表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行って、騎士団長やります!   作者: 神崎冬花
千草王女編
35/64

28話 使い魔

風邪っぽい中での執筆……。おかしな文章になってるかもしれません。



あ、いつものことか。

 アウロラの護衛騎士になって二日目。

 アウロラは一度寝るとテコでも起きないことが解ったので、私はもう一度大図書庫を訪れ本を読みあさっていた。

 私が探しているのは病気の治し方ではない。

 過去にアウロラのような状態になった人間などそういるとは思えない。

 私は最初ナビ子さんに何かエリクサー的な万能薬がないのかと聞いてみたところ。


《検索結果に千年草という薬草が該当しました》


 と教えられたのだ。

 それから千年草の事について調べていたのだが、致命的な点が一つあった。

 

「何年も前に絶滅したとか……なんでさ……」


 この世界にはもう千年草が無いことだ。

 千年草とは、文字通り千年の時を過ごした薬草が特殊進化したものなのだ。

 その薬草はどんな重病や奇病でも治したとされる物で、千の病を治したとされ別名、千錬草とも言われている。

 そしてそんな万能草だが、何十年も前に取り尽くされたのだとか。

 ちょうどその時期に疫病がはやったらしく、保管していた物全て使わざるを得なかったらしい。

 だからまた取るには再び千年の時を待つしか無い、と言うのが千年草に置かれている最大の難点だった。

 それも千年経てば何でも薬草が千年草になるわけではなく、特殊な状況下で育つのが条件とされる。

 かつての群生地には今や魔物が跋扈しており、足を踏み入れる事さえ不可能。

 死の森とさえ言われている場所なのだ。

 場所は大陸の最南部。

 行ってもまだ残っているとは限らないし、生きて帰れる保証も無い。

 せめて近衛騎士数名引き連れるべきなのだが、これで無かったら骨折り損も良いところだ。

 最終手段としてならありだが、まだ速い賭けだと思う。

 だが、


《個体名:アウロラを治療するには千年草しか方法はありません》

(マジか……)


 選択肢は一つしか無いようだ。

 分が悪すぎる賭け。

 ここは私の幸運値に賭けるしかないのだが、正直失敗する予感しかしない。

 

「それでも行くしか無いんだよ……」


 私は自分に強く言い聞かせるしか出来なかった。




 △▼△▼△▼




「つまり、死の森に向かう為の戦力を貸してくれと?」

「お願いします、団長」


 私は訓練場のハンスに土下座する勢いで頼み込んだ。

 いつも飄々としているハンスでも少し思案顔になっている。


「――嬢ちゃん、死の森がどういう所か、解ってんのか?」

「強力な魔物が跋扈する魔物の楽園、ですよね?」

「おう、そのとおりだ。だが、嬢ちゃんにはちと酷な話かもしれんが……あそこには嬢ちゃんが戦った鬼がいるんだよ」

「え……」

「あの鬼は厄介でな。近衛騎士の中でも上位者が向かわねえと傷を付ける事さえ難しいんだ。それは嬢ちゃんが身をもって実感しただろ?」

「……それでも、行かなきゃアウロラ、様は……」

「うぅむ……。仕方ねえ、鍛錬は付けられねえが、頼もしい仲間を教えてやるよ」


 ハンスは二カッと笑い私の背中をバシンと叩いた。


 痛いです……。




 △▼△▼△▼




「直接話すのは初めてだったね。僕の名前はクリス。気軽に呼んでくれて構わないとも。そしてこっちの厳しそうな女の人がリーレだ」

「厳しそうは余計よ。私達の戦闘スタイルは魔法剣士。君も魔法剣士よね、歓迎するわキノ」

「よ、よろしくお願いします!」


 ハンスに連れてこられたのは訓練場とは別棟の円形状の空間。

 そこに近衛騎士鎧を着た男女二人が兜を脱いで待っていた。

 クリスは天然パーマと言うべきなのか、栗色の髪が微妙にフワッとしている。

 リーレは真っ赤な髪をポニーテールにしており、クリスの言うとおりそのつり目に睨まれたら反論も出来そうに無い。

 

「さて、君がここに呼ばれた理由は戦力増強。もとい、君の強化だ」

「私達がこれから教えるのは君の使い魔、サーヴァントを召喚する方法よ」

「使い魔、ですか?」

「ああ。使い魔は便利だよ? 敵の偵察にも使えるし、一緒に戦う事も出来る」

「死の森に出向くなら小回りが利く使い魔を連れて行くのはかなり有効よ。召喚した時にどんな使い魔が出てくるかは解らないけどね。暴れん坊もいれば、気まぐれなのもいる。だから最初にどんな使い魔を召喚するか、理由付けする必要があるのよ」

「な、なるほど……」


 それからリーレが取り出した紙に様々な条件を記す。

 色々考えた結果、幻術が得意、容姿は小さめ、サポートメイン。これが私に一番合う使い魔だと言うことで用紙に纏める。

 

「じゃあ、この召喚陣にその紙を載せて、教えた呪文を唱えるんだ」

「は、はい」


 クリスの言うとおり複雑な形をしている召喚陣の真ん中に紙を置き、両手を祈るように合わせる。


「……“我が眷属よ……我が牙となり、爪となり、盾となり、迫り来る有象無象の塵芥共を滅して見せよ……我が望みに応え、女神クロノスの名に誓い、顕現せよ”!」


 徐々に光っていた召喚陣が最後の一句を口にした瞬間一際強く輝き、部屋を青白く染めた。

 キイイイイィィン……という耳鳴りの様な音と吹き荒れる風。

 それらは光りと共に収まり、召喚陣の真ん中には小さく丸まっている、黄金色の子狐がいた。


「お、おおぉ……?」

「成功ね。それも条件に完璧にあった使い魔じゃない」

「うん。初めてで条件に沿った使い魔を召喚するとは。中々才能があるね」


 リーレとクリスが近寄り、賞賛を口にする。

 確かに、漫画などでは狐は幻術を得意としている物が多い。

 これは確かに成功したと言えるだろう。

 そんな事を考えているうちに、ケモ耳がピクリと動いた。

 ヒョコッと顔を上げた子狐は非常に可愛らしかった。

 今すぐ近寄って撫でたい欲に駆られる。

 子狐は前肢で顔を撫で、私を見た。


「ウチを喚んだのはアンタですカ?」

「喋っ……! う、うん。私です。キノって名前、です」

「そですカ。じゃあ契約のために右手出す」

「……あ、私か。はいはい……」


 言われたとおりにしゃがみ、右手を出すと、子狐が私の手の甲に右肢を乗せる。

 ここで名前を付けると契約成立なのだと。

 なるほど、名前……名前……。

 そう言えば昔妹が子猫をこっそり持ってきて可愛がっていた記憶がある。

 その時なんて読んでいたか……。


「……ミュウ、君の名前はミュウ。なんてどうかな?」

「契約成立でス。ウチの名前はミュウ。よろしくでス、ご主人」


 子狐――ミュウはそう言うなり私の肩に飛び乗り、私の頬をペロリと舐めた。

 さっきから可愛すぎるんだがこの子。


「……自立して動くだけでも凄いのに喋るなんて……。キノ君には驚かされてばっかりだよ」

「凄い才能ね、最初でそんな優秀な使い魔を召喚出来たのって君ぐらいじゃないかしら……」

「あ、ありがとうございました……!」

「いや、こちらこそ良い物を見せて貰ったよ。なにか困ったことがあったらいつでも聞きにきな」

「まあ、私もクリスと同じ感想だけど……君、仕事は大丈夫なの?」

「「え?」」

「もうお昼すぎてるけど、アウロラ様放っておいていいの?」

「………」



 忘れてた!




 △▼△▼△▼




「遅かったわね、キノ。なにかあ、何その子?」

「あぁ、えーと。新しく仲間になった使い魔のミュウ」

「よろしくでス。ご主人のご主人」

「喋った……。私の名前はアウロラ。ヨロシクね、子狐ちゃん」

「子狐違ウ。ウチ、ちゃんと大人」


 リーレに言われ、お礼もそこそこに訓練室を後にし、ベッドの上で寛いでいたアウロラは早々にミュウに興味を示していた。

 ずっと城の中に居たのだから、狐どころか動物を見るのすら初めてなのだろう。アウロラはキラキラとした目でミュウを撫でていた。

 美少女が子狐を撫でている姿は何とも庇護欲を刺激される。

 だが、ミュウを召喚したのは死の森に出向くためだ。

 もしかしたらこんな光景を見られるのはもう無いかもしれない。

 

「キノ、どうしたの? 怖い顔してる……」

「大主人二同意。ご主人、具合悪イ?」

「――んーん。何でも無いよ」


 今はアウロラだけが心配だ。

 アウロラの病気を治したいと思ってる。

 

 だが、少し落ち着けば脳裏に広がるのは灼熱の炎。

 思い出すだけで身震いする。

 

 私は、死ぬのが怖い。

 

 そんな当たり前の事を、今更になって思い出した。

 私は超人なんかでは無い。

 それこそ、元の世界に戻ればただの一般人だ。

 私は物語の主人公でも無ければ、選ばれた人間でもない。


(――こんな弱った私を見たら、皆失望するだろうなぁ……)


 心の中で自分の思いを吐露する。

 今までは、皆の前では模範となれるような優等生の振りをしていた。

 嫌われないように、置いていかれないように。

 それが、先日の戦いで私は弱くなった。

 私は、




(――死にたくないなぁ……)




 思わずアウロラの頬を撫でる。

 アウロラは驚いた様子だが、少しの間撫でられてる内に、気持ちよさそうに目を閉じた。


 アウロラとミュウに聞かれないように、口の中で小さく呟いた。



「私なんかがお姉ちゃんでごめんね。アウロラ」






 その三日後、私の元に『念話』が届いた。 



ミュウのアウロラへの呼び方はご主人キノのご主人アウロラだから大主人


ブックマーク、ポイントよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ