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『天雲星系・銀河の記憶』  作者: DanhDu_Chronicle
第4課:天王の覚醒
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第74章 ―― あの頃の残影 (上)

そして――

ナイフも振り下ろされた。


「さらば……」


刃に映るのは、奴自身の眼差し。


鋭い刃先が、ヴァン・ティエンの瞳へ一直線に迫っていく。


空間そのものが、突然、ゆっくりになったかのようだった。


ヒュエン・ゴックは、もう固く目を閉じていた。

怖くて、見ることができない。


一方、統帥は船の甲板に立ったまま、楽しそうにほくそ笑んでいる。


そして――

リエン・トゥイは口元に笑みを浮かべていた。


自分が、この戦いに勝ったと確信していたからだ。


鋭い刃先が、ヴァン・ティエンの目へ迫る。


近い。


さらに――

近づく。


そして――


周囲のすべてが、突然、暗闇に包まれた。


だが――

それは、ほんの一瞬だった。


光が戻った時。


リエン・トゥイの目は大きく見開かれていた。


そこに浮かんでいたのは――

驚き。


そして、わずかな疑念。


目の前には――


ヴァン・ティエン。


その手には、真っ二つに折れた竹。


その竹によって、リエン・トゥイの刃先は上へ弾き飛ばされていた。


ヴァン・ティエンの表情が――

突然、冷たく変わった。


だが、それは怒りではなかった。


少年らしい息遣いも。

いつもの戸惑いも。


完全に消えていた。


代わりにそこにあったのは――


波一つない湖面のように、

平らで、

厳粛で、

静かな顔。


怒りもない。


憎しみもない。


ただ――

背筋が凍るほどの静けさだけがあった。


その瞳も――

普段の澄んだ色ではなかった。


もっと深い。


そして――

宇宙の遥かな昔から存在していたかのような光が、その奥で燃えていた。


静かで。


威厳に満ちていて。


恐ろしいほどに神聖な光。


まるで――

神が万物を見下ろしているかのようだった。


空間が、再び元の速さへ戻る。


ヴァン・ティエンは、折れた竹を高く掲げた。


リエン・トゥイが反応するよりも早く――


一筋の光が、空間を横切った。


青いエネルギーを纏った竹の幹が――

流星のような勢いで突っ込んでくる。


ドゴォォォン!!


真正面から――

リエン・トゥイの胸の中央を打ち抜いた。


リエン・トゥイの筋肉が一瞬で収縮する。


全身が、痛みによって激しく震えた。


口元から――

鮮血が噴き出す。


周囲の空気が爆発し、

巨大な衝撃波となって広がった。


ドォン!!


リエン・トゥイの身体は、弦を切られた矢のように吹き飛んだ。


空気を引き裂きながら――

一直線に後方へ飛んでいく。


髪が後方へ逆立つ。


だが――

吹き飛ばされる直前まで。


リエン・トゥイの目は大きく見開かれ、

ヴァン・ティエンを見つめ続けていた。


その瞳は――

静かだった。


感情は――

一切、なかった。


ドォン!!


リエン・トゥイの身体が、背後の大木へ真正面から突き刺さった。


凄まじい衝撃。


太い幹全体に巨大な亀裂が走り――

まるで巨大な蜘蛛の巣のように広がっていく。


パキッ……


そして――


木が後方へ倒れた。


リエン・トゥイは地面に横たわっている。


口元からは、まだ血が流れていた。


その向こう側。


ヴァン・ティエンは、まだそこに立っていた。


その顔は冷たいまま。


その眼差しも静かなまま。


感情は――

一切ない。


ヒュエン・ゴックの方では――


少女がゆっくりと瞼を開いた。


目の前には、

リエン・トゥイが地面に倒れたまま動かなくなっている。


そして――

ヴァン・ティエンは無事だった。


少女は小さく息を吐き、

ほっと胸を撫で下ろす。


しかし――

今のヴァン・ティエンへ視線を向けた瞬間。


その静かで厳粛な表情を見て――

少女は小さく俯き、考え込んだ。


「この感覚……。

やっぱり……すごく懐かしい……」


少女はゆっくりと顔を上げた。


そして――

ヴァン・ティエンを見る。


すると突然。


少女の目の前に――

別の光景が映し出された。


そこにいるのは――

ヴァン・ティエン。


鎧はすでに破壊され、至る所がひび割れている。


それでも彼の手には、まだ一本の棒が固く握られていた。


彼は――

戦場の真ん中に立っている。


周囲を包み込む――

煙と炎。


戦艦。


兵士。


そのすべてが、彼の足元に倒れている。


だが――


その周囲には、

何千もの敵兵が隙間なく彼を取り囲んでいた。


当時の彼の身体には――

無数の傷。


それでも。


身体が傷ついていても。


何千もの敵に囲まれていても。


彼の表情は――

一切変わらない。


恐ろしいほどに――

冷静。


その眼差しにも、

揺らぎはない。


恐怖もない。


ただ――

厳粛な光だけが宿っていた。


そして――

現在へ戻る。


今の彼の瞳は、あの時とはまだ違う。


それでも――


その強さ。


決して屈しない意志。


それだけは――

ヒュエン・ゴックにも、はっきりと感じ取れた。


少女の口元に――

小さな笑みが浮かぶ。


「やっぱり……あの時とすごく似てる」


少女はそっと手を上げ、

自分の髪に触れた。


風が吹き抜ける。


その風に乗って――

少女の髪が静かに舞う。


そして――

ヴァン・ティエンを見る。


「どうやら……」

「お兄ちゃん……戻ってきたみたい……」


一方――

統帥の方では。


口元に浮かんでいた笑みが――

完全に消えていた。


代わりに聞こえてくるのは――

歯と歯が擦れ合う音。


ギリ……ギリ……


奴は――

激しく怒っていた。


そして、下へ向かって怒鳴りつける。


そこには、リエン・トゥイが倒れていた。


「お前は一体、何をやっている!?」

「早く立て!!」


「さっさと奴を殺せ!!」

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