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異世界行って、騎士団長やります!   作者: 神崎冬花
千草王女編
39/64

32話 序章は終わる

ぶっちゃけ報告会です。

「ほ、本当に千年草を手に入れたのか……?」

「はい。これを煎じて飲めばアウロラ様は助かります」


 私は千年草を手に入れ、朝日が昇るのと同時にバルトラとカルラの元に無礼を承知で駆け込んだ。

 だが、そんな無礼も今なら許されるだろう。

 なんてったってアウロラの病気が治るのだから。

 

「キノさん……。一体どうやってそんな絶滅種を……」

「死の森で取ってきました。かなり苦労しましたが」

「死の森じゃと? まさか生きて帰ってくるとは……。いや、こうしちゃおれん! キノ、すまんがアウロラを呼んできてくれ」

「勿論です!」


 バルトラ達の私室を出て、アウロラの部屋へと急ぐ。

 今は一分一秒が惜しい。

 なるべく音を立てないように、廊下を滑るようにして駆ける。

 やがてアウロラの部屋の前まで辿り着き、扉を開ける。

 

「アウロラ、起きて。起きたら良いことあるよ!」

「うゅ……。後二時間、四時間……」

「そんな待てないよ! ごめんアウロラ。ミュウ、出番だよ!」

「はイ。ご主人!」


 首飾りから本来の子狐の姿に戻り、アウロラの顔のすぐ横に降りる。

 ミュウは相手に幻術を見せる使い魔だ。

 だから寝ている相手に悪夢を見せることも出来るだろうが、勿論そんなことはしない。

 ミュウは自分のモフモフとした尻尾をアウロラの鼻に近づけ……。


「……うぅえ、えっくしゅ!」


 アウロラは柔らかい毛並みに対抗出来ず、可愛らしくクシャミをした。

 アウロラは横になったまま目をゆっくりとこすり、ノソっと起きた。

 ぽやっとした様子でミュウを視界に入れ、やがて私の顔を見た。

 最初はボーッとしていたが、やがてその表情は喜色の色で描かれた。

 

「キノ……。帰ってきたんだね……!」

「うん……。ただいま、アウロラ」

「……おかえり、お姉ちゃん――。ミュウもおかえり……!」

「帰ったでス」


 アウロラは涙目で笑顔を作り、私に飛びかかろうとするする寸前……。


「ごめんアウロラ! ちょっと我慢してね!」

「ぅえ? な、なに?」

「ミュウ、戻って」

「はイ、ご主人」


 アウロラに抱きつかれる前にアウロラをお姫様だっこし、首飾りになったミュウが私の首に掛かったのを確認し、アウロラに負担がかからない程度で走る。


「ふひゃ⁉ ほ、ホントに何なのぉ?」

「ほっ、着いたよアウロラ」

「お父様とお母様の御部屋……?」

「国王陛下、女王陛下。失礼します」


 返事も待たずに扉を開ける。

 これも無礼極まりない事なのだが、バルトラ達はとてもソワソワとしていた様子なので、むしろ返事を待たないで入った方が正解だったかもしれない。

 

「うむ、待って居ったぞキノ。それにアウロラよ」

「お、お父様。これはどういう……?」

「アウロラ、まずは何も言わずにこれを飲んでほしいの」

「わ、わかりました」


 アウロラはなにも言わずに粉になった千年草を口に含み、水を呷った。

 外見的には変化が無い。だが内面的には……。


《――個体名:アウロラの体内魔力が安定しました。魔力回路が活動を停止。残存していた魔力は使用しなければ無くなりませんが、個体名:アウロラの身体を蝕む危険性は消えました》


 ナビ子さんが薬の成果を報告するのと同時に、アウロラもそれに気がついた様子だ。


「……え? なんで、魔力が――」

「体の調子はどうじゃ、アウロラ」

「と、とても良い、と思います。あ、あの。これはまさか……」

「ええ……ええ……。貴女の病気が治ったのよ。アウロラ――」


 涙混じりに話すバルトラとカルラ。

 アウロラは状況を理解出来ていない様子で口を開け閉じさせている。


「千年草を取ってきたのはキノじゃ。キノがお前のために単身で死の森に向かったのじゃ」

「え、う……」

「アウロラ……。もう怯えて過ごす必要は無くなったのよ。アウロラ。貴女はこれからも生きていけるのよ……」

「き、キノ……」


 アウロラは信じられないと言った顔で私を見る。

 私は軽く後頭部を掻き、声が震えないように口を開く。


「アウロラ、様。私は貴女が言った鳥籠の話。正しいと思ったんです。正しいと思った。だからこそ、貴女を鳥籠から出したかった。だってほら。まだ始まったばかりじゃないですか。だから、その。……もっと、生きてて、良いんだよ……? アウロラ」


 最後が途絶え途絶えになってしまったが、言いたいことは全部言い切れた。

 アウロラはいよいよ大粒の涙を零し、グッと涙を抑えた後――


「おねえ゛ちゃん……。大好き――!」


 今度こそ、私に抱きついた。

 私も優しく、それでいて強く。アウロラの背中に手を回す。

 

「アウロラ――良かった。本当、に。良かった――!」

「ええ……ええ…………!」


 バルトラとカルラも私ごとアウロラを抱きしめた。

 


 


 今日、この日。

 


 アウロラは狭い鳥籠から抜け出した。



 △▼△▼△▼



「ちなみに、アウロラがお姉ちゃんと言っていたが、あれは何なのじゃ?」

「あ、あれはですね……」


 アウロラが一頻り泣き終わった後、バルトラとカルラの私室で朝食を取っていた。

 正直王族三人と一緒に食べるなど恐れ多すぎたのだが、アウロラとカルラに押されて渋々引き下がった。

 ちなみにアウロラは私への好感度が天元突破したのか、私の膝上でパンを囓っている。

 アウロラの頭がちょうど首元辺りにあるので食べにくいが、足をプラプラさせながら私の膝に座っている姿は非常に可愛いので問題はない。

 そして食後のティータイム中にバルトラがそう聞いてきたのだ。

 

「お父様。キノは悪くないです。私が勝手に呼んでるだけですので」

「いや別に怒ってなどおらん。ただ、王族の娘が他人を姉呼ばわりするのは政治的にも貴族共的にも少し問題があってな」

「な、何故でしょうか?」

「キノは平民の出じゃろう? そんな者を王族が軽々しく姉と慕っては頭の硬い貴族共がうるさくなりそうでのう」

「また派閥が出来たりでもしたらウンザリですものね」

「それに、仮にお主を正式にアウロラの義姉にしたらしたで、お主には騎士を辞めて貰い王族としてのマナーを教えなければならんくなるしのう」

「マジか……あ、そうなんですか……」

「まあ、プライベートで姉呼びをするのは構わんよ。お主には大きな借りが出来たしのう」

「い、いえそんなお気になさらず」


 なるほど。王族が平民を軽々しく姉呼ばわりしたらそれはそれで問題なのか。

 『実は遠い国の王族ですぅ』とでも言ってみようか……。いや、止めよう。絶対いらんトラブルが起きる。

 そんな事を考えているとカルラが。


「ねえキノさん。お話があるんだけどいいかしら」

「あ、はい。何でしょう」


 カルラは紅茶を一口飲み、微笑を浮かべた。


「貴女、今日からアウロラの専属騎士にならない?」

「……んえ?」

「お母様――!」


 思わず妙な声が出たが、膝に座っているアウロラが嬉しそうな声を上げた。

 専属騎士……最初はアウロラが死ぬまで護衛しろという任務だったが、これは違う。

 正真正銘アウロラの騎士となれ、ということだ。


「私達を守る時より休みが少なくなるけど、どうせアウロラは病気が治っても引きこもってるだろうし、やっぱり遊び相手だけどね。それでもやるかしら?」

「はい。勿論です。誠心誠意、アウロラ様の暇つぶしになります!」


 私がそう言うと、皆一様に笑った。

 アウロラを見ると、心底嬉しそうに微笑み、甘えるように私の胸に頭を置いた。

 今、私は人生で一番満たされている。

 そう思うほどに、私は今――












 ※序章はもう終わった(回想はもうじき終わる)











 ――あははははははは――――――‼










 ――なんで……、ナンデ………………。










 ――ああああああぁ、アアアァ。あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼‼











 △▼△?▼△▼




 飛び起きる。

 何日経ったか。

 何があったか。

 昨日何をしていたか。

 私は今寝ていたのか。

 夢を見ていたのか。

 過去か未来だったのか。

 何も解らない。

 


 泣いていた。

 


 大粒の涙が。



 ポロポロ。



 零れてくる。



 私はただ。



 よくわからないモノに。



 ⬛⬛⬛に。



 謝っていた。


ようやっとここまで来たで工藤(?)ーーーーーー‼



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