出す面々。


「さぁ、楽しいショーの始まりだ」


 薄ら笑いを浮かべながら、役者が揃い切ったと言わんばかりに、テクトが映像に釘付けになる。レルゲンが下に注意が向いているテクトに向かって軽い挑発を入れた。


「こっちもそろそろ続きと行こうじゃないか――七段階目」


「いいだろう! 君のユニークと私のユニーク、どちらが上か試そうじゃないか」


 二つのユニークが織りなす、狂気の芸術が――再び始まろうとしていた。

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