表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第三部 魔界突入編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

198/213

198話 何を当たり前のことを言っているんだ?

「さっきとは比べ物にならない威力ね……!」


 穴の空いた横腹を抑えながら、ヴァネッサはセレスティアを睨んで賞賛を贈る。


 ――これでもまだ致命傷にはなりませんか……! もっとスケールの大きな魔術行使が必要……!


 最近はレルゲンやマリー、召子の補佐が増えてきたセレスティアは、自分の攻撃が有効になる敵と戦う回数が徐々に減ってきていた。

 それは近接を得意としている三人の安定感が、磨きをかけて良くなっているため。


 むしろ回復などの補助に魔力を多く回せて、いいこと尽くめに見えるがそうではない。

 何事も成長するには、それ相応の修羅場が必要になる。


 セレスティアは理解していた。

 魔界に来てダブルキャスト・マジックが可能になり、確かに成長したのは間違いないが、それでも後一歩か二歩、まだ成長できる余地が残っていると。

 ここで初めて無意識のうちにダブルキャスト・マジックを発動した時のことを思い出す。


 フィルメルクのダンジョンで出会った十二層ボス――スケリトル・ファラルと戦った時に無我夢中で放った、水を氷に性質変化させてからの聖属性の付与による攻撃。


 今にして思えばあれこそがダブルキャスト・マジックの足掛かりになったのは間違いない。

 スケリトル・ファラルに有効打を与えた時も、大出力の氷で攻撃をしていたことを思い出す。


 何かを閃いたセレスティアは、すぐにレルゲンへ伝える。


「レルゲン! 私に考えがあります!」


 すぐにレルゲンがセレスティアの下まで移動して魔力糸による思念伝達で会話する。


『何か思いついたのか?』


『はい。前にダンジョンでスケリトル・ファラルを仕留める時に発動した魔術がもしかしたら有効になるかもしれません』


『……! 氷の聖属性攻撃か――わかった。こっちで奴の動きを何とか止める。発動できるようになったらこの糸を通して合図してくれ』


『足止めは頼みます!』


『任せろ』


 レルゲンが再びヴァネッサに向けて駆け出し、黒龍の剣とスライムの剣で打ち合いが始まった。


「作戦会議は終わったのかしら?」


「さぁな」


「いいのよ隠さなくても。私を倒せるかもしれない策が思いついたんでしょう? でもそんな簡単に行くかしらね? 私はただキング・スライムになって幹部の座に召し上げられた訳じゃない。それこそ日頃から応用できることを探しに探して、魔王様が復活するのを待っていたんだから!」


 レルゲンは独白とも取れるヴァネッサの言葉を聞き、疑問を口にする。


「……何を当たり前のことを言っているんだ?」


 打ち合いの状態から一歩だけレルゲンに押し込まれる。ヴァネッサは押し返そうと重心が前にかかった。


 レルゲンは剣を打ち合う角度を変え、ヴァネッサの軌道を前のめりに引き寄せ、前に倒れ込ませる。


 ヴァネッサはすぐに起き上がろうとするが、レルゲンが浮遊剣にしていた氷華に魔力を込めて、遠隔操作で地面を凍らせて這いつくばらせて固定する。


『今だ、セレス!』


「待っていました!」


 セレスティアが神杖に全開で魔力を通し、ヴァネッサの頭上に巨大な聖属性の白い光を纏った氷を出現させる。


「ダブルキャスト・マジック――ハイリッヒ・フォルン!」


 素早くレルゲンがその場から念動魔術で後ろに飛び距離を取る。

 巨大な質量を纏った氷塊は、床が衝撃に耐えられるはずはなく、そのまま大きな穴を開けて地上に向けて落ちる。


 地震のような衝撃が魔王城全体に響き渡り、大きな土煙を上げて頑丈に建てられているはずの床を次々と破壊していく。


 押し潰されたヴァネッサは、もう生きているのか圧死しているのかすら分からない。

 床が完全に崩れ落ちた瞬間、レルゲンが全員を念動魔術で空中に固定し、階段付近まで移動して降ろす。


「セレス姉様。流石にやりすぎじゃ……」


 マリーがぽっかり空いた穴を覗き込みながらセレスティアに向けて言葉を掛けたが、晴れやかな顔でマリーに微笑む。


「これくらいやらないと、幹部はきっと倒せませんから」


「そうだな。ヴァネッサの生命力はずば抜けて高い。これくらい派手にやらないときっと何度やっても再生してくると思う」


 戦っていた二人がそう感じているなら間違いないと、マリーも半ば呆れながら納得する。


 構造から察するに、頂上階まであと少し。

 これから戦う相手が何人いようが、大詰めに差し掛かってきていることは確かだった。


 ◇◇◇◇


 魔王軍の研究者であるスティルは、複数の魔力が階段を登ってくる気配を感じ取っていた。


「来たか……! 僕の、僕だけの騎士君……!! ところで助手はどうしてここにいるんだい?」

読んで下さってありがとうございます!

もし続きが気になりましたら、ブックマーク、評価をお願いします!

ぜひ皆さんで作品を盛り上げて下さいね!

よろしくお願いしますー!


スピンオフ短編もあります!

「悲恋の掌握者、ディシアは自分の足で歩いていく」

第二部から登場するディシア・オルテンシアの幼少期のお話になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ