番外編 青銅騎士の誓い
友人からの要望。
「ユーリとキノの日常を見たい」
私、ユリウス・エル・クロードは王国の2大貴族とまで言われるクロード家の長男であり、次期当主である。6歳の頃から剣の修行を賜り、18歳となった今、王都で冒険者に扮して冒険活動を行っている。
妹のマーガレットと、その友人であるらしいマリアは初心者が多く集まるギルドに移った。
護衛も付けないのは流石に危険では無かろうか、そう思っていたが、王都にある屋敷にマーガレットが帰ってきたとき、嬉しそうに冒険の話をしてくれた。
何でも、マリア以外に新しい仲間が出来たのだと。
今までは、年齢と見た目のせいで禄にパーティーに入れてもらえなかったそうだが、なんと2つ返事で引き受けてくれたようだ。
だが、その冒険者に問題があった。
今日冒険者になったばかりで、しかもマーガレットと同じ15歳の少女なのだという。
そんな初心者にマーガレットを任せられない。
そう思い翌日初心者ギルドに向かった訳なのだが……。
負けてしまったのだ。アッサリと。
なんとその可憐なだけにしか見えない少女は剣士なのに魔法を使い、更には私に勝って見せた。
心が震えたものだ。
あれ以来私はその少女に忠誠に近い信頼感を抱いている訳なのだが――
△▼△▼△▼
「あっ、ユーリ!」
商店で傷薬を眺めていた私に不意に声が掛けられる。
驚いて振り返ると、そこには私を負かした少女がいた。
この地方では珍しい黒髪黒目なのですぐに解った。
「おはようございますキノさん」
「おはよう。ユーリの方が年上だから敬語は要らないっていつも言ってるのに」
少女は苦笑し、思いついたように口を開く。
「あっ、そうだ。ユーリに見せたい物があるんだけど、ちょっと付き合ってくれない?」
「えっ、あ、はい。わかりました」
着いてきて、と言い、私の先を歩く少女。
慌てて着いていき少女の隣に歩く。
無言のまま歩いていると少女は一軒の店の前で立ち止まった。
「ここここ。私の知り合いのお店なんだけど武器屋兼鍛冶屋なんだ。ほら入って入って」
言われるがまま入店すると武器や防具が棚に立ち並び、見る者を魅了する。
内装は地味だが、武器の品質に関しては王都並の位だろう。
少女は店の奥にある階段に向けて声をあげる。
「ガゼルー、ガゼル~。……居ないのかな。珍しい」
「それで、キノさん。私に見せたい物とは?」
「あ、うん。これこれ。この剣だよ」
そう言って少女が指し示すのは一降りの剣だった。
柄と持ち手が青く、鋼色の刀身は鏡のようで私の姿を映し出していた。
「こ、これは?」
「うん。昨日ユーリ剣折っちゃたでしょ? それの代わりになれば良いと思って……ひょっとしてもう新しいの買っちゃった?」
「い、いえ。まだですが……」
「あ、良かった~。はいじゃあこれ。私からのプレゼント」
そう言って少女は剣を私に差し出した。
「う、受け取れません!」
「えー、何で~!」
「わ、私の剣が折れたのは私の不始末ですし、キノさんの自腹で買って貰う訳には……!」
「だってユーリの剣が折れたのって私の後ろにいたコボルトの攻撃を受け止めてくれたからでしょ? 私の不注意が原因だから受けっとってよ」
「で、ですが……」
受け取ろうとしない私に業を煮やしたのか、少女は私の手に無理矢理剣を握らせた。
「ですがじゃない! 私は皆の役に立ちたいし、ユーリも皆の役に立って貰いたいの! ……だからユーリ。この剣で、皆を。私を守ってよ」
少女の瞳の奥に輝く星に私はしばらく見とれてしまった。
少女は自分が言った言葉を思い出したのか、徐々に頬を朱に染めながら照れ隠しするように。
二ヘラと笑った。
その笑顔を見た瞬間私の中から、何か暖かい物がせり上がってくるのを感じた。
胸が温もりで満たされる。
「さ、さあ行こっか! マーガレット達が待ってるかもしれないもんね!」
少女は店を出てギルドに走り去っていった。
この感情の名前はわからない。
ただ私は思う。
あの人が何か道を間違えるような事があれば、私が正してみせよう。
あの人が闇に囚われたとしても私が守ってみせよう。
そう。
この剣に誓って。
リア充撲滅隊の皆さんご安心を。この小説ラブコメ要素無いので。
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