第16章 ― 古城での戦い (下)
ヴァン・ティエンがまだ意味を理解できないでいると――
二本の柱を繋いでいたエネルギーの帯が激しく震え始めた。
そして、光を放ちながら、二つに分かれていく。
徐々に……大きく……広がっていく。
そして――
空間を引き裂いた。
巨大な空間ゲートが、夜空に出現した。
そのゲートの向こうから――
一隻。
また一隻。
さらに一隻。
わずか数分の間に――
十万隻を超える戦艦が、ハノイの空に浮かび上がった。
戦艦の扉が開く。
そこから何十万もの黒い兵士たちが降りてくる。
その隊列は海のように広がり、長い列を作っていた。
ドアン・ティエットは空中へ飛び上がり、軍勢の中央に立つ。
そして両手を広げた。
「紹介しよう……」
「これが俺の偵察軍団だ」
「第4艦隊」
ヴァン・ティエンは目を見開いた。
上空に広がる軍勢から、とてつもない圧力を感じる。
古都コーロアの外でも、そしてハノイの街でも、人々は空間ゲートから現れた巨大な軍勢を目撃していた。
ハノイの市民も観光客も、恐怖に震えながら、あれが一体何なのか分からずに空を見上げていた。
ヴァン・ティエンはドアン・ティエットと、その軍勢を見つめる。
拳を強く握る。
そして――
シュッ!
空へ飛び上がり、ドアン・ティエットへ向かって突進した。
ドアン・ティエットは彼を見て、軽く鼻で笑った。
そして手を上げる。
すると、十人の黒い兵士がヴァン・ティエンへ向かって飛び出した。
十人全員が槍を振り上げる。
しかし――
ヴァン・ティエンはすべての攻撃を受け止めた。
そして槍を跳ね上げる。
そのまま一人の兵士の槍を掴み、身体ごと振り回した。
シュッ!
シュッ!
ブン! ブン!
兵士の身体が残り九人へ次々と激突する。
ドスッ!
バキッ!
ドン!
ドサッ!
十人全員が吹き飛び、下にある城壁へ突き刺さった。
ドォン!
それを見たドアン・ティエットは少し驚いた。
しかし、すぐに冷静さを取り戻し、再び合図を送る。
今度は――
二十人の黒い兵士。
ヒュッ!
二十人が一斉に飛び出す。
ヴァン・ティエンはすぐに高く跳び上がった。
首のネックレスが激しく光り始める。
青いエネルギーが彼の身体の周囲から放たれる。
前方から五人。
さらに後方から五人が飛び出し、棍棒を振り上げる。
その瞬間――
ヴァン・ティエンの姿が消えた。
シュッ!
彼は五人の兵士の背後へ現れる。
ドスッ!
拳が二人に直撃し、二人の身体が遠くへ吹き飛ぶ。
残りの三人も蹴り飛ばされる。
残った五人がすぐに迫り、棍棒を振り下ろそうとする。
しかし――
ヴァン・ティエンはそれを受け止めた。
そして、二発の高速キックを二人の兵士へ叩き込む。
バキッ!
二人が遠くへ吹き飛ぶ。
残り三人の棍棒をヴァン・ティエンは強く掴んだ。
そして三人をそのまま持ち上げ――
投げ飛ばした。
だが、その瞬間。
ヴァン・ティエンは動きを止めた。
身体に痛みを感じた。
そして、激しい不快感が全身を走る。
残り十人の兵士が一斉に彼へ襲いかかる。
棍棒が振り下ろされる。
その直前――
ヴァン・ティエンが大きく叫んだ。
「うああああっ!」
ドォン!
強烈な気流が発生し、十人の兵士が一斉に吹き飛ばされる。
その後、ヴァン・ティエンは激しく咳き込んだ。
身体が限界に近づいている。
上空のドアン・ティエットは目を細めた。
そして、再び合図を送る。
今度は――
五十人。
五十人の兵士が一斉に突進してくる。
ヒュン!
「殺せぇぇぇ!」
ヴァン・ティエンがまだ状況を理解できていないうちに、五十人がすでに目の前まで迫っていた。
彼は咄嗟に防御する。
しかし――
五十本の棍棒が一斉に彼の身体を打ちつける。
ゴンッ!
ガキッ!
彼の身体が吹き飛ぶ。
体勢を立て直す暇もない。
五十人が一斉に襲いかかり、何度も攻撃を繰り返す。
ヴァン・ティエンはすべてを防ぐことができない。
次々と身体へ攻撃が叩き込まれる。
ドンッ!
ドサッ!
彼はそのまま古都コーロアのヴォン湖へ向かって吹き飛ばされた。
ドォン!
壁が大きく崩れ落ちる。
ヴァン・ティエンは瓦礫の中に倒れていた。
必死に身体を起こす。
口から大量の血が流れている。
身体中が傷だらけだった。
彼は歯を食いしばる。
「……本当に、腹が立つな……」
ドアン・ティエットは彼を見下ろしていた。
その目は鋭く、口元には静かな笑みが浮かんでいる。
「ヴァン・ティエン……俺はお前が本当に気に入った」
「だが……残念だな」
「どうやら、ここまでのようだ」
そう言って、彼は手を上げる。
すると――
空を覆う何千もの戦艦の砲門が、次々とエネルギーを蓄え始めた。
赤い光がハノイの空全体を覆っていく。
地上の人々はパニックに陥った。
至る所から叫び声が上がる。
ヴァン・ティエンは空を見上げた。
その目に、徐々に絶望が浮かんでいく。
「終わり……」
「……なのか……」
だが、その瞬間――
ヴォン湖の底から、青い光が放たれた。
その光が周囲を照らし出す。
ヴァン・ティエンも。
ドアン・ティエットも。
同時に驚いた。
大地が、さらに激しく揺れ始める。
ヴォン湖の水面が激しく波打つ。
そして――
湖の底から、一つの巨大な影がゆっくりと浮かび上がってきた。
湖の水が、まるで津波のように高くせり上がる。
ヴァン・ティエンは目を大きく見開いた。
巨大な亀が姿を現した。
その甲羅は、まるで古代の山々のように高くそびえ、荒々しく隆起している。
その背中には、東山の銅鼓に刻まれた神聖で精巧な紋様が深く刻まれていた。
その中心には――
十四本の光線を持つ太陽が、神聖な青い光を放っている。
そこから、原初の力を思わせる波動が絶え間なく広がっていた。
太陽の周囲では、伝説のラク鳥たちが舞っていた。
それは、ただの彫刻ではなかった。
古代から流れ続けるエネルギーに支えられながら、永遠の飛翔を続けている。
そして――
神獣が目を開いた。
その瞳は、金箔のように輝く黄金色。
数千年という時を見通してきた、古代の瞳だった。
神獣は咆哮した。
その声は、現実そのものを震わせるほどだった。
目を高く上げ――
そして、咆哮する。
「グォォォォォ……ン!」
周囲の空間が激しく震える。
エネルギーの波が空全体へ広がっていく。
戦艦の砲撃エネルギーは乱れ始め――
そして完全に消えた。
黒い兵士たちは一斉に動揺する。
「何だ、あれは!?」
「そんなはずがない!」
ドアン・ティエットでさえ、完全に動きを止めていた。
その瞳が大きく縮む。
「神獣……」
「そんな……あり得ない……」
ヴァン・ティエンは目の前の巨大な存在を見つめていた。
ただ、呆然としていた。
これまで見たどんなものよりも遥かに大きく、重厚で、荘厳な存在。
その瞬間――
古代の声が、ヴァン・ティエンの頭の中に響いた。
低く。
ゆっくりと。
まるで千年の歴史の彼方から響いてくるような声。
「星力を宿す者よ……」
「お前は……もう十分に戦った」
神獣の身体を取り囲むように、水面が高くせり上がる。
青い光が古都コーロア全体を照らしていく。
「残りは……」
「我に任せよ。」




