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乞食姫と呼ばれた王女  作者: 大介
第3章 王立学園2年生

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アリエッタ 新入生歓迎挨拶

学園が始まる日がやって来ました。


以前学園で教鞭をとっていた教師達は孤児院に不満は無いそうです。

生徒に教える喜びを思い出したそうです。

本当に心からそう思っているのです。

人は変われるのです。


今回、新たな教師として派遣されているのはお母様の一族です。

授業の内容やテストがどうなるのか気になりますが、一番気になるのは貴族の反応です。


大量の暗殺者を送ったりする生徒達が今年、静かに学園生活を終えてくれるでしょうか。

エリーの心を守る為、最大限に安全な学園生活にするつもりです。


去年と同じ様に私とエリーは合流し馬車に乗ります。

自然と一緒に登校出来るのが嬉しいです。

友達がいると実感出来るのです。


私達が馬車で到着した時の貴族の反応は変わりません。

大きな悪意は感じませんが、エリーを見下す感情はあります。


今年は新入生を歓迎する挨拶がありますが、去年と内容を変えるつもりはありません。

「エリー、行きましょう」

「はい。アリー王女様」


「新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。皆様に改めて考えて欲しいのです。私達の権力は人を踏みつけるものではありません。私は機会があれば何度でも訴えたいと思えいます。権力は人を導く為のものです。見下す為のものではありません。それを考えてみて下さい。親がどうだとか、今までこうだったとか関係ありません。私達が次の時代を作っていくのです。…」


どうでしょうか?

少しは考える切っ掛けになってくれれば良いのですが。


ああ、去年と変わりありませんね。

つまり、テスト結果を張り出すと同じ事が起きる可能性が高いのと、暗殺者を送った人達が授業中に襲撃者を送って来る可能性が高いという事ですね。

少し残念ですが仕方がありません。


「以上、歓迎の挨拶とさせて頂きます。代表、アリエッタ・トリエイト」

「去年に続き素晴らしい挨拶でした。感動しました」


エリーは本当に喜んでくれていますね。


貴族の方達には言葉で訴えるしかないのが残念です。

殺し合いがしたい訳では無いのです。


「さあ、教室に行きましょう」

「はい。アリー王女様」


担任の先生は叔母様ですよね。

会ってお話しした事もありますが、お母様と同じ雰囲気でした。

姉妹という事もありますが、同じ様な生き方をしてきたのでしょう。


「席は去年と一緒ですね。学年が変わっただけに感じます」

「本当にそうですね。でも授業は楽しみです」


男爵関係者をすべて綺麗にしたとお母様が言っていました。

それなのに生徒の数が減っていません。


子爵の分家の方や伯爵の分家の方が多く編入しているのかもしれませんね。

周りの反応を見ると、男爵がいなくなった事を気にしている生徒はいません。


悲しむような感情が見当たらないのです。

自分の欲望、利益のみを考えているのでしょうか?


「皆揃っているわね。それでは授業を始めるわよ」


貴族達が戸惑っています。

暗殺者を送っておいて、先生が代わると戸惑うとは何故でしょう?


お母様が教師をやっているみたいで怖いです。

やっぱり姉妹ですね、威圧感があります。

しかも授業の内容が…。


「アリー王女様、難しくなっていますよね?私達でも厳しいのに、貴族の方達は大丈夫でしょうか?」

「本当にそうですね。授業内容を新しく考えたのか本来の授業に戻したのか分かりませんが、これは真面目に受けないとテストでまずい事になります」


授業が始まってから生徒は教師に敵意を向けています。

こんなに難しい事が分かる訳ないだろう、という事でしょうか?

それが狙いなのかもしれませんね。


エリーに意識が向いていません。

平和な授業なのでしょうか…?


叔母様に敵意を向けて無事に終わるのか別の心配があります。

笑顔で貴族の敵意を受け止めているのが怖いのです。

もしかしたら顔を覚えているのかもしれません。


「アリー王女様、授業内容だけに集中しないと怖いですね」

「それが正解ね。何故だか寒気がしますから…」


今日は何事もなく授業が終わりました。

お城に帰る際も問題がありませんでした。


「とても平和な1日でした。学園に来て初めてかもしれません」

「エリーの心が平和なら一番です。良い日だと思いましょう」


エリーと別れ、お母様の元に行きます。


「叔母様のお陰で平和な1日でした。敵意を全て受け止めていましたけど大丈夫でしょうか?」

「ディアナとエリーゼはどう感じたのかしら?」

「怖すぎてお母様の顔を見れませんでした!」

「同じです。とても危険な雰囲気でした!」


「だそうよ。あの子は怒りん坊だから。本当にしょうがない子ね。テストまでは我慢するでしょう」


何を我慢するのでしょうか?

姉妹で分かりあっているのは止めて下さい。

何を考えているか分からなくて怖すぎます。


「わ、分かりました。テストを受けて結果を見たら、今年の学園を終えるつもりでいますので、その後に何が起こるのかは気にしない様にします」


残念ながら平和な学園だと思えたのは、この日だけでした。

怒りん坊です。

怖いです。

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