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亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第三部 異世界召喚編

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138話 見下ろされる戦況

「どうしましたか?」


 女王が焦っている影を落ち着けると、一度深呼吸をしてから報告を始める。


「各国の地脈と思われる地点から魔物とそれを指揮する悪魔と思われる群勢が多数出現。ここ中央王国のすぐ近くからも同様の動きがあります」


 女王は唇を少し噛む。


「遂に来ましたか。早急に騎士団を再編成し、出撃の準備をするように騎士団長ハクロウへ伝達を。事態は深刻です。騎士レルゲンの少数部隊による偵察を実施し、正確な敵の規模を確認することを急いで下さい」


「承知致しました」


 すぐに報告部隊は影移動で地面に溶けるように消えていき、レルゲンたちの下へと向かった。


「わかった。すぐに準備する」


 レルゲンは、マリーとセレスティア、召子とフェンと共に報告のあった座標へ念動魔術による飛翔で向かう。

 すると、すぐ近くにセレスティアの魔力感知に多数の魔力の反応があった。


「確かに間違いありません。かなりの数の魔物と、一際強い魔力を持った悪魔がいます」


「数は?」


「魔物がおよそ数千、悪魔は五体です」


「魔物は何とでもなりそうだが、悪魔は五体か。少し多いな」


 レルゲンが考えていると、マリーが提案する。


「こっちも分ければいいんじゃない? セレス姉様は後衛だからレルゲンと組むとして、私、召子とフェンなら問題ないと思うわ」


「よし、わかった。そしたらまずは黒龍の剣で魔物の数を減らす。その後に一度女王陛下に報告しよう」


 ――砂と岩の大地に降り立つ。


 黒龍の剣に魔力を乗せると、刀身が赤く光り伸びてゆく。

 伸び切る前に念動魔術で光を全て刀身に宿るように圧縮し、右足を後ろの地面に突き刺して身体を固定する。


 横に構えられた黒龍の剣を、一気に薙ぎ払った。一度に今いる魔物の大多数を屠ることで、悪魔たちが一斉に臨戦体勢に入る。


 レルゲンはセレスティアの隠蔽魔術で姿を隠し、一度女王への報告に向かった。


 一旦の侵攻を止めたことで騎士団を再編成する時間を稼ぎ、再び悪魔たちの元へ向かう。


「アッシュはいたか?」


「いえ、別種の悪魔かと思われます」


 レルゲンは頷いて、マリーへと身体を向ける。


「マリーに頼みがある。相手の出方がわからない以上、無理に倒さなくてもいい。俺がいくまでの間、召子と足止めを頼みたい」


 だが、マリーはやる気に満ちた表情で、決意にも似た言葉を口にする。


「倒せそうなら倒すわよ」


「あぁ、それで構わない」


「フェン君、頑張ろ!」


「ヴァフ!」


 レルゲンたちは手分けして悪魔の元へ向かう。まずは前方に陣取っていた悪魔の元へ


「やってくれるじゃねぇか。ガキ」


「なんだ、さっきの喰らってまだピンピンしてるじゃないか」


「当たり前だ。あれでくたばってたまるか」


 レルゲンは黒龍の剣を浮遊剣にし、炎剣に持ち替える。まずは炎剣だけで様子を見るべく悪魔へ肉薄して斬りかかったが、それを易々と弾かれた。


「流石に硬いな!」


「この程度で俺を討とうなんざ、いくらやっても無駄だ」


「ならこれならどうだ?」


 炎剣へさらに魔力を流し込むと、刀身は一層赤く明滅し、まだ朱雀が息づいているかのような感覚さえ感じ取れる。


「何だそれは」


「こいつを受けてみろ」


「――チッ」


 今度は弾く事なくレルゲンの剣をギリギリで躱しながらカウンターを狙い、距離を詰めてこようとする。


 ――近距離攻撃が奴の戦い方か。


 レルゲンは一度距離を取り、即座に炎剣が発する熱を浮遊剣にしていた白銀の剣に、擦る様に熱を吸収させる。


「――いくぞ」


 白銀の剣が熱を吸収し終えると、中距離から熱の塊をレルゲンの魔力と混ぜ合わせ、念動魔術によって光弾を形成して撃ち込んだ。


「こんなもの……!」


 そう言って悪魔はレルゲンの放った光弾を手で思い切り弾いたが、手からは煙が上がっており、熱による攻撃であることに悪魔はまだ気づいていない。


 ――薄暗い計器類に囲まれた狭い空間。

 金属の床が微かに軋み、壁面の魔導計器が淡い光を放つ。窓ガラスの外には雲海が広がっていた。

 この戦いを遠隔で見ていた悪魔の上官は、映像を見て眉をひそめた。だが、次々と技を披露するレルゲンに、敵ながら素直に尊敬の念を抱いていた。


「これ程までの技の引き出しの多さ。敵ながら天晴れよな」


 連続して光弾が悪魔を次々に焼いてゆく。

 悪魔は傷を負うたびに回復していたが、追加の火傷は治りが遅く、レルゲン相手に苦戦していた。


「くそ……!」


 一旦撤退して体勢を立て直そうと飛び上がると、レルゲンがセレスを呼び、雷の上位魔術で悪魔の足止めを図った。


「ライトニング!」


 紫色の雷光が飛び上がった悪魔に当たり、地面へ墜落してくる。

 その先で、レルゲンが炎剣を手に魔力を通して待ち構え、裂帛の気合いと共に振り下ろした。


「オオォォォ!」


 灼熱を纏った一撃が悪魔を縦に両断すると、魔族の消滅と同じように細かい粒となって消えていく。

 ここまでの手数を要し、一体の討伐を成し遂げた。


「これで、ようやく一体ですか……」


「あぁ、まだこれからだ。行こう」


 すぐにレルゲンたちはもう一体の方へ向かい、悪魔の討伐に動き始める。

 マリーと召子、フェンもまた、悪魔たちとの戦いが始まろうとしていた。

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