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亡国の天才魔術師レルゲンの成り上がり~孤独だった俺を救ったのは、命がけで護った敵国の王女でした~【19万pv作リライト版】  作者: 雪白ましろ
第三部 異世界召喚編

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124話 ヨルダルクからの宣戦布告

 深域ダンジョン――朱雀攻略を女王に報告すると、大きくなったフェンを見て驚いていたが、全員が無事に帰ってきたことに一番喜んでいた。


「伝承の朱雀に力を認められたのですね。そしてそれがその証……」


 持ち帰ったのは斬り落とした翼と爪。

 燃えないように常にレルゲンが浮かせておく必要があるほど未だに熱を帯びており、取り扱い注意の代物だ。


「強さで言うならこの前王国に侵攻してきたモンストルム・ファブリカより厄介でした。とにかく防御が固く、ウルカの魔力供給が無ければ勝てなかったかもしれません」


「純精霊様もお疲れ様でした。今後とも騎士レルゲンをよろしくお願いします」


「レル君は私の大切なパートナーだからね! 任せなさい!」


「さて、では皆さんが全員無事にお帰りになったところで、ヨルダルクから痺れを切らした書簡が到着しました」


 女王がセレスティアにヨルダルクからの手紙を渡す。


「親愛なる王国の皆様、これはヨルダルクからの正式な書類であることをまずは理解してほしい。我々が貴国に要求するのは全部で三つ。国家反逆罪として指名手配中のディシア・オルテンシアの身柄を速やかに引き渡すこと。貴国に拘束されている我らが祖国の勇者、ショウコ・モガミの身柄を無条件で解放。そして聖剣の返却。反逆者から知り得た国家機密情報の速やかな破棄、及びその者が口外しないための呪いの付与。どれか一つにでも応じないと判断した場合、いかなる手段を以ってしても、ヨルダルクの安全のための手段を厭わないことをここに宣言するものである」


 これにはマリーが我慢ならないようで、小さく


「馬鹿げてる」


 と溢すと、女王も同意のようでマリーを見て大きく頷き


「そうです。余りにも馬鹿げている。我が国家は新興国ですが、この要求には一つも応じるつもりはありません。既に返しの書簡も出し、向こうの出方を待っています。恐らく大人しくこちらが条件を呑むとは微塵も思っていないでしょう。そのための侵攻準備も既に開始されているはずです。この国は武力で勝ち取ったところから始まりましたが、今はあなたたちが頼り。開戦までの猶予はわかりませんが、いずれにしてもそう残された時間はありません」


 セレスティアの手に力がこもる。握られた書簡には大きな皺が刻まれた。


「この侵攻を防ぎ、国民と領土を死守しなければ、他の国からも将来的に搾取され続けることには変わりないでしょう。若いうちから沢山の修羅場を経て成長してきた姿を、民に示して下さい」


 召子は戦争とは縁遠い国で育った。だが、いざ戦うとなると、かつて自分を召喚した際に助言をくれた仮面の男性のことが気になっていた。


 責任を問われて処刑されていないか、できれば助けてあげたい。

 そして、自分にかけられていた聖剣の呪いを解き放ってくれたレルゲンたちに恩返しがしたい。


 召子にあるのは国を護るなんて大それたことではなく、恩返しをしたい気持ちが強くあった。

 レルゲンがディシアを呼ぶ。


「ディシア」


 瞳を一度閉じてから開き、杖を前について宣言する。


「はい、私が知り得るヨルダルクの情報を全て開示すると約束します」


 女王が大きく頷き、至急対策本部の設立を宣言した。王国民にはまだ戦争になる事は伏せた状態で、水面下で動くこととなる。


 レルゲンは朱雀の翼と爪を持って、ドライドの工房を訪れていた。


「ドライド、いるか?」


「おう旦那! 元気にやっているようだな。武器の発注かい?」


「ああ、こいつで俺専用の武器と、フェンという狼専用の装飾品を作ってもらいたい。これは伝承にある朱雀の翼と爪だ」


「す、朱雀だとぉ!? ほ、本物か?」


「あぁ、間違いない」


 ドライドが素材の種類に驚いて椅子から転げ落ちた。


「深域に発生したダンジョンに潜ったら朱雀と遭遇したんだ。女王から聞いている内密な話があるだろう? それ用の武器が必要になった」


「聞いてるぜ。見たところ難しい素材だが、ここまでの強度があれば強い加工にも耐えられるはずだ。七日で作ってみせるぜ。また片手直剣でいいか?」


「早いな、助かるよ」


「それで、狼ってのは新しい仲間かい?」


「そうだ」


「わかった。そっちも一週間と掛からずに仕上げてみせるぜ。髪飾りでどうだ?」


「種類は任せる。効果は素材を活かしたものならなんでも大丈夫だ」


「おう、期待して待っててくれ! 最高の仕上がりで届けてみせるぜ」


 拳と拳を突き合わせてお互いにニッと笑い合い、これで武具の発注は済ませた。

 残るはディシアからヨルダルクについて聞かなければならない。

 最近は召子の修行期間くらいしか休める時間はなかった。


 ヨルダルクとの一件が終わったら少し――いや、七日は休みを貰いたいという淡い期待をレルゲンは抱いた。

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