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乞食姫と呼ばれた王女  作者: 大介
第4章 貴族の粛正

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アルベルト 山狩り

騎士や衛兵は貴族の粛正や邸宅の破壊で忙しそうだな。

訓練しかしてないのが悪い気がするぜ。


それを把握しているかのようにケヴィンに声をかけられた。


「アルベルト暇だろう?ちょっと山狩りに行かないか?」

「ケヴィンも行くのか?」


「いや、俺はここの護衛も兼ねてるから離れられない。アルベルトが皆を連れて山で肉を獲って来てほしい。晩飯は鉄板焼きが良いな。訓練は足りてる。ただ野生の動物はそれだけでは狩れない。連携が必要だからな。多ければ燻製にして保存も出来るし悪い事は何もない。ただ油断すると殺されるだけ。実戦より楽だが、良い訓練だろう?」

「間違いない。城の裏山に入って行って良いのか?」


「ああ、申請はしておいた。今日中に帰って来るなら問題ない」

「分かった。偶には俺達も食糧を用意しないと悪いと思っていたところだ。クルト、騎士志望の奴を全員集めてくれ」

「分かったぜ、ボス」


改めて見ると100人以上はいたスラムの住民の半分は、やりたい事を見つけて中で勉強しているんだよな。

本当に凄い事だよ。


この前の話で、孤児院の人間は全員王女様に付いて行くだろう。


そりゃそうだよな。

あんな話を聞いて王都で仕事なんてしてられないだろう。


私達がこの国の中心になるって宣言していった。

どんな職業になりたい奴でも近くにいたい魅力があるんだ。


本当にどこまで進んでいくのか楽しみだ。

王都が霞むような街を作り上げそうだ。


最終的に城すら潰すつもりかもな。

王国の中心になるなら、城がここにある必要が無いからな。


命懸けで本気で歩いている人間は魅力的に見える。

隣にいるエリエッタは同じ孤児だったんだろ?

直感だが、完全な別人になっている。


俺達全員で勝てるか?


無理な気がするな。

それくらい違う。


劣等感が無い訳ではないが、それ以上に楽しみだぜ。


王女と孤児が並んで国を作るんだ。

参加しないともったいないぜ。


「ボス、いいですぜ」

「よっしゃ、集まったな。俺もお前らも日頃の訓練で、ただ飯の食い放題だ。偶にはお返しが必要だと思うだろ?今から山に入って野生動物を狩る。軽く考えるなよ、野生の獣は強い。人間を軽く殺せる力を持っている事を忘れるな。装備を整えろ。相手にした獣に合わせた連携をするぞ。山にいる動物の知識は頭に入っているな?10人1組で5班作る。目標は5匹以上だ。じゃあ行くぞ」

「おっしゃー!」


甲冑を着て城まで歩くだけでも結構きついな…。

騎士は領の奥まで行く事もあるんだから、この程度で疲れてたら仕事にならねーな。


「いいか。獲物は猪、鹿、熊だ。他は無視しろ。狩ったら直ぐに下山して麓近くで血抜きだ。時間があるなら、また登れば良い。山の中は足音に気を付けろ。気配を消す事を意識しながら行動するぞ。獲物が獲れなくても夕暮れ前までには下山する」

「おう!」


「ここからは班行動だ。散開!」

「おう!」


良い緊張感だ。

孤児院の中とは違う。

誰にも守られていない世界。

久しぶりに胸が熱くなるな。


訓練しても悪ガキのままなのかもな。


足音を消す合図を仲間に送る。


(良いか。相手は鹿だ。逃げ足が速い。足音と風の向きに気を付けろ)

(おう)


(群れでいるが欲張るな。1匹だけ確実に仕留める。焦るなよ)

(おう)


よし、いいぞ。

後はタイミングだ。


待ての合図を仲間に送る。


ん…。

鳥の鳴き声が聞こえる。


鹿を見ろ。

今、何を意識している?

確実に鳥の鳴き声を聞いたはず。


どこを見ている?

やはり鳥を見ているな!


行けの合図を仲間に送る。


俺は鹿の群れの一番奥に石を投げた。


鹿は突然の石の音に焦ったはずだ。

よし、鹿がバラバラに散った。

「今だ!」


草むらに隠れ、近くまで逃げて来た鹿の首に剣を突き刺した。

「よし、2匹狩れたな。一回下山して血抜きするぞ」

「おう!」


やはり神経を使うからか、かなり疲れている。

時間はあるが、どうする。


仲間の顔を眺め決断した。

「今日はここまでだ。血抜きをしながら仲間を待つぞ」

「分かりました」


昼過ぎまで待って、4組ちゃんと下山したな。

ここまで鹿5匹、猪1匹だ。


悪くない。

後はクルトの班か。


あいつは馬鹿じゃない。

皆で探す方が危険だな。


夕暮れ前ぎりぎりに下りて来た。

「ボス、遅くなりやした」

「本当だぜ。でかい猪だな。重かっただけか」


「はい。やっぱり山はきついですぜ」

「山がきついなら戦場は地獄だぞ。いや、実際に地獄だ」


「そいつの血抜きが終わったら帰るぞ」

「分かりました」


戦果があるから胸を張って帰れるぜ。

「よっしゃ、今日は肉を食うぞ。帰るぞ!」

「うぉー!」


孤児院に帰るのが当たり前に感じるぜ。

少し前まで憎んでいたのによ。


「悪い、少し遅くなっちまった」

「戦場も似た様なもんだ。生きて帰ったら勝ちだよ」


「本当にそうだな」

「十分な戦果じゃないか。訓練場で鉄板焼きの準備が出来てる」


「おいおい、随分と信頼されてるな」

「お前に限って戦果が無しとは考えてないからな。それに王女様達が楽しみに待ってるぞ」


「どれだけ身軽なんだよ王女様は。お前ら、全員汗を流して夕食まで休憩だ」


王女様と孤児の距離が近過ぎるだろう。

信頼されていると考えるべきか。


「アルベルトお疲れ様。良い戦果ね。お肉が楽しみだわ」

「王女様が来るのが分かっていたら、もっと頑張ったぜ」


「そうなの?緊張させないように黙ってたんだけど」

「どっちが正解か確かに分からんな。頑張り過ぎる奴もいるから」


「じゃあ黙ってて正解じゃない。危ないわよ」

「まぁそうだな。夕飯を楽しんでいってくれ」


ふぅ、久しぶりに緊張感のある1日だったな。

王女様が来るのが分かってたら、獲物が獲れるまで下山しない奴がいそうだ。


外を眺めたらセバスのおっさんが猪を捌いてるじゃねーか。

何でもありだな、あのおっさん。


その横で同じように捌いているのはエリエッタじゃねーか。

刃物を持っている姿が様になっている。

やっぱ勝てそうにねーわ。


エリエッタとセバスのおっさんがダブるな。

まさか、セバスに鍛えてもらってるんじゃないだろうな?


案外そうかもな。

あの子は何でもありな気がするからな。


「おい、肉を焼くぞ。全員訓練場に皿とナイフ持って集まれ」

ケヴィンが呼んでるな。


「はーい」

「早く行くよー」

「肉、肉、肉」


さて喰うぞ。

肉が焼ける良い匂いがしてきやがった。


「ボス、やっぱ自力で獲った肉は上手いっすね」

「ああ、本当に格別だな。今日の疲れが最高のスパイスになってるぜ!」

アルベルトは賢いです戦果無しはないですね。

セバスはエリエッタに肉を斬る事を教えています。

本当なら一緒に山狩りに行きたいのですが、王女様の護衛ですから獲物を捌く事で、肉を斬る感触を知ってもらおうとしています。

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