136話 レルゲンたちの休み
「君たちはご来光のスポットを探しているんだって?」
「ああ、あまり人がいないところを探している」
劇団の一人がレルゲンに「それなら」ということで教えてくれた場所に、念動魔術で飛んで向かう。
「おすすめは三の島だな、一番遠いが、一番標高が高くて人も少ない。雲海から見える陽の出は素晴らしいはずだよ」
「ありがとう」
下界の陽の出より一時間以上も早い時刻にレルゲンたちは起きていたので、まだ眠そうにしているのはミリィとウルカだった。
「レル君、私はもう少し寝てるね」
と残し、ウルカは胸のポケットに戻っていく。
いざ三の島に到着すると、空が徐々に光を取り戻してゆき、雲海から太陽の一部が見え始めてくる。
「わぁ……!」
優しいオレンジの光が全員の目に飛び込んで、眩しさに目を細めるが、すぐに慣れる。
毎日訪れる朝のはずなのに、なぜこんなにも感動的なのだろうか。
詳しい理由がわからない。それでも、朝日を眺めている内の何人かは、涙を流している者もいた。
「……綺麗ね」
マリーが感情のこもった声色と共に陽の出を眺めている。
「ここに来られてよかったな」
レルゲンもこの綺麗な光景を目に焼き付け、陽が昇り切った後もしばらく眺め続けていた。
これ以上の言葉はいらない。
無理に感想を口に出すこともない。
一人一人が感じたこの気持ちは、決して色褪せることなく胸の中に生き続ける。
陽の出を見た後、一度宿屋に戻って軽く朝食を済ませ、今日一日は自由行動とすることになった。
三つのグループに分かれて、各々の観光を楽しむことになった。
「どこに行く?」
メテオラの観光雑誌を広げて、マリーがレルゲンとセレスティアに向けて尋ねると、二の島に温泉があるようで、レルゲンたちはそこに行くことに決めた。
他にも浮遊魔石の観光や、雲海に見立てた甘い菓子が売っている出店など、様々な観光スポットに分かれて楽しむこととなった。
レルゲンたちとは別行動を取るメンバーは、一応の護衛として召子とフェンが別行動となり、不測の事態に備えるように分かれている。
「夕方頃にまた宿屋で会おう、それじゃあ、解散!」
レルゲンたちは念動魔術で二の島の温泉街へ向かった。
中に入ると、温泉以外にも食事を摂ったり、マッサージのサービスがあったりと複合的な施設が軒を連ねていた。
まだ朝の早い時刻だからか、それほど人はおらず、ゆっくり温泉を楽しむことができた。
ここは雲海の景色がよく見える露天風呂のような作りになっており、マリーとセレスティアは小走りで施設に向かう。
レルゲンは男女別々の風呂のため、近くにいる常連のお年寄りと少し仲良くなり、色々と話しながら長湯を楽しんだ。
「お待たせ」
レルゲンが服を着替えて出てくると、マリーとセレスティアが既に待っており、そのままミルクを販売している売店へ直行する。
三人で一気に飲み干すと、火照った身体に冷たい液体が染み渡り、清涼感が全身を駆け巡った。
その後は、レルゲンとマリーはお昼までベンチで瞳を閉じて休み、セレスティアはマッサージを受けてお昼まで過ごし、施設を満喫していた。
お昼ご飯を食べて施設を出て大きく伸びをするレルゲンたちは、まだ時間はあったが、早めに宿屋へ戻って今日は終わりにすることにした。
宿屋に戻ってくるとやはりまだ誰もいない。
他のメンバーが帰ってくるまでは、三人でゆったりとした時間を過ごした。
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