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『天雲星系・銀河の記憶』  作者: DanhDu_Chronicle
第4課:天王の覚醒
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第76章 ―― 消えかけた希望 (上)

統帥は――

ヴァン・ティエンをまっすぐ見つめていた。


その口元に――

小さな笑み。


「さて……」

「今度は俺の番だな」


ヴァン・ティエンは下から――

折れた竹を強く握り締めていた。


身体は――

すでに傷だらけ。


腹部からは血が流れ続け、

まだ止まる気配すらない。


それでも――

その眼差しは鋭く細められ、

上にいる敵の頭領をまっすぐ見据えていた。


そして――

ヴァン・ティエンは叫ぶ。


「お前は……一体、何者なんだ!!」


統帥はそれを聞くと――

両手を叩いた。


パン、パン。


そして――

驚いたような顔をする。


「おっと……」

「しまったな」

「まだ自分の紹介をしていなかったか」


奴は拳を握り、

口元へ持っていく。


そして――

一度、咳払いをした。


「俺は――ベリオス……」

「ファイア・フォレスト第6師団の艦長だ」


「よろしく」


「お前は一体、何の目的でここへ来たんだ?」


「目的か……」

「答えは簡単だ」


「俺は――」

「お前たちが『地球』と呼ぶ、この惑星を侵略したい」


「そして――」

「この惑星を、俺の支配下に置く」


「だが……」


奴は視線を――

ヴァン・ティエンへ落とした。


「お前のせいで――」

「俺の計画は変更しなければならなくなった」


「……何だと?」


「お前が――」

「俺が最も信頼していた部下たちを殺したからだ」


「だから――」

「侵略計画を実行する前に……」


「まずは――」

「邪魔なものを消さなければならない」


「それが――」

「お前だ」


ヴァン・ティエンは――

折れた竹を強く握り締めた。


余計な言葉は――

一つもない。


腕を後ろへ引き――


ブンッ!!


折れた竹を――

ベリオスへ向かって全力で投げつけた。


竹は――

矢のような速度で飛んでいく。


その周囲に生まれた衝撃波が――

空気そのものを大きく歪ませていた。


折れた竹が――

ベリオスの目の前へ迫る。


しかし――


ベリオスの眼差しには――

一切の揺らぎがない。


彼は――

軽く手を上げた。


そして――


バチッ、バチッ、バチッ!!


彼の周囲に――

電磁エネルギーを纏った障壁が現れた。


全身を――

完全に包み込む。


折れた竹が――

その障壁へ激突した。


そして――


パキッ!!


竹は――

一瞬で細かな破片へ砕け散り、

地面へ落ちていった。


ベリオスは――

軽く前方へ視線を滑らせる。


だが――

そこにヴァン・ティエンの姿はない。


「……?」


ベリオスの目が――

わずかに見開かれる。


その瞬間――


背後から――

見慣れた影が現れた。


ヴァン・ティエン。


ベリオスはそれを見ると――


「……おお」


と声を漏らした。


ヴァン・ティエンは――

すぐに脚を上げる。


横蹴り。


狙いは――

ベリオスの頭部。


しかし――


ベリオスは軽く頭を下げた。


そして――

身体を回転させる。


ブンッ!!


そのまま後方へ回し蹴りを放った。


ヴァン・ティエンは――

反応する暇もなかった。


ドゴッ!!


蹴りが――

顔面の側面へ直撃する。


その威力は――

大柄な男が棒を思い切り振り抜いたようだった。


ヴァン・ティエンの身体が――

吹き飛ぶ。


そして――

隣の木の枝へ激突した。


ドォン!!


ベリオスは――

ゆっくりと足を下ろす。


そして――

服についた埃を軽く払った。


一方――

木の根元。


ヴァン・ティエンは――

そこに倒れていた。


「ゴホッ……ゴホッ……!!」


身体中が――

もう痛みに包まれている。


左腕は――

完全に感覚を失っていた。


持ち上げることすら――

できない。


ヴァン・ティエンは――

必死に瞼を開く。


目の前は――

ぼやけている。


だが――

少しずつ焦点が戻っていく。


そこには――

まだベリオスが立っていた。


あまりにも――

余裕そうに。


ヴァン・ティエンは歯を食いしばる。


感覚の残っている右腕を――

地面についた。


左脚を――

自分の身体へ引き寄せる。


そして――

右腕へ全力を込めた。


グッ!!


身体を――

持ち上げる。


しかし――

まだ自力で立つことはできない。


だから――

背後の木を支えにして。


ゆっくりと――

立ち上がった。


遠くからそれを見ていたベリオスは――

首を横に振る。


「はぁ……」

「もう身体はそんなに傷ついているのに……」

「どうしてまだ立とうとする?」


ヴァン・ティエンは――

答えなかった。


ただ木に身体を預ける。


そして――

息を吐く。


呼吸は――

途切れ途切れ。


心臓は――

激しく鼓動している。


頭にも――

鋭い痛みが走り始めた。


吐き気すら――

込み上げてくる。


ヴァン・ティエンは――

自分の手を見る。


そこには――

まだわずかな青い光が残っていた。


ほんの――

小さな光。


それでも――

その眼差しには、強い意志が宿っていた。


身体は――

すでに限界に近い。


片腕には感覚がない。


頭痛も――

さらに激しくなっている。


それでも――

彼は、そんなものをもう気にしていなかった。


彼が見ているのは――

目の前の敵だけ。


そして――

自分の手を見つめながら呟く。


「たとえ……」

「残っている力が、ほんの少しだけでも……」


「俺は――」

「そのすべてを使う」


ヴァン・ティエンは――

顔を上げた。


その眼差しは――

揺るがない。


ベリオスを――

まっすぐ見据える。


右手を――

ゆっくりと握り締める。


そして――

さらに強く。


さらに――

強く。


首にかかったペンダントは――

今まで何の反応も示していなかった。


だが――


突然。


淡い青い光を放った。


しかし――

今回は以前のような強烈な光ではない。


ほんのわずかな――

青い光。


それだけ。


だが――

それで十分だった。


もう――

待っている時間はない。


ペンダントから流れ出した青い気が――

ゆっくりと右腕へ伝わっていく。


そして――

右手の掌へ。


ヴァン・ティエンは――

拳を強く握り締めた。


残された全力を――

最後の一撃へ集中させる。


身体を――

低くする。


そして――


ヒュッ!!


ヴァン・ティエンの身体が――

ベリオスへ向かって一直線に飛び出した。


ベリオスは――

すぐに手を上げる。


バチッ!!


電磁シールドを展開し、

攻撃を防ごうとする。


だが――


ヴァン・ティエンは――

突然、高く跳んだ。


その身体が――

ベリオスの頭上を越える。


そして――


全力の拳を――

奴の後頭部へ叩き込もうとする。


ベリオスは――

すぐに電磁シールドを作ろうとした。


しかし――

間に合わない。


その目に――

初めて焦りが浮かんだ。


「しまった……!!」


ヴァン・ティエンの拳は――

そのまま後頭部へ迫る。


「受けろ……!!」


ドォォォン!!


天を揺るがすほどの爆発音。


二人の周囲を――

煙と砂埃が一気に覆い尽くした。


しばらくして――

煙が少しずつ晴れていく。


ヴァン・ティエンは――

拳がベリオスの後頭部へ届いたと思った。


だが――


彼の目が――

大きく見開かれる。


拳は――

ベリオスの身体すれすれに存在していた、

もう一つの透明な障壁によって――

完全に止められていた。


「……何だと?」


ベリオスは――

嘲るように笑う。


「俺が――」

「盾を一枚しか持っていないと思ったか?」


ヴァン・ティエンは――

すぐに気を取り直した。


身体を一歩後ろへ引く。


そして――

再び地面を蹴った。


拳を――

ベリオスへ叩き込もうとする。


その瞬間――


ドォン!!


凄まじい圧力が――

ヴァン・ティエンの全身を地面へ押しつけた。


「……!?」


何が起きたのか――

分からない。

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