襲い迫る魔の手
とにかく腹が減っていた俺は近くのバーガーショップで飯を食べる事にした。最近は依頼続きで質素なレーションくらいでしか腹を満たしていていなかったからな、とにかく俺は一番旨そうなバーガーを選択し貪り食う、中に広がるトロりとしたチーズにシャキッとしたレタスにジューシーなお肉、俺の口と腹と心を満たしてくれる最高の品物だった。俺は食後の後に思った、今まで空腹で頭が回って無かったがこう冷静に状況を考えると何故、白猫は俺に接触して来たのか。気になった俺は裏路地に入りちょっとした秘密の抜け穴から隠しエレベーターに続く道を歩き、地下5階を目指す。
「お?これはまた珍しいお客さんだね~黒豹」
「白猫について色々と知りたい」
「オッケーそいつはC列にあるからな」
そして俺は白猫に関する記述書のうち1冊を手に取った。「白猫誕生秘話」、それにはこう綴られている。白猫は代々暗殺を生業とするプロの一族だ。彼女らの一族に喧嘩を売るとろくな死に方をしないとされている。白猫は一族の中でも残虐性は無いにしても暗殺の腕は歴代でもピカイチの実力らしい、依頼の評価としてもどれも真っ当にこなし完璧主義者とも言われているようだ。しかし、姿を隠すのが得意な暗殺者なだけあって、手に入れれる情報はここまでだ。色々と素性の知れない彼女だが、不要に喧嘩を売らない事だ、彼女の暗殺の腕は確かなのだから。
本はここで終わっている。俺の知りたい情報はそこまで書かれていなかった。
「流石伝説の暗殺一家だな、ここの情報屋でも大層な情報は入手出来ていないとはな…しかしどうしたものか、あっちはある程度俺の情報を掴んでいるようだからな。」
あまり有益な情報を掴めずにいた俺は外に出る事にした。入り口近くまで戻ってきた辺りで...
「こんな所で何を探ってたのかしら?黒豹」
「お前は白猫!?どういう風の吹き回しだ?帰ったんじゃなかったのかよ」
「こっちにも事情があるのよ、そう易々と帰るなんて情けない事は出来ないわよ、東国を裏で仕切ってる実質的な支配者はあなた…黒豹なのよ、あなたにその気が無くても誰も逆らおうなどしない。」
俺の文句を垂らしながら言葉で攻めてくる白猫。
「黒豹の力が不明だったから一応仲間を雇ったけど、なんだかあなた癪に触るわよね。ホントはあそこで叩き潰しても良かったけど、黒豹は私だけで直接仕留めたくなったわ…」
「なら、最初からそう言えよな?俺を消したいってさ、暗殺一家の白猫さんよ~?」
「あら、私の事を調べてたの?無理よどこにも大した情報は流れて無いから。」
白猫は足に付けてたホルスターからハンドガンを取り出して容赦なく俺に向かって発泡してきた。俺はなんとか紙一重に物陰に飛び込む。
「なんだ?もうナイフで勝つ自身が無くなったか?」
「別に?私はこっちの方が好きってだけよ」
素早く俺もナイフからハンドガンに切り替えて、物陰から物陰に移りながら少しずつ距離を詰めて行く。互いに攻めるのを待っているが埒が明かない、俺から仕掛ける!俺は小型手榴弾を手に取り相手の物陰の方に投げ入れ一気に距離を詰める。しかし、白猫は俺の作戦に気づいていて背後からナイフで仕掛けてくる、辛うじてナイフで防ぐがそのまま押し倒される。俺の喉元にまで迫っているナイフを防いでいると…
「今だ!両者共々撃ち殺せ!!」
「えっ?」
「馬鹿!伏せろ!!」
突然の黒服達の襲撃に驚きながらも俺は咄嗟に白猫の胸ぐらを掴み下の階段に転がる、2人は階段で転がり下の階に来た。
「なんだよ、タイマンで決着付けるんじゃなかったのかよ?」
「いいえ、私あんなの知らないわよ!」
「はぁ?お前の連れじゃないのかよ!」
「見たら分かるでしょ!撃たれてたのよ!」
2人は転がり落ちてついた下の階で追われている身にも関わらず口喧嘩を初めてしまった。しかし、敵は急ぎ足で下の階にまで降りてくる!黒豹は手前の3人を撃ち倒すが…
「チッ、こんな時に弾詰まりかよ…逃げるぞ白猫来い!」
「えぇ!?ちょ、ちょっと!」
呆気に取られている白猫の手を引っ張り、更に下の階にまで走って降りる。
ガンッ!!
「白猫!非常の脱出路から出る!ちょっと捕まってろよ!」
「え、きゃぁ!?」
黒豹は非常脱出路の扉を蹴り開けて白猫を抱っこしてはしごに足を掛けながら一気に登って外に出て扉を閉める。
「はぁ…一体何なんだ?誰が俺たちを狙っているんだ?」
「ま、まさか私達あいつらにハメられたって事なの!?」
「多分な、俺たちを狙うとは相当覚悟のある奴らみたいだがな…東と西で名が知れてる俺たちを一気に叩き潰すつもりだったんだろうな。」
「とにかく、俺はほとぼりが冷めるまであそこで姿を隠すか…」
黒豹は疲れた体を起こして、扉に振動式爆弾を設置してバックを持ちその場から離れようとする。しかし、白猫に袖を捕まれて足が止まる。
「な、なんだよ?」
「その…私ここには送られて来たし…」
「じゃあそいつらに連れて行って貰えば良いじゃねぇか」
「そのそいつらがさっきの黒服達なのよね…」
白猫はさっきまでの張り詰めた顔とは違いまるで助けを求める子猫のような顔をしながら俺にチラチラと目を向けてくる。黒豹は呆れた顔で白猫を見つつもため息を吐いた後に言う。
「分かった分かった、大人しくしろよ?」
「子供扱いは辞めてよね」
「子供も何もさっきまで俺を潰しに来てた奴に言われたくねぇ」
こうして黒豹と白猫はひょんな事もあり協力関係となった。2人を狙う相手とは一体何者なのか…とにかく今は姿を隠す事にしたのだった。




