エリエッタ 学園生活
アリー王女様と学園に通い始めました。
挨拶の時、壇上に一緒に上がったのはとても緊張しました。
皆が私に敵意を向けている気がします。
とても居心地が悪かったです。
しかし、王女様の挨拶を聞いている間に気にならなくなりました。
とても感動的な挨拶でした!
席は王女様の隣です。
授業は驚くほど簡単です。
貴族の人達はこんなに簡単な勉強をする為にわざわざ集まっているのですか?
それとも横の繋がりを強める為に集まっているのですか?
恐らく後者でしょうが、つまらない人達だと思いました。
私に向けられている敵意も、どうでも良く感じました。
授業中に王女様がテストで勝負と言いました。
それはとても楽しみです。
授業もちゃんと聞かないといけませんね。
簡単ですがテストに出るのです。
しっかりと勉強しなければいけません。
私は王女様の隣に常にいるように心掛けました。
少し離れるだけで、通りすがりにぶつかってくる人、ごみを投げつけてくる人もいました。
色々と言葉をかけてくる人もいます。
「孤児のくせに生意気だ出てけ」
「臭いがうつるから近寄るな」
「生ゴミがなんでここにいるんだ」
子供の悪戯に感じて何も思いません。
学園が始まって15日経った頃です。
通りすがりに「綺麗にしてあげる」と水を掛けられてしまいました。
王女様に虐められている事を知られたくありませんでした。
何故か、王女様の悲しむ顔が思い浮かびます。
そんな顔をさせたくありません。
私は噴水に飛び込みました。
「どうしたの!エリー」
「いえ、今まで我慢していたのですが気になってしまって」
私の言葉を聞いた王女様は「それでは私も」と言って飛び込みました。
その行動は予想外でした。
「アリー王女様、風邪をひきますよ」
「それなら学園を休めて丁度良いわね」
王女様は笑顔で私と水遊びを始めてしまいました。
私は孤児です。
それなりに体が強いのです。
王女様が同じ事をしてしまうと熱が出てしまう可能性が高いです。
「今日はこのまま帰りましょう。授業も受けられませんしアリー王女様が心配です」
「そうなの?じゃあエリーの言う通り帰りましょうか」
私の予想通りでした。
王女様は熱で3日間も苦しまれる事になってしまいました。
私の責任です。
どうすれば良かったのでしょうか?
ヒルデさんに相談する事にしました。
「ヒルデさん。私の責任で王女様が熱に苦しまれる事になってしまいました」
「どうしてその様な事になったのです?」
「私は学園で虐めを受けているのですが、王女様に隠しています。知られてしまうと悲しまれると思ったからです。ですが、水を掛けられてしまいましたので隠そうと噴水に飛び込んだのです。それを見た王女様も同じように噴水に飛び込んでしまいました」
「エリエッタ様は1つだけ勘違いをしています。王女様は既にエリエッタ様が虐めを受けているのを知っています。ですから少しでも虐められないようにご自分も噴水に飛び込み、王女様が守っているというのを周りに印象付けたかったのだと思いますよ」
そうなのですか?
知っていて、でも虐めを止められないから水に飛び込んでくれたのですか。
「では、素直に話すべきだったのですね」
「そうですね。どうしようも無い時は素直に相談された方が良いですよ。王女様からその様に言われていませんか?」
「はい。何かあったら直ぐに言ってと」
「そうでしょう。でしたら直ぐに言うべきです。今回は2人とも反省ですね。王女様も自ら噴水に飛び込まれたのですから」
王女様が熱から回復された後、学園に再び通う事になりました。
「すみません。私が噴水に飛び込んでしまったせいです」
「気にしなくて良いのよ。それに楽しめたじゃない。何かあったら言ってね」
やっぱりそうなのですね。
水を掛けられた事も知っているのですね。
今後は素直に相談しようと思いました。
私達が学園に戻るといつもと同じように皆が私に敵意を向けている様です。
子供が必死に頑張っている様で面白いですね。
放課後に2人で歩いていると、私にだけ聞こえる声で囁かれました。
「ゴミ拾いが大好きな乞食姫に拾われた生ゴミは直ぐに出てけ」
一瞬にして目の前が真っ赤に染まりました。
何だって!
王女様を乞食姫だと侮辱したのか!
今すぐこの男に殴りかかりたいのを必死で我慢します。
お前達貴族に何が分かる!
王女様がどれだけの事をしてくれたか何が分かるんだ!
国王夫妻からも手を出さないように注意されています。
相手は私を怒らせて手を出させたいのでしょう。
私を追い出すのか王女様に文句を言うのでしょう。
一生懸命に心を静めるようにします。
「エリー大丈夫?何かあった?」
「少し馬鹿にされてしまいまして怒りそうになってしまいました」
言えません。
王女様を乞食姫と貴族が呼んでいると言える訳がありません。
これだけは嘘をついても誤魔化すと心に決めました。
私は王女様が好きなのです。
悲しむ顔もさせたくありません。
王女様の輝きが曇るような事は絶対に言いません。
そうだ。
私が弱いからいけないんだ。
強くなれば良い。
王女様を守れるくらい強くなれば良いんだ。
お城に戻った後にセバスさんに声を掛けます。
「私を鍛えて下さい。王女様を守れる様になりたいのです」
「本気の様ですね。良いでしょう。学園も休まず勉強も怠らないのが条件ですよ?」
「勿論です。私が鍛えている事は王女様には一切悟らせません」
「良い覚悟です。では学園が終わったら訓練所で始めましょう」
この日から鍛え始めました。
王女様に内緒の訓練です。
王女様を絶対に守る。
私が生きる意味を見つけました。
エリーは王女様にとても感謝しています。
尊敬しているのです。
大好きなのです。




