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黒豹と白猫  作者: 草餅
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起死回生の一手

発砲音が聞こえた後にそっと目を開くと視界は血に染まっていなかった。俺の足元のコンクリートに焦げた跡に煙が少し炊っていた。

目の前の幹部らしき威厳を放つ女は煙草を咥えてベレー帽を被った男に腕を捕まれていたのだ。


「おい、バッテン!なんのつもりだ!軌道がズレちまっただろ!」

「ボスからの命令だ、そいつらの身柄は我々『特務』が預かる事になった。」

「はぁ?納得できっかよ!コイツらの尻尾捕まえて捕らえたのはアタシなんだぞ!」

「なら、組織を裏切るか?命令も聞けないような暴れ馬、我々には不要だからな…」


と、目の前の奴らは言いあっているが俺は訳も分からず質問する。


「あんたら何者だ?」


ベレー帽の男が抵抗する女の前に立った。


「単刀直入に言おう。大人しく我々について来て貰いたい。」

「嫌だ…と言ったら?」


ベレー帽の男は咥えていた煙草を地面に落とし踏み潰して火を消した。


「すまないが実力行使で片付けさせて貰う」

「黒豹!危ない…!」


俺は目の前のベレー帽の男が一瞬で俺の背後に接近している事に気がついた。


「はぁ!!」


白猫が俺に手を伸ばす前にベレー帽の男に襲い掛かったり、それに合わせて俺もナイフを差し込むが容易に防がれる。


「ほう、悪くない…」

「え?なんで刺さってるのに動けるのよ!」


俺達は凪払われ壁に叩きつけられる。

およそ180cmに見えるが、さっきの2m超えの大男とは比べ物にならない拳の重さだった。


「安心しろ、殺しはしない。お前らを我が軍の犬として飼い慣らしてやる…俺が教育してな。」

「そんなの御免よ!黒豹!」

「あぁ!一気に攻めるぞ!」


白猫の閃光弾と同時に2人の蹴りがベレー帽の男を怯ませ下がらせる。

すると同時に港近くの線路から汽笛の音が聞こえ列車が近くの線路を走って来ている。

白猫が俺に合図したと同時に線路に向かって走り出す、白猫は軽々とジャンプし置かれている台や箱に飛び移り倉庫の屋上から荷物車の上に乗った。

俺も遅れて走って荷物車にしがみついた。


「黒豹!手を…」


俺は白猫の手を掴みなんとか上に乗ることに成功した。

そして、白猫のピッキングで扉の鍵を外して俺達は荷物車の中へと隠れた。


「なんとか逃げ切ったわね…」

「そうだな、ここで少し休憩して遠くに移動するまで待つか。」


2人は息を吐いてその場に座り込む。


「強敵相手ばかりだったわ…特にあの男なんて全く歯が立たなかったわよ」

「でも白猫がいてくれ無かったら、俺は途中で死ぬか捕らえられてただろうな」

「それはお互い様でしょ?」


疲れていた白猫の顔に笑顔が浮かぶ、緊張もほどけて落ち着いた空気が広がる。


「ねぇ…その、疲れた」


白猫は安堵して黒豹の肩に寄りかかる。


「俺もだよ…ここまでの強敵は初めてだし、久しぶりに体がダルくなったよ。ありがとな白猫」

「ミアよ」

「え?」

「私の名前はミアよ、名前くらい覚えてよね…」

「いや、初耳だな。俺は…」

「ルークでしょ?」

「知ってたのかよ」

「あなたを調べた時にね、ある程度戸籍情報も調べたのよ」

「どこに出回ってんだよ…」


2人は他愛な会話をし、列車の揺れに瞼が少しずつ下に下がっていく…


「ねぇ…ルーク私…」

「お、おい近いって…白猫」

「ふーんだ…」


少しガッカリそうな顔をしたあと、ミアはルークの膝の上に頭を置いた。


「おいおい、無防備だぞ。って言うかなんでいきなり名乗ったんだよ…」

「協力してくれたお礼よ…」

「それはお互い様ってさっき言ったろ?」

「そのくらい察しなさいよね…バカ」


それからしばらく荷物車の中で沈黙が続いた、次に言葉を発したのは俺だった。


「そういえばさ、どうしてこんなにもここまで俺を守ってくれるんだよ、取引はあくまでも敵勢力の打倒だろ?だが、俺は命まで助けて貰った…なぁ…」


しかし、白猫は何も答え無かった…俺は白猫の顔をそっと覗き込むと彼女は「スースー」と言いながら眠っていたのだ。


「ったく…ドキドキしてた俺がバカみたいじゃないか…」


そんな俺の気も知らずに白猫はぐっすりと気持ち良さそうに寝ているのだ、俺もそんな気持ち良さそうな寝顔に釣られてその場で眠ってしまった。


遠くで声がする…


その声は段々ハッキリと聞こえてくる…


「……て、起…て、起きて!!」

「うぇ!?」


俺が目を覚ますと列車内のままだが、列車の動きが止まった。

どうやら駅に到着したらしいのだ。


「まさか…到着したのか?」

「それより早くここから逃げるわよ…!」


白猫は俺の体を必死に起こして引っ張ろうとする。

そんな急く白猫に感化されて俺もようやく動き出す、駅員が来る前に俺達は荷物車から降りて線路を走り策を飛び越える。

日が昇ったばっかりなのもあって駅員以外は誰も居なかった、俺達は滑るように坂を降り道へと辿り着いた。


「で?俺達はどこに来たんだ?」

「えっ~と、南帝トロピキって書いてあるわね」

「って事は俺達は南国に来たって訳か、だいたい600kmは移動したな。」


こうして南国のトロピキへと辿り着いた。一先ず逃げ切ったが、俺達は次なる舞台を乗り切らないといけない、この事態を治める為にな。

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