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第2話 謎の着信履歴

保健室のベッドに寝込むエレナ。

あまりにも理解できない事が起きている。

さすがに気分が良くない。

そう言えば身体中のあちこちが痛い。

自分の手足が重い。

まるで手足が他人の物のようにの動かすのに苦労する。

ケガのせいなのか?

そもそもいつケガをしたのだろう。

保健室のベッドに寝込んで自分の腕に巻かれた包帯を見つめるエレナ。


その様子を見て保健室の先生が声をかける。

「大丈夫? 元気になった。」

その言葉に無理して元気の様子を見せるエレナ。

「ええ、大丈夫です。」

保健室の先生が優しく声をかけてくる。

「少し熱があるみたいだけど、特に問題ないわ。疲れ過ぎなんじゃない。たぶん。」

寝返りをうつエレナ。

「ええ、そうかも知れません。」

エレナの様子を見て自分のデスクの席に着く保健室の先生。


一人でじっと考えるエレナ。

何でだろ? 何で記憶ないのかな?

そう言えば、身体の一部が痛い。筋肉痛もする。

よく見ると、いろんな所にも小さな傷がある。

自分は昨日、何してたんだろ? 昨日の夕方から......。


思わずスマホを手に取るエレナ。

そうだ! スマホだ! スマホメールを見た時に、記憶が飛んだんだ。

怖いけど、見てみよう。


意識をしっかり持ちながらゆっくりとスマホを開き、しばらく操作するエレナ。

あれ? 

何だろ?

スマホのフォルダの一つに、無数の画像が保存されている。

何だろ? この画像?

自分で撮った憶えないし、ダウンロードした記憶もない。

なんで私のスマホのフォルダに、こんなにいっぱい入ってわけ?


スマホ画面に映し出される無数の地形図の画像。

何これ?

地図?

地図にしては見たことない地図。

え?

これ世界地図?

変な地形。

こんな世界地図、見たことがない。


保健室の先生が動く音が耳に飛び込んでくる。

エレナの集中が途切れ、保健室の先生の方を見る。

起き上がるエレナ。


「先生、すみません!」

振り返った保健室の先生に、自分の置かれた今の不安な状況を問いかけてみる。

「先生、夢遊病って、ホントにあるんですかね?」

虚を突かれたようにちょっと驚く保健室の先生。

「何を、急に。」

「...いや、話で良く聞く、夢遊病ってあるのかなあ、と思って。」

「また、ネットで変なサイト見てたんでしょう。」

「違いますよ、私は真剣です。」

「あら、そうなの?」


保健室の先生が白々しく他人事のような表情を浮かべている。

だがエレナは負けずに自身の悩み事を解決するため質問を続けた。


「もし、自分が夢遊病だったとして、どうすればそれが確認できますか?」

「夢遊病の?」

「ええ、そうです。」


何事もなくやり過ごそうと思っているかのような保健室の先生も、

真面目な眼差しのエレナの問いにしばし考える。

「最近のスマホは動画とか音声とか長時間録画や録音できるんじゃなくて?

そうしたら、わかるんじゃない、夢遊病状態の時の自分の行動が。

気になるんだったら、録画しておいたら? どうせずっとスマホ、持ってるんでしょ?」

「……。」


--------------------------------------------------


強い夕陽が廊下の窓から差し込んでくる。

放課後の時間。

教室や廊下などの校内は音もなく静寂に包まれている。

保健室を出て、一人廊下を歩くエレナ。


......昨日もこの時間にスマホメールを受け取って記憶が飛んだ。

また今日も、スマホメールが来て、記憶が飛ぶかも知れない。

だから……。


スマホを慣れた手付きで操作するエレナ。

よ〜し、今のうちに動画音声記録オンにしとこ。長時間のやつで!

設定をオンにするエレナ。

その直後、スマホにメール着信の通知がなる。

驚くエレナ。


もしかして...まさか。

恐る恐るスマホメールを見るエレナ。


--------------------------------------------------


「おはよう! エレナ!」

親友の声が響く。


朝日が強く差し込む校内の廊下。

エレナ、呆然とスマホを持ち立っている。

良くわからない状況に茫然とするエレナ。


何事もなくいつものように話しかけてくる親友。

「エレナ、おはよう! どうしたの?」

その声で我にかえるエレナ。

「えっ? マジ? 私、えっ? いったい……。」

すぐ横に立つ親友を無視するかのように混乱するエレナ。


その様子を気にしつつ元気に声をかける親友。

「何また、ボーッとして! 朝から何ぼけてるの? 大丈夫?」

「......えっ? ええ...。」

自分の手に持つスマホや周りを見て、何が起きたのか、徐々にわかりだすエレナ。

それを無視して元気に語り続ける親友。

「本当にもう! 何やってんだか! 元気出しなよ、元気!」

「……。」


「それにさあ、今日の1限、体育だよ、体育!

早く着替えなよ! 何かホントは、めんどくさいんだけどーっ!

ほらほら、早く〜! エレナも着替えなって!

ステキなボディライン、男どもに見せつけちゃいなよ〜!」


そう言ってポーズを決める親友。

親友の言葉に驚くエレナ。

「え? 男子?」

エレナの戸惑いに親友は澄み切った目で屈託のない返事で返す。

「そ。私たちの素敵なボディ、飢えた野郎どもに見せつけなくちゃ。」


ルンルン気分の親友。

返答に困るエレナ。

男子?

男子学生?

何で?

いつから共学になったの?

ここ、女子校じゃなかったっけ?


混乱するエレナに追い打ちをかけるように驚愕の事実が彼女の目に飛び込んでくる。

視線を下げて、自身の腕を見る。

すると、昨日あったはずの包帯が巻かれていなかった。


えっ? ウソっ! 包帯は? 昨日、確かに昨日、この腕に包帯が巻かれていたはずなのに!

あわてて、自分の両腕を見る。

ない! 全然ない! 昨日まであったはずの、

小さな傷も、ぜんぜんない! キレイに治ってる!


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