第73章 ―― 試される限界 (上)
風が止まった。
戦いによって大地はひび割れ、木の枝もあちこちに倒れている。
リエン・トゥイはヴァン・ティエンを見る。
構えを取る。
そして――
凄まじい速度で突っ込んでくる。
ヴァン・ティエンの目の前に現れる。
拳を放つ。
ヴァン・ティエンは腕を上げ、攻撃を受け止める。
二人の圧力が周囲へ広がる。
その衝撃によって、周囲の小さな木々が次々と折れていく。
リエン・トゥイは彼を見る。
口元をわずかに吊り上げ、笑う。
足を引く。
そして身体を回転させ――
上から強烈な蹴りを振り下ろす。
ヴァン・ティエンは軽く横へ避ける。
そして――
足を上げ、腹部へ蹴りを叩き込む。
ブッ
リエン・トゥイの身体が吹き飛ぶ。
だが、彼はすぐに一本の木へ手をかけ、体勢を立て直す。
木の頂上に立ち――
ヴァン・ティエンを見下ろす。
だが――
もう一度見た時には、彼の姿が消えていた。
「どこへ……?」
その瞬間――
ヴァン・ティエンが彼の背後に現れる。
そして――
上から蹴りを叩き込む。
リエン・トゥイは防ぐ暇もなく、真っ直ぐ地面へ蹴り落とされる。
「アッ!」
まだ状況を理解する暇もない。
ヴァン・ティエンはすでに彼の前へ転移していた。
足を高く上げる。
そして――
蹴りを振り下ろす。
ドォン!!!
だが、リエン・トゥイは横へ転がって避ける。
そのまま跳び上がり――
ヴァン・ティエンの頭を狙って蹴りを放つ。
しかし――
ヴァン・ティエンは受け止める。
彼はその足を掴み、上へ投げる。
そして――
リエン・トゥイのところへ転移する。
身体を回転させ――
腹部へ真っ直ぐ蹴りを叩き込む。
リエン・トゥイの身体が地面へ吹き飛ぶ。
煙と砂埃が辺りを覆う。
その中から――
リエン・トゥイが立ち上がる。
身体には傷。
口元から血が流れている。
「まさか……こいつがここまで強いとはな。」
その時――
頭の中から声が響く。
「もう遊びは十分だ。」
リエン・トゥイが驚く。
統帥の声だ。
彼はすぐに振り返り、統帥が立つ戦艦を見る。
声が続く。
「早く全力を出せ。」
「さっさとこの戦いを終わらせろ。」
リエン・トゥイは統帥を見る。
そして頷く。
ヴァン・ティエンも、すでに彼のところへ転移していた。
リエン・トゥイはヴァン・ティエンを見る。
「どうやら……私も持てるものをすべて出す必要があるようだ。」
そう言うと――
懐から黒い刀を取り出す。
そして服を開く。
胸の中央。
そこには――
黒い半月形の円があった。
リエン・トゥイはヴァン・ティエンを見る。
そして冷たい笑みを浮かべる。
「今から、お前に見せてやる……」
「私の本当の力を。」
言葉が終わる。
その瞬間――
彼は黒い刀を、胸の中央にある半月形の円へ突き刺した。
刀が深く入り込む。
血は――
流れ落ちなかった。
むしろ――
内側へ吸い込まれていく。
その内部から――
黒い気と灰色のエネルギーが溢れ出す。
身体の周囲を包み込む。
リエン・トゥイの身体が、徐々に変化していく。
一瞬。
皮膚が裂ける。
腕から――
刃が生える。
カチッ。
冷たい音。
足が地面へ触れる。
バキッ。
長い針が肉体を突き破る。
灰色のエネルギーを纏っている。
彼の目が細くなる。
その瞳には――
赤と、海のような青が混ざり合っている。
歯も長く、鋭くなり――
口から突き出している。
そして――
身体の中から放たれる圧力が、突然跳ね上がる。
一気に――
外へ爆発した。
ヴァン・ティエンは、まだその場に立っている。
その目が細くなる。
リエン・トゥイは自分の新しい姿を見る。
そして――
ヴァン・ティエンを見る。
「これが――」
「私が全力を解放した戦闘形態だ。」
「この姿を見られたことを、幸運だと思え。」
「なぜなら――」
「お前はもうすぐ死ぬからだ。」
そう言うと――
構える。
そしてヴァン・ティエンへ真っ直ぐ突っ込む。
刀を振るう。
ヴァン・ティエンは避ける。
だが――
腕に生えた小さな刃が、彼へ向かって飛んでくる。
ヴァン・ティエンはすぐに頭を下げる。
しかし――
いくつかの刃が、彼の肌を掠める。
ヴァン・ティエンは頬を見る。
血が流れている。
リエン・トゥイは攻撃を続ける。
刀を振るう。
ヴァン・ティエンは避ける。
だが、腕にある小さな刃が再び彼を掠める。
その小さな刃は――
無作為に飛んでいるわけではない。
ヴァン・ティエンの動きを追っている。
ヴァン・ティエンは身体を後ろへ倒す。
そして――
リエン・トゥイへ蹴りを叩き込む。
男の身体が吹き飛ぶ。
だが――
すぐに体勢を立て直す。
ヴァン・ティエンの背後へ転移。
そして――
頭へ蹴りを叩き込む。
ヴァン・ティエンは反射的に防ぐ。
だが――
忘れていた。
今のリエン・トゥイの足には――
無数の長い針が生えている。
その針が、ヴァン・ティエンの腕へ突き刺さる。
ヴァン・ティエンは顔をしかめる。
リエン・トゥイは、もう一方の足で蹴りを放つ。
ヴァン・ティエンは足で受け止める。
だが――
その針が、彼の足へ突き刺さる。
痛みに顔を歪めながらも――
ヴァン・ティエンは、もう一方の足で強烈な蹴りを腹部へ叩き込む。
リエン・トゥイが遠くへ吹き飛ぶ。
ヴァン・ティエンはその場に立つ。
歯を食いしばる。
腕に刺さった針を引き抜く。
顔が痛みに歪む。
続いて――
足に刺さった針を引き抜いていく。
腕と足が痺れている。
ほとんど感覚がない。
最後の針を抜いた、その瞬間――
ヴァン・ティエンは再び戦おうとする。
だが、振り返ると――
いつの間にかリエン・トゥイが背後にいた。
そして――
脇腹へ蹴りを叩き込む。
ヴァン・ティエンの顔が歪む。
身体が近くの竹藪へ吹き飛ばされる。
ドシュッ




