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乞食姫と呼ばれた王女  作者: 大介
第2章 王立学園1年生

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アリエッタ 新入生代表挨拶

学園に入学する日がやってきました。


馬車での登校です。

歩くのが遅いという点もありますが、護衛する点でも有効だからです。


馬車の中には私とエリーとディアナ、そして近衛騎士が乗っています。

エリーゼは普通に登校し、少し距離をとってエリーの護衛をする事になっています。


「エリーは私の侍女見習いとして学園に入学する事になっています。必ず私の近くにいて下さいね」

「分かりました。離れないように気を付けます」


本当はこんな事、言いたくありません。

一緒に登校し楽しい日々を過ごしたいだけなのです。

しかし今までの貴族を見てきたら安心は出来ません。


少しの油断で何をされるか分からないのです。

必ず離れてしまう場面はありますが、それ以外は周囲とエリーの事を常に意識しようと思います。


学園は60日間。

春から始まる2カ月間の勉強期間です。

期間が短いのは貴族の意思が介入している為でしょう。


貴族が支配していると言う事は、勉強ではなく繋がりを得る為だけに集まるのでしょう。


色々と考えている間に学園に到着したようです。

「では、エリー行きましょう。ディアナ、よろしくお願いしますね」

「はい。離れないようにします」

「かしこまりました」


私は最高位として新入生代表挨拶をする必要があります。

エリーの手を握り壇上へと昇って行きます。

「あの、アリー王女様。私を何故?」


かなり焦っているようですね。

「エリー。侍女は常に主の後ろに控えているものです。挨拶の時も私の後ろに控えていてね」

「はい!分かりました」


さて皆の感情は…。

敵意をむき出しですね。


皆が同じ色ですから、逆に教師の色が目立っています。

相当脅迫されたようですね。


あんな可愛い子達がどうやって脅迫したのでしょう。

お母様の血族ですから見た目に騙されては駄目ですね。

絶対に怖い一面を隠しています。


さて挨拶をしましょう。

「初めに皆に言いたい事があります。私達には権力があります。それは人を導く為にあるのです。人を踏みつけ、見下し、搾取する為ではありません。王族も貴族も平民も孤児も皆、同じ地上に立っているのです。その事をよく理解して下さい…」


感情に変化はありませんか。

エリーに敵意を向けたままですね。


「以上。新入生代表、アリエッタ・トリエイト」


「エリー、教室に行きましょう」

「はい。素晴らしい挨拶でした。感動しました!」


本当に感動しているみたいですね。

どの部分が感動したのでしょう?


私はエリーの輝きを見るだけで感動しますけどね。


教室は予定通り、私とエリーは隣の席ですね。

ディアナが近くに座り、エリーゼは少しだけ離れた位置に座っています。


先生が教室に入ってきました。

エリーゼを見て、一気に恐怖心が出たみたいです。

本当に何をしたのでしょうね。


「それでは授業を始めます」


何ですかこの内容は…。

簡単過ぎるではありませんか。

孤児院の勉強の方が難しいです。


こんな勉強で民を導く事など出来るはずがありません。

「アリー王女様、物凄く簡単ですね。ヒルデさんの方が厳しいですよ」

「エリー、こうなったらテストで勝負です。お互いに全力を出しますよ」


授業中も敵意をむき出しの子が多いですね。

私達は一番後ろの窓側の席です。


視界に入らないのに良くイライラしていられますね。

どういう精神構造をしているのでしょうか?


その日は普通に授業を終わり学園を後にしました。

「エリーゼ、報告をお願いします」

「はい。エリエッタ様に、通りすがりに軽くぶつかる、足をかける、ごみを投げる、等をしている生徒が多かったです。皆、男爵の為、本人の意思なのか命令なのか分かりません」


感情を見ると命令でも本人の意思でも関係ありませんね。


両親が声を出します。

「やはり腐っているな。学園終了後に男爵を粛正しても問題はないぞ?」

「そうですね。毎年少しずつ減らしていく事が一番です。本当はまともな貴族がいる事が一番ですが期待するのは止めましょう」


一緒にいても私に分からないようにそんな事をされていたのですね。

エリーの心は本当に強いです。

私に一切悟らせないのですから。


「ありがとうございます。引き続きよろしくお願いしますね」

「はい。かしこまりました」


エリーの侍女の元を訪ねます。

「エリーの体に傷はついていませんか?」

「軽い擦り傷がありますが、大きなものはありません」


「そうですか。学園に通っている間は特に意識して見て下さいね」

「かしこまりました」


さて、最後に牢屋に行きます。

「おしゃべり衛兵さん。あなたの罪が決まりました。貴族にまで情報を漏らしていたのですね」

「私は貴族に何も話してはいません」


「あなたが貴族だと認識していなかっただけです。口は禍の元です。話す相手や言葉は注意しないといけませんよ。あなたはそれが出来ませんでした。しかも最悪の結果を生み出しています。ごきげんよう」

「待って下さい…」


私はそのまま牢屋を出ました。

エリーが孤児だと認識されていなければ、あれ程の敵意を向けられる訳がありません。

ディアナやエリーゼを知っている貴族はいないのに、彼女たちに敵意を向ける人がいませんでした。


エリーの心が濁るのが心配です。

今の私はそれだけが心配で仕方がありません。

エリーは相当に心が強いです。

軽い虐め程度では感情に揺れが出ません。

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