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異世界行って、騎士団長やります!   作者: 神崎冬花
千草王女編
33/64

27話 新たな生活

会話文多めです。

「どういう事ですか⁉」


 私はその夜、カルラの元まで行き、無礼を承知でカルラに問いかけた。

 カルラは申し訳なさそうな顔を作り、視線を落とす。


「ごめんなさい。隠しておく気は無かったのだけど」

「何故、アウロラ様が病気だと隠して……」

「まず、アウロラが何故病気なのか、その理由を話すわね」


 そこからカルラはポツリポツリと、独白の様に言葉を紡いだ。


「まず、アウロラに何か違和感を感じなかった?」

「違和感……。そう言えば、魔法使いでもないのに魔力感知が達者だなと。後は……」

「そんな長けた魔力感知があるのに、魔力をまったく感じなかった、とか?」

「……はい」


 通常魔力を持たない者は相手の魔力を感知することなど出来ない。

 魔力感知は半スキルとも言える、言わばデミスキル、技能と言う技術なのだ。

 主に魔法使いが使える能力で剣士などでは使えないだろう。

 かく言う私も剣士なのだが、私はナビ子さんの力を借りているので使用可能だ。

 纏めれば、魔力がない者には使えず、また魔力があったとしても誰にでも使える物ではないのが魔力感知だ。

 だから魔力が無いアウロラに魔力感知が使えるはずが無いし、しかもかなりの高精度の様に感じた。

 私の中に自我が二つというのはナビ子さんの事なのかどうか解らないが、アウロラの長けた魔力感知と病気と何か関係があるのだろうか。


「そう、それが問題なのよ。アウロラは生まれながらにして膨大な魔力を保有していたわ。アウロラの兄達よりもずっとね。最初はとても嬉しかったわ。女神様のご加護だと、元老院のおじさま達も騒いでいたし。それこそあの子は選ばれし者だと最初は思ったわ。他国に嫁がせずに、バルトラ様が死んだ後は王位を継承して貰おうと思っていたわ。でもある日、その膨大な魔力が急に無くなってしまった。それは何故だと思う?」

「………」

「こんな話を聞いたことはないかしら? 遙か昔、膨大な魔力を有した偉大なる魔術師は死の間際、自分の魔力を生け贄にとても強力なスキルを手にしてその生を長らえさせた。つまり、膨大な魔力と引き替えに強力なスキルを得ることが出来るのよ。魔力を全て失う代わりにね」

「つまり、アウロラ様は自信の魔力と引き替えにスキルを得たと?」

「そう。現にハンスもアウロラからとても強力なスキルが宿っていると証言も得たわ。そう、それだけなら寧ろ喜ばしいことなのよ。でもね……」

「……でも?」

「アウロラの体は唐突に魔力が無くなったことで正常に作動していた魔力回路から編み出される魔力は行き場を無くし、魔力を消費するためにアウロラの体を蝕み続けているの。つまり、

 “魔力が得られない体で魔力回路が未だ働き続け、行き場を無くした魔力がアウロラの体を壊している”

って事なのよ」


「なっ! で、でもスキルが得られたなら……」

「そう。伝承通りならスキルを得た時点で魔力回路は死滅してしまう。でもアウロラはそうはならなかった。そもそもアウロラにそんな魔力を引き替えにスキルを得る禁術を使えるはずがない。つまり……」

「――アウロラ様の病気の原因は第三者による任意工作。つまり、アウロラ様じゃない何者かがその禁術を使い、凶器も毒も使わない暗殺をしようと……いや、したってことですか?」

「その通り。一体誰がそんなことをしたのか、そもそも一体どこでその禁術の使用方法を入手したのか。何も解っていないけどアウロラは自信の魔力に体を壊され続けている。これがアウロラの病気の理由よ」


「――治すことは出来ないのですか?」

「セレンにも見て貰ったけどどうにもならないのよ。セレンが治せるのはあくまで体表的な傷のみ。他人の魔力回路を操るなんて誰にも出来ないのよ。それこそ、女神様の力でも借りない限りね」


「私に護衛の任務を与えたのは……?」


「アウロラを、あの子の残り少ない余生を少しでも明るくさせてあげるために。貴女に頼んだの。貴女には辛い役目を追わせてしまったのは理解している。護衛任務を辞めても良い。でももし、もしも引き受けてくれるのなら、あの子にもう一度笑い方を思い出させてせてあげて」





 断ることなど、






 出来なかった。



 

 △▼△▼△▼




「アウロラ様、起きてください。もうお昼ですよ」


 翌日。護衛任務を継続することとなった私は何とかアウロラを治せないかと徹夜で大図書庫に潜り、気づいたときには朝日が真っ直ぐ傾いていた事に気づき慌ててアウロラの部屋まで行ったのだが、アウロラは年相応の可愛らしい寝顔でグッスリと眠っていたのだ。

 流石に昼を越えて寝かせておくにはいかないのでアウロラの肩を揺らす。

 アウロラはボンヤリと目を開けたが、すぐに目を瞑り布団を頭から被った。

 

「うー……後3日……」

「そんなに寝たらもっと悪い病気にかかっちゃいますよ! とりあえず起きてお風呂入ってください!」


 無理矢理アウロラを起こすもアウロラはボーっとしたままだ。


「ほら、浴場までお連れしますのでちゃんと起きてください」

「ん~、体洗って~……」

「だ、駄目ですよ自分で洗わなきゃ!」

「メイド達は洗ってくれたよ……?」


 そう言えば、王族が自分の体を自分で洗うなんて話は聞いたことがなかった。

 元の世界では妹や弟と風呂に入るなんてざらだったので抵抗感はあまりないが……。


「……もう、わかりました。ほら行きますよ。着替えは私が用意するのでちょっと待っててくださいね」

「んあーい……」


 まだ眠いのか呂律がしっかりとしてないアウロラを椅子に座らせ、クローゼットから下が黒、上が白のバッククロスドッキングワンピースを取り出し、その後タンスからドロワースを取り出す。


「お待たせしまし……ああ、また寝てる!」

「むうぅ……」

「ほら行きますよ。ちゃんと起きて歩いてください」

「ふぁーい……」


 フラフラと歩くアウロラの手を取り浴場へと向かう。

 浴場の更衣室に入り棚に置いてある籠に着替えを入れる。


「はい、脱いでくださいアウロラ様」

「脱がせて」

「これもですか……」


 仕方なくアウロラの寝間着を脱がせ体にバスタオルを巻き付ける。

 私も服を脱ぎ同様にバスタオルを体に巻き付ける。

 浴場に入り、洗い場の椅子に座らせる。

 シャワーの取っ手を掴み……関係ないがこの城の設備はなんら元いた世界と変わらないのだ。

 このシャワーも備え付きのボタンを押せばお湯が出てくる。

 お湯の温度は魔力を流せば自由に変えられるし、いっそ元の世界より便利とさえ言える。

 シャワーのから出てきたお湯をアウロラの髪にじっくりと掛け、シャンプーを取りしっかりと時間をかけて洗う。流石にトリートメントはないようだったが、


「デリケートゾーン専用のソープがあったときは流石にこの世界の技術力の高さに驚いたなぁ……」

「なんか言った?」

「あぁ、いえなんでもありません」


 それからひとしきりアウロラの身体を洗い浴槽内に入れる。

 私も自分の身体を素早く洗い、アウロラを浴槽から出す。

 乾いたタオルでアウロラを乾かし、服を着させる。


「……キノって手慣れてるのね」

「え、ああ。妹達がいましたので」

「ふうーん」


 風呂に入った事でようやく目が覚めたのか口調も気品があるものに変わっていた。

 再びアウロラの部屋に戻る。

 さて、これからどうすればいいのだろうか。

 とりあえずやることはもう終わったのだが。


「お腹空いた」

「あ、はい。今お持ちしますね。食べちゃいけない食材とかは」

「無いわよ。厳密に言えば病気って訳じゃないし。私お肉食べたい」

「あぁ……。わかりました。ちょっと待っててください」


 しかし、今の時間は14時。宮廷料理人は常に厨房にいるが、流石に今はまかない時なのではなかろうか。

 


 ……しょうがない。



 作るか。




 △▼△▼△▼




「お待たせしました」

「……? 初めて見るわね、これ」

「はい、私が作りました。ハンバーグって言います」

「ハンバーグ? て言うか、キノ料理出来たんだ」

「これでも家事全般は何でもござれです」

「……意外だわ」


 私が作ったのはごく普通のハンバーグ。それに粉ふき芋といんげんのソテーだ。

 使っている素材が今までに作った牛肉より高かったしどういう質があるか解らなかったが、ちゃんと作れたので一安心だ。

 これでも元の世界では毎日の夕食は私が作っていたのだ。

 キノさんに抜かりなしである。

 アウロラはナイフで肉を切り、肉を指したフォークを口に運んだ。

 ゆっくりと咀嚼し、飲み込む。


「――おいしい」

「それは良かったです」

「こんなの食べたことない」

「まあ、そうでしょうね」


 なんたって別世界の料理なのだから。

 私は実は地球の料理をこの世界で作るのはよそうと考えていたのだ。

 だってギルド飯で唐揚げとか寿司とか出てきたらファンタジー感をぶち壊してしまうのだ。

 なので作れても自重していたのだが、今は惜しげも無く披露している。


「……これ私凄い好き」

「ほんとですか?」

「うん。……キノの妹さん達にもこれを?」

「はい、よく作ってました。……もう作ってあげることは出来なさそうですけどね」

「――ごめんなさい」

「ああ、いえ謝らないでください! 住んでるところが離れてしまっただけなので」

「キノは家族に会いたいの?」

「――会いたいです、凄く」

「そう……」

「でも、今はそれ以上に楽しいです。アウロラ様の世話をするのも楽しいですよ」

「――アウロラ」

「え?」

「呼び捨て、ため口でいいよ。二人きりの時だけね」

「で、ですが……」

「私のこと妹さんだと思ってくれていいわ。私もキノのこと姉みたいに見えてきたから」


 アウロラが照れくさそうに下を向いた。

 良い子すぎんかこの子。


「……わかった。アウロラ、ありがとね」

「ん」


 私とアウロラは顔を見合わせ遭ってはにかんだ。



 △▼△▼△▼



 それから夜になり私はアウロラに自分の冒険話を語って聞かせ終わったときにはもう深夜近くになっていた。


「話しすぎたかな。じゃあアウロラ、また明日――」


 そう言って部屋を立ち去ろうとしたとき、服の裾をアウロラに引っ張られた。


「アウロラ?」

「今日からここで寝て」

「え」


 な、何故?


「キノと一緒にいると安心するの。一人は飽き飽きしてた所だから、お願い」

「で、でもなぁ……」

「――お願いお姉ちゃん」

「んーーーーしょーがないなー!」


 アウロラの頼みにしょうが無く了承した。

 決してお姉ちゃん呼びに萌えた訳ではない。決して。

 て言うかこの子は大人になったら良い女王様になれると思う。この萌え力を使えば反対貴族とかいなくなるんじゃなかろうか。

 ――大人になれれば、だが。


 ベッドの上でクスグリあいっこをしながら、


 


 私はアウロラを絶対に治すと心に固く誓った。






アウロラって凄い間違いそうになる。間違えてアセ〇ラか、アロー〇って書きそうになる。

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