南国バカンス
南聖帝国トロピキ、東西南北に別れ位置する世界に4つ存在する国の1つで南に位置している。
東は力、西は富、北は頭脳、南は自由とそれぞれある事を尊重しそれらに長けた人物が多く存在しているのだ。
"黒豹"とは最も力を持つ者に与えられる称号、"白猫"は最も優れた財力を持つ者に与えられる称号、2人は過去にこの称号を先代から継承されている。
そして俺達は謎の組織の追っ手から逃げる為に列車に乗り込み逃走する事に成功した。
しかし、逃走に使った列車は俺達を南国へと運んだ。
今の資金で国に帰るのは難しいし、国を跨ぐ列車は早々来ることは無い。
協力者のいない南国のもあって俺達の正体はプラス処かマイナスにしかならない。命を狙われる危険性があるからだ。
こうして俺達は南聖帝国トロピキで俺達の組織についての情報を探る事にした。
「まずは、情報を集めれそうな場所まで行くか…」
「そ、そのお互いの為にも名前で呼び合いましょ…ルーク…//」
白猫は少し顔を赤らめて目を反らした。
「あ、あぁ…ミア」
2人は気まずそうにしながら少し距離を空けて気まずそうに歩いて行く、その気まずさを紛らわすようにルークは店を指差した。
「そういえば何も食べて無かったよな?そこに飯屋あるから寄って行かないか?」
「そ、そうね!私も空腹だわ…」
2人は"イーグルイート"と書かれた飯屋の前に立ち扉を開けて中に入る。
「お、そこの若いカップル達!いらっしゃい!!ここは肉系料理を専門に扱う飯屋だ!このメニュー表を決めて食べたい物を決めてってくれや!」
中には大声で元気な店主が座席に案内してメニュー表を2つ渡して来た。そこには様々な種類の肉料理メニューが並べられていた。
「す、凄いな…旨そうだ、初めて見るのもあるな?」
「お?まさか、あんたら他国から来たんかい?」
「あ、まあな…こっちの事は詳しく無くてな…」
「なら、この国限定のこれなんてどうだい?」
店主の指差す所には"ハンバーガー"と書かれていた。
「これは…旨いのか?」
「あぁ!大人気で迷ったらこれを選ぶレベルだぜ?」
「分かったわ、これを2つお願い」
「へぇい!べっぴんな姉さん!!」
陽気な店主は注文を受けた後、台所へと戻って行った。
「実は私、何回かこの国に来た事があるんだけど、こんな名前の食べ物は初めて見たわ…最近出来たのかしら?」
「そうか…まあ旨ければオッケーだ。」
10分程待った後に料理が届けられた。
「こいつがハンバーガーだ!」
「独特な形だな?肉、パン、レタスを重ねただけのように見えるが…」
「まあまあとりあえず食べてみな!感想はそれからだよ。」
黒豹はハンバーガーと呼ばれる食べ物を持ちかぶり付く。
ふかりと柔らかなパンが唇に触れ、軽く沈み込む。歯を立てると、表面はしっとりとしているのに、中はふんわりと空気を含んでいた。
続いて厚みのある肉に歯が食い込み、弾力のある抵抗が返ってくる。噛むたびに繊維がほどけ、じゅわりと温かな肉汁が広がった。
しゃくり、とレタスが小気味よい音を立てて砕ける。そのみずみずしい歯触りが肉の重みを和らげ、後からとろけたチーズが舌にまとわりつく。なめらかで濃厚な感触が、パンと肉の間をゆっくりと満たしていく。
幾つもの食感が重なり合い、噛むたびに柔らかさと弾力、軽やかな歯切れの良さが次々と口の中で入れ替わった。
「何これ?こんな美味しい食べ物初めて食べたわ!」
ミアは目を輝かせながらハンバーガーの美味しさに感動している。
俺も焼き肉を好んで時折食べるが、これはそれを上回る程美味だった。
「こんなタイプの料理は初めてだぜ、最近出来たのか?」
「ん?数年前だったっけか、見慣れない格好の男がこの町の店で働いていた際に発明された物って俺は聞いてるぞ」
「ふーん、ならその人に感謝しないとね」
「世の中には色んな人間がいるからな!俺もまた流行りが出たら乗る気だぜ?」
「それにしてもこれが流行るのも納得の味ね…」
「そうそう、この辺りは色々と観光スポットか多いんだ、良かったら見て回ってくれ!」
そして俺達はハンバーガーを食べ終えて、この国の情報屋の情報を探りつつ各地の観光スポットを回って行った。
「わぁ~こんなに広い海なのに人が多すぎて進めそうに無いわね…」
「泳いで行くか?」
「こんな人集りじゃ無理でしょ…」
数時間後…
「この塔かなり高いわね、私の国でもこの高さは数えられる程しか無いわね」
「お、俺…高い所はあまり好かないんだよ…な?さっさと降りようぜ…」
「え?まさか怖いの?意外な弱点見~つけた」
「ちゃ、茶化すなよ!」
ルークは足を震わせながら鉄格子にしっかりと握っていた、若干小刻みに震え汗の量からして苦手なのは本当なのだろう。
ミアは珍しいルークの怖がっている顔にニヤニヤが止まらない。
ミアはルークの肩を掴んで一緒に塔の窓から周りの絶景を眺めたが、ルークが窓を触った時にパキッとヒビが入ってしまいルークはパニックになる。
「や!?おおおお落ちるぅぅ!!」
「ちょ、ルーク!演出だってば!」
倒れ込んだ拍子に、彼女の体がすぐ目の前で止まった。
互いに息をのむ。
頬にかかった髪がふわりと揺れ、その向こうで大きな瞳が見開かれていた。あと少し顔を動かせば触れてしまいそうな距離に、二人とも固まる。
時間だけが不自然にゆっくり流れた。
彼女は慌てて視線をそらそうとして、結局また彼の目を見てしまう。耳まで赤くなったのが分かるほどだった。
「……」
言葉は出ない。
聞こえるのは重なりそうな呼吸の音だけ。
「いつまでジロジロ見てるのよ、早く離れてよね…」
その声は震えていた、彼女が緊張しているのが鈍感なルークにも理解出来るくらいに。
「わ、悪い…」
「で、でも…もう少しだけなら、このままでも…」
「お客様~大丈夫ですか?叫び声が聞こえたのですが」
「あ!な、なんでも無いです!!ハハッ…」
2人は慌てて立ち上がり平然を装って笑うが顔は真っ赤だ、それに胸もドキドキし過ぎて周囲の音が聞こえていなかった。
その夜、2人は塔の近くの宿泊施設で一晩過ごす事にした。
「なんか情報を集めるつもりだったんだが…楽しんじゃったな…」
「良いんじゃない?たまには休暇も必要でしょ、私は楽しかったわよ?あなたと観光出来て…」
「まあ、俺も満更でも無かったしな…明日からは操作開始だな!」
「そのルーク、ところでなんだけど…なんで私達同じ部屋なの?」
「ここって有名な観光地らしくて、ここしか部屋の空きが無かったんだ…」
「つまり…今日はあなたと一緒に寝ろって事!?私まだシャワー浴びて無いんだけど…」
「少し外に出てくる!ゆっくりしててくれぇ!!」
俺は逃げるように宿を飛び出して近くの河原の橋の上に来た。
いくら金と泊まれる場所がほとんど無いとはいえ、相部屋はダメだよな…
「しばらくこの綺麗な夜景を見ながら待つか…」
すると、近くの裏路地から女性の声がした。
「…や、いやぁ!離してぇ!」
「なっ!?」
「あまり目立ちたくは無かったが仕方ない」
ルークは声のする路地へと駆けて行く、そこには3人の不良に絡まれている緑髪に眼鏡を掛けた女性が立っていた。
「ベタ過ぎるだろ…」
ボソッと愚痴を溢すが騒ぎにならないように一瞬で輩達を格闘技で黙らせた。
「わぁぁ!!凄くカッコいいです!」
「君は?」
「は、初めてまして!助けて頂きありがとうございます!!私、シーナと言います!」
深々とお辞儀をした後に俺に告げた。
「今日はもう暗いですので、このご恩はまたの機会に!ありがとうございました!!」
そうお礼を告げた後にそこから立ち去って行ってしまった。
「ちょっと変わった人だったが無事そうだな…」
謎の女性シーナ、彼女との出会いが俺の運命を揺るがす事になるなんて、この時はまだ気付きもしなかったんだ…
継承について
4つの国には人から人に受け継がれる称号が存在する。称号はその人に様々な恩恵をもたらすと言われているが、実際どんな効果があるのかは不明。しかし、これらの称号を継承するには資格が必要なのだ、国によって少し異なるが一番はその国が最も尊重する物だと解明されている。勿論、殺して奪う事は出来ない。ちなみに称号を持つ人間にはそれぞれ特有の紋章が浮かび上がっている。黒豹は右手の甲、白猫は下腹の左側だ。え?どこからの情報源かって?秘密だよ~




