第21話 二日目実技試験開始
何か嫌な予感はしていたが、転移された先は一応、森の中であった。ただ、問題は森の『入口』では無く、『出口』だったというところ。
何故分かるかって?師匠と来た事がある上に、目の前にドヴィ山脈が見えているからだよ。街に戻ろうにも、確かここから街までは20キロくらいはあるはずだ。
この辺りのエリアは中級から上級レベルの魔物が多い。たまにその上のレベルの特級も現れると聞いている。.....もうヤダ、帰りたい。
嫌な予感が的中し悲嘆に暮れていると、一人の男性が声を掛けてきた。
「試験開始するけどよいか?」
「あれ?オルソさんじゃないですか。」
よく見ると、合同訓練でお世話になった黒騎士団員のオルソさんだった。何でここに?
すると、私の顔を見て考えていたことを察したのか、
「毎年、魔術科、武術科、医療科に対しては軍部も協力してて、この辺りは俺達の方がよく知ってるから、何かあった時対応しやすいんだ。」
と、教えてくれた。オルソさんがここにいる理由は分かったが、私の試験内容がハードモードになりそうな事に関しては何ら解決していない。
「オルソさんがここにいる理由はわかりましたが、何故私はここからスタートなんですか?ここら辺に出る魔物って中級以上ですよね?」
「あー.....、誰も知らせていないのか。はぁ.......。」
そう言って、溜息をつくオルソさん。何で俺が説明しなくちゃいけないんだ、とかボヤいてますけど、文句を言いたいのは私です。
「えっと、軍部配属される生徒の中でも成績優秀な人は軍部のお偉いさん達の意向で試験内容が厳しくなる事があるんだ。勿論、過去に低級レベル以上の魔物を倒した事があるとかそういう条件は付くんだけど。ちなみにきちんと遠方から魔道具使って採点者の先生方も見てるから、私の評価と先生方の評価を合わせて成績がつくことになってる。」
少し困った顔をしつつも、私の疑問に対して丁寧に説明してくれた。そんな事聞いてないけど。
「もし、時間内に倒せなかったらどうするんです?」
「このエリアからスタートの生徒に対しては日没までにどんなレベルでも良いから魔物を一体倒したらそれで終了ってことになってるぞ。後は魔物のレベルに応じて加点はするし、例え日没までに倒せなくても、その過程で採点する。よっぽど酷くない限り不合格は無いと思うから安心しろ。」
どんなレベルでも良いとは言ってても、この辺り低級レベルの魔物が出る事はほぼ無いので、中級以上の魔物を相手にする事になるだろう。魔力量や身体的な疲労は無いが、昨日の試験の精神的な疲れは結構あるから、早く終わらせてしまいたい。あ、そう言えば……この辺り確か……
「もう質問は無いか?無いなら始めるが。」
「あ、すいません、最後に.......倒した魔物は自分の物にして良いんでしょうか?」
「もちろん。.......狙ってる奴がいるな?」
そう言ってニヤリとするオルソさん。この辺りに詳しいと言っていたし、狙ってる獲物が分かってるのかもしれない。私が狙ってるのはアイツですよ。
「まぁ、そんなところです。もう質問は無いので、さっさと始めちゃいましょう。」
アイツを見つける為には、さっさと始めて貰わないと…。私がソワソワしてるのが分かったのか、少しクスッと笑うオルソさん。
「そうだな。では.......ドゥ・リン、卒業試験実技試験二日目開始!」
こうして、最後の実技試験がスタートしたのだった。
おまけはお休みです…。腰が痛いもんで(´・×・`)




