表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第二部 高難易度ダンジョン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/197

92話 深夜に繰り広げられる前哨戦

 ――あれが山斬りを可能にする剣……!


 レルゲンが黒龍の剣を抜く姿を初めて見たディシアは、不思議な気持ちになった。

 あれが本当に、山を斬ることを可能にする剣なのかと疑問に感じる。


 ――見たところ魔剣なのは間違いない。ですが、感じられる魔力はさほど高くない。普段から”もっと強力に魔力を発している剣”はヨルダルクにある……


 だが、珍しくないというだけで貴重な代物なのは間違いない。

 やはり何かの間違いなのかとレルゲンに尋ねようとしたディシアだが、すぐに評価を改めることになる。


 レルゲンが赤く濃密な魔力を剣に込め、漆黒の剣がレルゲンの魔力に応えるように刀身を伸ばしたかと思えば、すぐに剣の大きさが元の大きさに戻り、深紅の輝きを放っている。


 五段階目のヒュージ・スワンが無数に飛来する中心点に狙いを定められた一撃は、深紅の線を描くように一本の閃光となる。

 たった一撃で、ほぼ全てのヒュージ・スワンが一気に討伐された。


 ――山斬りを可能にするのは彼の膨大な魔力量と、念動魔術による一撃の圧縮が可能にしているのですね。


 もし彼にヨルダルクの武器を与えたなら、一体どこまで強くなるのか。

 もはや単独で国家を滅ぼしかねないのではないかと危惧するのと同時に、ディシアの研究者魂が、見てみたいと思う気持ちが強くなっているのを感じていた。


 残りのヒュージ・スワンはセレスティアがほぼ全て討伐したが、何体か後ろに逃してしまう。


「すみません。フォローをお願いします!」


「任せろ」


 レルゲンがヒュージ・スワンよりも速い速度で回り込み、必殺の一撃で全ての討伐を成し遂げた。


 ヒュージ・スワンを討伐している最中にも、下を歩く魔物たちは魔力糸で侵攻の幅を狭められ、五本のウィンドカットを纏った剣は依然として討伐を進めている。


 遠隔による多重制御と、大量の魔力を一度に消費する攻撃を同時に成し遂げている。


 ディシアはレルゲンの背中を見て、背筋が凍る思いをした。


 ――やはり恐ろしい技術の上に成り立っている。一体この若さでいくつの修羅場を乗り越えれば、ここまで洗練された魔術を行使できるようになるのでしょうか……


 滲む冷や汗を拭いながらディシアは高速で考えを巡らせる。


 ――彼は優しい面が強い。ですが魔物や魔族も、敵と認識すれば容赦がない性格の持ち主。

 一歩間違えれば戦争の火種になり得る危うさも持っている。我々ヨルダルクは王国と同盟国。すぐには戦争とはなり得ないでしょうが、もし私があの時、検問へ向かっていなければ、最悪同盟の破棄や侵略行為とみなされ、このレルゲンという怪物と戦うことになっていたかもしれない。そうなっていればもう『あの手』しか残されていなかったでしょう。


「セレス。あなたはとんでもない男性と結婚しましたね」


「そうですね。ですが、彼の力はまだこんなものではありません。カイニル・マクマニルというフィルメルクのダンジョンで出会った人物と戦ったときは、もっと本気で戦っていましたから」


「カイニル・マクマニル……その名、どこかで聞いたような気が……」


 ここでレルゲンがセレスを呼んで援護を要請する。


「セレス。そろそろバフが切れる頃だ。重ね掛けを頼みたい」


「わかりました」


 すぐに会話を切り上げてレルゲンと自身にバフをかけ直す。

 この様子を見ていたテクトは少しの焦りを感じていた。


「地上の掃討は続けながら、空から仕掛けても全て撃ち落とす! くぅうう! 素晴らしい戦力だ!! レルゲン・シュトーゲン!! 君は一人で一国分以上の戦力があると認識を改めるよ。四段階目の雑魚では君の神経を削ることすらままならない! 四段階目を使った物量作戦は一旦中止し、五段階目以上の魔物を生産することに全リソースを回すように変更しなければ……! 今日のところは君の睡眠時間を削ることしかできなかったが、明日はまた君を楽しませてもらうよ」


 画面の電源を切り、魔物の生産は全て第五・六段階目に固定されたことを示す、特殊な機材の赤い光が明滅していた。


 それから既に解き放たれていた四段階目と、五段階目を完全に討伐したのは深夜にまで時間がかかった。

 明け方、セレスティアがレルゲンを労った。


「深夜までの討伐、お疲れ様でした。今日のところは魔物の脅威は去りました。仮眠を取っておきましょう」


「セレスもお疲れ様。今日はかなり消耗したが、明日からが本番なはずだ。ディシア様も飛行酔いしていませんか?」


「ええ、私はずっと浮いていただけですから、特には」


 一旦ヨルダルクのダンジョン街まで戻り、無事な宿泊所を見つけて一泊する。

 店員は既に避難しており、もぬけの殻だが家具はそのままだった。


 マリーや王国には五日で戻らなければ侵攻が開始したと考えるように伝言を残したため問題はないが、今もハクロウは指揮を取っているのだろうか?

 また、マリーは深域で無理をしていないだろうかなど、レルゲンは考え始めると目が冴えてしまった。

 それを心配したディシアがレルゲンの手を握り、安心させるように言葉をかけた。


「あなたはよく頑張りました。ちゃんと眠れるようにして、明日に備えましょう」


「ああ、そろそろ寝るよ。ディシア様もあまり夜更かしはしないでください」


「ええ、私も眠ります。あなたが眠ったのを確認したら。お休みなさい、王国の英雄様」

読んで下さってありがとうございます!

もし続きが気になりましたら、ブックマーク、評価をお願いします!

ぜひ皆さんで作品を盛り上げて下さいね!

よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ