アリエッタ お食事会
私は困惑していました。
お父様がエリーに夢中の可能性が高い為です。
しかし、国王主催の食事会を断るのはエリーに負担が大きい。
やはり、お母様に頼むのが一番でしょう。
お母様の部屋でこっそり相談です。
「お母様、お父様がエリーに夢中な気がするのですが?」
「間違いないわ。夫としては娘の様に可愛がっているみたいです」
あれ?
それなら問題ないわ。
「では、私が問題だと思っていただけですね」
「いいえ。最近、手元に置いておきたいと考え始めているので駄目よ」
何ですって?
あの人は計画を自ら潰すのですか?
「2人で王国の中央で都市開発する計画はお父様の案では無いのですか?」
「私が促した結果ではあるけど口にしたのは夫ですからね」
「そうですよね。国王が口にした言葉を曲げる事など許されませんよ」
「心配しなくても良いわ。気が付いたら2人は旅立った事にしますから」
さ、流石お母様。
お父様を昏睡させるのですね。
「完璧ですね。食事会も誘って問題ありませんよね?」
「ええ。別に気軽な食事会です。妹達も参加しますからね」
「声を掛けに行ってきます」
「ええ。安心させてあげて」
そうよ、そうなのよ。
安心させてあげるのが私の使命でもあるの。
ずれている男の発言で、2度苦しめてしまっているわ。
3度目こそ守ってみせるわ。
「エリー、食事会に誘いに来たんだけど大丈夫かな?」
「食事会ですか。どのような内容ですか?」
「お母様の妹であるリーゼロッテ様に物凄く学園でお世話になったから、労う食事会よ。もちろんディアナとエリーゼも参加するから。3日後だけど大丈夫よね?」
「大丈夫です。それにリーゼロッテ様とは先生をして下さった方ですか?」
「そうよ。ディアナとエリーゼのお母様なの。エリーも参加して皆で今年の学園生活を終えて、お疲れ様でしたって食事するだけ」
「お茶会より緊張しない雰囲気ですね」
「じゃあ3日後に呼びに来るわね」
「はい。いつもありがとうございます」
良いのよ、エリー。
呼びに来るだけしか出来ない私を許して。
3日後、エリーは普段通りでした。
良かった。
「さぁ、行きましょうか」
「はい。食事会は初めてで楽しみです」
私は油断していたの。
確認するべきは席順よ。
テーブルのどの席に座るかが大切じゃない。
私は馬鹿だわ。
本当に大馬鹿よ。
「普通は一番活躍されたリーゼロッテ様が主賓では?」
「そうよね?常識よね?ずれている人がいるのかな?」
なぜ国王の対面がエリーなのよ。
おかし過ぎるわ。
姉妹だから対面にしたとか言い訳するの?
「アリー、すまんな。主賓を一番良い席にするべきだと思ってな。上座にしようと思ったが、親戚だしな姉妹で話したい事もあるだろうと思ってこの配置にした訳だ。名采配だろ?」
本当に言い訳したわ。
お母様が早く針を刺してくれないかしら。
永い間、昏睡するタイプを。
「王女様。私は姉さんと話したいから気にしないで良いのよ。このままで座りましょう」
「そうですか。主賓の方にそう言われてしまっては言葉が無いですね」
エリーの話す相手は私かディアナかエリーゼが普通でしょ?
国王夫妻と王妃の妹に挟まれるとか地獄じゃない。
「アリー王女様、私は平気ですよ。先生の授業はとても素晴らしかったですし、私がこの席で良いのであれば気にしませんので」
「そうなの?ごめんなさい。今度は子供達だけで食事会をしましょうね」
そして始まった食事会。
私はディアナやエリーゼと会話出来るけど…。
エリーは誰と会話しているのかしら?
ま、まさか!
既にお父様を眠らせて3人で会話をしているわ。
素晴らしい名采配ですお母様。
しかし食事会です。
メインディッシュが過ぎても起こさない。
まさか…、最後まで寝て終わらせるのかしら?
「ディアナ、エリーゼ。お母様が面白い事してるよ」
「ええ。私達はあの絶技を見た事があります」(ディアナ)
何故だろう?
2人は眠っているお父様を見て恐怖している。
「何か怖い事でもあった?」
「いいえ、凄すぎるのです。起きる時間を秒で把握していますから」(ディアナ)
「最高じゃない。これでエリーの心が守られるなら安心よ」
「国王様はエリエッタ様に関心があるのですか?」(エリーゼ)
「良い事を聞いてくれたわ。王国の中心で都市開発する計画があるの、私達4人で行く事になると思うの。でもね、何故かエリーを手元に残そうとしているのよ」
「ええー。アリー王女様じゃないんですか?」(エリーゼ)
「私が溺愛されていたのは有名でしょ?子離れしたと思ったらエリーに移っただけなのよ」
「大変じゃないですか!どうするんですか?」(ディアナ)
「お母様が昏睡させてくれるみたい。気が付いたら旅立った形になりそう」
「一族最強。何でもありですね」(ディアナ)
「お母様って強いの?戦うイメージ無いわよ?」
「そうですね…。お医者様です」(エリーゼ)
「凄いじゃない?手術とか出来るの?」
「ええ。手術痕を見せてもらいましたけど凄い綺麗でしたよ」(エリーゼ)
「そんな特技があったのね。私の知らない事を2人は沢山知っていそうね」
「一族秘伝みたいな物で、外部に漏れないようにしているのですよ」(ディアナ)
「なるほど、それで皆が知らない訳だね」
「そうです。特に叔母様は一族で一番の天才ですので」(ディアナ)
「この目もお母様由来な気がするの。だから何となく分かるわ」
「お母様の話ですと叔母様の力を分かりやすくしたのが王女様の目らしいですよ」(ディアナ)
「お母様も人の感情とか分かるの?」
「状況と状態で分かるみたいです。お城の中の状況は全て把握しているみたいです」(ディアナ)
「化け物じゃない。そんなに凄いの?」
「最強ですから、やっぱり凄いのです」(エリーゼ)
「叔母様も凄いじゃない」
「お母様も凄いですけど、勝てないみたいです」(エリーゼ)
「じゃあ姉妹で凄いんだ。凄い一族だね」
「ええ。姉妹で最強で最恐ですからね」(ディアナ)
「じゃあ、2人も最強になれるのではないの」
「「無いです!」」
「何でそこだけ声を合わすのよ。嫌な物でも見たの?」
「地上に咲く花火を見ました」(エリーゼ)
(言葉だけ聞くと素敵に聞こえるけど不穏ね)
(死んだ人で櫓を組んで、生きている人を櫓と紐で縛って両方とも燃やすのです)(ディアナ)
(それって悪趣味な拷問殺人じゃないの?)
((その通りです!))
(それを綺麗と言って眺めるのですよ)(ディアナ)
(生きてる暗殺者をどうやって縛るの)
(叔母様が麻酔で足だけ動かなくするのですよ)(ディアナ)
(姉妹で異常者じゃない)
((その通りです!))
(手術って拷問じゃないよね?)
((暇つぶしです!))
(拷問と認識していません。相手の手と足の指が綺麗にありませんでした)(ディアナ)
(お母様、そんな事していたの?)
((異常です!))
「3人に聞きたい事があるけど良いかしら?」
「どうしたのですか?お母様?」
「一族最強の姉妹の耳ってどれくらい良いと思う?」
「え?」
「まさか!」(ディアナ)
「やめて!」(エリーゼ)
「ディアナにエリーゼ、帰りましょう」
「お話しがまだしたいのです」(ディアナ)
「エリエッタ様とお話し出来ていません」(エリーゼ)
「エリーは既にいないわよ。この後も訓練と勉強ですって。素晴らしいと思わない?」
「とても素晴らしいです」(ディアナ)
「私もそう思います」(エリーゼ)
「今日はこの辺にしておきましょう。また食事会をしましょうね」
「そうね姉さん。この後、忙しくなりそうだわ」
「そうなの?私もそうなのよ。お互い大変よね」
「やっぱり子供を持つと大変よ」
「「そうよね?」」
「「「はい!」」」
奇跡よ!!
お父様起きて。
今すぐ起きて、お願いします。
「アリー、夫はまだ起きないわよ」
「知っていました…」
平和だった食事会は、私達の会話により地獄と変わりました。
お父様はベッドで起き、食事会を寝過ごした事になりました。
ひそひそ話すと逆に目立ちますからね。




