閑話 リーゼロッテ 悲しい説教
私は娘達が護衛をしているエリーが気になった。
「姉さん、エリーはかなり特殊な子じゃない?」
「そうね。私達以上の地獄を経験していると思うわ。私が頭を下げないといけないと感じる程の地獄。それに自分を1度殺している」
私達以上の地獄って…。
姉さんが訓練を改善しなければ死人が出るような状況だったのよ?
それに姉さんが頭を下げた?
どんな過酷な人生を歩んだら姉さんが頭を下げるのよ。
「自分を1度殺しているとは?」
「あの子には何もなかったの。アリーが名前を付けた時に過去の自分を殺しているわ。だから虐めや嫌がらせ等はあの子に影響を与えない。アリーの為に生きると決めているから。アリーがエリーを友達と呼ぶから全力で隣を歩ける友達に相応しくなれるように努力したのよ」
孤児から娘達以上の学力なのよね。
王女様の友達に相応しくなる為の努力かしら?
異常な程、過酷な毎日を送らないと到達しないわね。
「娘達から予想以上に深い仲だと聞いているけど?」
「違うわ。アリーの為に生きると決めたのに自分に向かう悪意の影響かアリーにも向かったの。だからこのままではアリーに問題が起きると考えて離れようとしたけど、アリーが絶対に離さないと覚悟しているの。アリーが離さないなら自分が守り切れる様になれば良いと訓練を始めたのよ」
この時点で娘達は護衛失格ね。
「お城で訓練?誰としているの?」
「エリーには誰が強いか分からないでしょ?でも、アリーが危険な道の先頭を歩いている事を肌で感じているわ。だからアリーに付いている人なら強いと判断してセバスに訓練をお願いしたの。私も驚いたのよ。学園から帰って来て、毎日動けなくなっているわ。訓練している事をアリーに絶対に悟らせないようにするんですって、可愛いわよね。セバスは訓練する条件として、学園を休まない事と勉強を怠らない事を条件に出したけど、全てクリアしているわ。勉強もアリーの未来の事を考えてしているわね」
セバスと訓練しながら勉強している?
娘達の現状より過酷じゃない。
「あの子の人生は何なの?」
「アリーの友達になり、一緒に先頭を歩いてアリーを守り切る覚悟をしているわね。つまり、一番危険な護衛する、もう1人のアリーなの。アリーの意志を必ず守る。エリーも可愛くて仕方がないのよ」
孤児が名前を付けてもらっただけで、そこまでの覚悟をしたの?
生きてきた環境が関わっているのかもね。
「つまり2人ともが次の世代の女王って事かしら?」
「そうよ。同じ道を一緒に歩く女王。エリーはアリーを守り切る覚悟をしているけど何があるか分からないじゃない。同じ意志を持つ2人を女王に立てた方が良いでしょう?」
駄目だわ。
娘達は全く理解していない。
護衛失格どころじゃない。
「姉さんなら私の娘達に理解させる事が出来たでしょう?」
「そうだけど、足りないわ。命を懸けていない。あの子達は優秀で素晴らしいけど覚悟が無い。アリーとエリーの覚悟に気が付かないでしょ?ヒントは出してあげているけど勘違いをしている。まだ子供だし指令に忠実なら良いかと思ってね」
これが姉さんの優しい所でもあり厳しい所でもあるのよね。
本来ならエリーが王女様から離れようとした時点で護衛失格。
運が良かっただけ。
でも、エリーがより過酷な人生を歩きだしている。
命を守ってという命令で護衛対象に頼っている。
護衛する相手の事を知らないし見ていない。
姉さんは答えを言わずに気が付かせようとした。
それでも勘違いしたまま。
「姉さん最悪じゃないの。甘すぎるわよ」
「私は命を守ってと命令して生きているから良いじゃない。2人の歩く道も変わっていない。エリーがより過酷になったけど、あの子は自分の為だと考えるし必ずやり遂げる。でも、エリーの歩いている道を知って欲しかったから声をかけた。護衛の仕方が変わったから少し成長したじゃない。未だにアリーのおまけだと思っているのが残念だけどまだ子供だからね」
やはり姉さんは分かっている。
2人が勘違いしたままだと言う事を。
「でも、ここから先はその勘違いは致命的よ?」
「専属護衛としてアリーとエリーの道を歩いて欲しいけど、それはあくまでも私の希望でしかない。本人達が選ぶべき問題よ」
このままだと娘達は一族の中で埋もれて終わり。
それも悪い事では無いと考えているのでしょう。
「私が母親として少し促すわ」
「それも自由よ。好きにして頂戴」
本当に情けないわね。
2年も護衛に付いていて何も感じていない。
帰ると2人は寝転んでいた。
「この程度の訓練で何をへばっているの!護衛任務失敗したんでしょう?」
「「失敗していません!」」
「偶然でしょ?貴族の子がぶつかったり、押したり、水をかけたり、命の危険だと思うわよ?凶器を隠し持っているかも、水じゃないかもしれない。エリーに頼るなって言われたんでしょ?護衛失格だから注意されたんじゃないの?」
「命の危険が無いと思いました」
「そう思いました」
護衛が接触を危険が無いと判断しているって致命的じゃない。
さすがに姉さんも注意するわ。
「エリーは私より強い人と毎日動けなくなるまで訓練しているわ。護衛をしっかりすれば、過酷な道は歩かなくて良かったのだけど、どう思う?」
「「・・・・」」
「死んでも王女様を生かす為に訓練している、命懸けよ。あなた達は任務。エリーは違う。一生を懸けて守るつもりで訓練を始めたわ。あなた達はエリーの人生を知らない。知ろうともしない。王女様のおまけで守っているだけ。2人を命を懸けて守ろうとしてないでしょう?」
「「・・・・」」
「姉さんがあなた達を殺さないのは2人が生きているから。あなた達がエリーをおまけ扱いしている事も知っている。だから護衛として足りないと注意した。それでも勘違いしている事を知っている。でも、そこから先は指摘しない。2人と同じ位置に立っていないから、あなた達2人だけ命を懸けていないから。だから好きにすれば良いと思っている。母親だから言うけど普通は教えてくれないわ」
「「・・・・」」
「エリエッタ様の価値が分かりません」
「王女様の友達じゃないんですか?」
「あなた達はその程度って事。一番勘違いしている事は自分達が選ばれたと思っている事。選ばれたのはエリー。そして選ばれたから答えようと死ぬ気で努力しているわ。エリーを適当に護衛したのがあなた達。エリーが生きてて良かったわね。後は自分達で考えなさい」
子供で貴族をなめていますからね。
そして自分達が優秀だと少し自惚れています。




