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乞食姫と呼ばれた王女  作者: 大介
第3章 王立学園2年生

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閑話 エリーゼ 別離と覚悟

全然分かりません。

やはり本人に話を聞きに行くべきですね。


「エリーゼ、どう思う?」

「護衛失敗だと思う。2人を守れと言われていたのに貴族がエリエッタ様に接触するのを放置していたから」


「命の危険が無い限り手は出さないって言ったの叔母様だよ?」

「姉さんはどうして命の危険が無いと思ったの?」


「王女様が悪意を見てるから危険な貴族だった場合は言うでしょ?」

「叔母様に言われた通りの事になるよ?護衛対象に頼ってる。それに貴族の悪意が全部エリエッタ様に向かってるとも言っていたよ」


「エリーゼは私達が甘いと思っているの?」

「思っているよ。護衛失敗しなければエリエッタ様が退学しようとしなかったし、訓練もしなかったんじゃないの?私達のせいで人生を変えちゃってるよ」


「エリーゼはどうしようと思っているの?」

「とりあえず、2人の事を知る事かな。だって叔母様の命令は2人を守る事でしょ?つまり2人の命は同じ価値があったかもしれないじゃない?」


「王女様と孤児だよ?」

「その考え方は貴族と一緒じゃない。身分で判断している」


「姉さんは1日だけエリエッタ様への接触を防いでどう思ったの?」

「異常だと思うよ。やり過ぎだし、貴族が何を考えているか分からないよ」


「何でエリエッタ様って我慢出来るの?」

「叔母様が心が強いって言っていたじゃない」


「王女様の侮辱だけは心が強くても我慢出来ないの?」

「助けてもらったから許せないんだよ」


「それは姉さんの予想でしょ?本人に聞いてないよ」

「じゃあ本人に聞きに行く?」


「それも必要だと思う。エリエッタ様の事を知らないのが問題じゃない?」

「何で?守れば良いんじゃないの?」


「守れなかったじゃない」

「守る為には必要だって事?」


「分からないよ。だって何も知らないから」

「じゃあ聞きに行くしかないじゃん」


「でも、聞いても意味が無いかも知れない。来年も護衛するか分からないから」

「それなら護衛する事になったら聞けば良いんじゃない?」


「それが駄目じゃないの?」

「何で?」


「お母様が言っていたから。私達は選ばれていないって。姉さんは選ばれるつもりじゃん」

「他に護衛出来る人いないじゃん」


「知らないだけかもしれないよ?だってお城にお母様より強い人いるなんて知らないもん」

「エリーゼは結局どうしたいの?」


「エリエッタ様と話しに行くよ。選ばれなくても」

「意味ない事はしないんじゃないの?」


「それは姉さんが思っているだけかもよ?だって話していないんだもん」

「1人でも行く気なの?」


「行くよ。だって私の護衛対象だったから」

「私は王女様の護衛対象だったから行かなくて良いって事?」


「姉さんが決める事だよ」

「私は王女様を守ったから行かない」


「護衛失敗は私の責任?」

「そうなるよ。私はエリエッタ様の護衛頼まれてないもん」


「分かった。もう姉さんとは任務出来ないね。2人で責任を負うと思ってた」

「それぞれ指名されてたから別でしょ?」


「そうなんだ…。私はエリエッタ様に話を聞いてくる」


お城まで走って行こう。


「エリエッタ様いますか?」

「いますが…、秘密なんです」


「護衛をしていたので訓練している事もしっています」

「そうなんですか!それではご案内しますね」


訓練中だった。

運が良いかも知れない。


「中に入ったら訓練していますので、どうぞ」

「はい。ありがとうございます」


「おや珍しい。お客様ですか?」

「エリーゼさんじゃないですか。どうかしました?」

「エリエッタ様と話したかったのと訓練を見たかったのです」


「セバスさん、問題は無いですよね?」

「ええ。隠していないので問題無いですよ。では続けましょう」


「はい!お願いします!」


うそ?

何よこれ?

私達より厳しい訓練だ。

学園に行っている間もしていたと聞いたけど。


全く気が付かなかった。

本気で誰にも悟らせないつもりなんだ。

叔母様やお母様が知っていたのはセバスさんからの報告かな?


やり過ぎていないかしら?


「すみません。セバスさん少し良いですか?」

「どうかしましたか?」


「これ以上は危険じゃないですか?」

「ええ。本人の希望に沿った訓練です」

「私が立てなくなるまで続けてもらえるようにお願いしています」


何故ここまで追い詰めているの?

私が頼りなかったから?


「では続けましょう」

「はい!お願いします!」


私のせいで訓練をしているとしたら。

最悪の護衛失敗だよ。

これは普通じゃない。


何故立ち続けるの?

王女様を守る為だって聞いたけど。


命を懸けて守るって…。

ここまでする必要があるの?


今の時点で貴族の子より強いよ。

私達の訓練だと直ぐに追いつかれる。


あ!

遂に立ち上がれなくなった…。


「はい。今日はここまでです」

「あ、りがとうございます」


セバスさんと入れ替わりに侍女の方達が担架を持ってきた。

「いつもすみません」

「いえいえ、本当に頑張っていますね」


「全然足りません。セバスさんに勝てないと」


誰から守ろうとしているの?

ここまで強い人いないよ!


「エリーゼさん、お話しは少し後で良いですか?部屋に来て頂ければ話せますので」

「はい。それでお願いします」


そろそろいいかな?

「失礼します」

「どうぞ。寝転がっていますが、すみません。座れませんのでこのままでお願いします」


「それは良いのですが、誰から王女様を守ろうとしていますか?」

「目標は全ての人からです」


つまり最強になりたいって事?

どういう事なのかな?


「どうして王女様を守るのにエリエッタ様が強くなる必要があるのですか?」

「私は王女様の隣にいる友達です。王女様に一番近い私が弱いと守れませんから」


「セバスさんや近衛騎士もいるのにですか?」

「常に近くにいるのは私です。万が一が遭ってはいけませんから」


「今のままでも結構強いですよね?」

「それは分かりませんが王女様の敵を全て排除出来ません」


「学園で会う貴族の子は問題無いですよね?」

「私が何かする事により王女様に被害が行く可能性がありますから」


「どうしたらエリエッタ様は動きますか?」

「今ですか?王国にいる貴族を1人で皆殺しに出来るなら動きますよ」


何で?

何でそこまでの力が必用なの?


「どうしてそこまでの力が無いと動かないのですか?」

「弱い人間が下手に動いて犠牲者が出たら嫌じゃないですか」


「犠牲者って王女様ですか?」

「王女様もですけど、平民や孤児に何かするかもしれません」


そんな事まで考えて我慢していたんだ。


「何故王女様の侮辱だけ許せなかったんですか?」

「私達孤児を皆救おうとしてくれているからです。孤児を殺し、薬漬けにし、誘拐していた貴族が馬鹿にするのは許せません」


「何故自分は侮辱されても平気なんですか?」

「たいした事無いからです。小石に躓いた程度の事ですから」


あれがその程度なの?

やっぱりおかしい。


「どの程度の事をされたら怒りますか?」

「何をされても怒らないと思いますよ?」


どんな環境でどんな生活をしていたのだろう?

本気で言っていると思う。

普通じゃない。


「どうしてそうなのですか?」

「何もありませんでしたから、王女様に名前と年齢を付けてもらうまでは何もなかったのですよ。だから、何もないので何されても平気なのです」


環境が分からない。

相当な地獄で生きて来たのかもしれない。

過去は気軽に聞いて良い話じゃない気がする。


「虐められている時は過去の自分だと思っているのですか?」

「いいえ。過去の自分は死にました。私はエリエッタです」


名前を付けてもらった時に過去の自分を殺している。


「変な事を聞きます。何の為に生きていますか?」

「王女様を守る為です。誰からもどんな時も必ず守る為です」


生きている理由が王女様を守る。

根本的に違うんだ。


「何故王女様なのですか?助けてもらった事以外に理由がありますか?」

「王女様は自分の命を大切にしていませんから。誰かが守ってあげないといけないんです」


一番大切にしていないのは自分じゃないの?

王女様も自分の命を大切にしていないの?


「何故王女様は自分の命を大切にしていないのですか?」

「孤児や平民を救う為、一番危険な道の先頭を歩いているからです」


一緒に友達として危険な道を歩いているじゃないですか。

つまり、2人は一緒って事かな。


じゃあ2人を守れって任務は…。

2人の王女様を守れって事になるんじゃないの?


もしかして叔母様は2人を女王様にしようとしている?

王女様が学園の挨拶で話していた人の上に立つ資格を2人とも持ってる。


完全な護衛失格だ。


「仮に王女様が死んだらどうするのですか?」

「私が王女様と同じ道を歩き続けます」


完全にそうだよ。

王女様は孤児や平民を救う為に命を懸けてる。

だから、その王女様を守る為にエリエッタ様も命を懸けてる。


本来だったら命を懸けて隣を歩くだけで良かったんだ。

あの時の2人の会話を思い出して…。


一緒に隣を歩く覚悟をしていたけど、自分が隣にいると王女様が危ないと判断した。

王女様はエリエッタ様を絶対に離さないと言った。

離さないなら鍛えて強くなるしか無いじゃない。


王女様が危ないと判断したのは…。

貴族の悪意が王女様まで巻き込み始めたからだよ。


私が護衛としてエリエッタ様を守れば貴族の悪意は止められた。

一族どうこうじゃなく私は護衛じゃないよ。

何もしてないよ。


地獄の様な過去を持つ人を地獄の訓練に送っている。

エリエッタ様は救われないよ。


命を懸けて孤児や平民を守る王女様を命を懸けて守る

先頭を歩くから常に狙われる。

常に守り続ける。


王女様が死んだら後を継ぐと言う事は、その時に誰がエリエッタ様を守るの?


よく分かった。

2人は命を懸けて一番危険な先頭を歩き続けるのに、護衛の私に守る覚悟がない。

誰もエリエッタ様を守っていない。


「エリエッタ様、ありがとうございました」

「いえ、つまらない話しですみません。後エリーでいいですよ。様もいりません」


「それは出来ません!私は護衛ですから。失礼します」


分かった。

私が守るよ。

誰も守ってあげてないもん。


「叔母様にお話があります」

「あら、エリーゼが1人で珍しいわね」


「このままだとエリエッタ様が救われません」

「そうかもね。過去の話でも聞いたの?」


「失礼になりそうでしたので聞きませんでしたが、考えが分かりました」

「エリーの考え方が分かったの?それで救われないの?」


「エリエッタ様を守る人がいません。私のせいで必要の無い訓練まで始めてしまいました」

「気が付いたの。そうなの、エリーに訓練は必要無かったわ」


「何故常に過酷な道を選び続けるのですか?訓練を見ましたが普通じゃありません」

「本人は気が付いていないけど理由は単純よ。自分と同じ思いを誰にもさせたくないの」


叔母様もエリエッタ様は地獄を生きて来たと考えている。

エリエッタ様も王女様と同じで人の為に生きている。


「命懸けで王女様を守ると言うので気になって聞きました。王女様が死んだらどうするのか?もしかしたら自殺を考えるのかもと思いましたが、全く違いました」

「そうでしょうね。アリーと同じ道を歩き続けると答えたでしょう」


「そうです。その時にエリエッタ様を守る人がいません」

「そうなのよね。あそこまで覚悟を持っている人はなかなか見つからないのよ」


「私が守ります。エリエッタ様は私が守り抜きます」

「そうなの?なんで守るの?」


「エリエッタ様の護衛は私だからです。他にはいません」

「守れるのかしら?もう直ぐ追いつかれるでしょう?」


「分かっています。だからここに来ました。叔母様が私を鍛えて下さい」

「妹じゃ駄目なの?あなたじゃ勝てないでしょう?」


「駄目です。セバス様より強い人は叔母様しか知りません」

「エリーがセバスより強くなるなら、エリーゼはそれより強くなるという事かしら?」


「はい。強くなる必要があります」

「妹より強くなってからならいいわ。そうじゃないと無理なのよ」


「分かりました。お母様を倒してここに来ます」

「ええ。なるべく早くお願いね」


「もちろんです。では失礼します」


走って帰りましょう。

時間が無いです。


「お母様、お話があります」

「何かしら?」


「今の訓練ではお母様より強くなれません。別の訓練メニューは無いのですか?」

「あるけど、死ぬ人が多いから姉さんが封印したものよ?」


「それで構いません。私は叔母様より強くなる必要があります」

「突然どうしたの?姉さんは流石にきついわよ」


「エリエッタ様を守るのに必要です。お母様に勝てたら叔母様が修行してくれると約束してくれました」

「私に勝って姉さんの修行を受けるには今の訓練では駄目って事ね」


「はい。甘すぎて話になりません」

「甘すぎて?エリーとセバスの訓練でも見てきたの?」


「訓練も見て、話しをして来ました。誰かが守らないとエリエッタ様だけ1人ぼっちです」

「そうなる可能性もあるわね。あなた立候補してきたの?」


「はい。叔母様に立候補しました。私が護衛として守り抜くと。叔母様の修行を受ける最低条件がお母様の強さだと言っていました」

「修行についていける最低条件なのよ。それに地獄よ?」


「地獄を生きて来たエリエッタ様に、さらに地獄を歩かせてしまいました。私も同じ道を歩きます」

「そう。そこまで覚悟があるのなら良いわ。好きにやってみなさい」


「何でディアナは同じ事をしないのかしら?」

「姉さんと話していて護衛任務の失敗は私の責任となりました。今まで2人で責任を負っていると思っていたのは勘違いだった様です。もう関係ありません」


「そうなの。そうなってしまうのね…」

「はい。エリエッタ様は私の直ぐ後ろまで来ています。遊んでいる時間はありません」


「今後、一族としての任務は受けないのね?」

「必要ありません。私はエリエッタ様の専属護衛として生きます」

王女様をエリーが守るとして、エリーを守る人が誰もいないのです。

エリーゼが立候補しました。

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