第2話(後編2)――「金国の北を見る状元」
1223年春。
18歳の倉達也は状元となり、40歳の沈景文も進士となった。
科挙を終えた2人には、朝廷から最初の官職が与えられる。
景文は地方行政へ進む一方、殿試で軍、兵糧、道路、倉、輸送まで論じた達也には、軍事を扱う枢密院で働く道が開かれる。
達也が最初に目を向けたのは金国だった。
北では金が蒙古から圧迫され、南では南宋と向き合っている。
弱り始めた金を見て安心するのではなく、その先に何が起こるかを考えるところから、達也の官人としての仕事が始まる。
(1223年春、南宋・臨安府・沈家)
状元となって数日後、達也と景文のもとへ朝廷から呼び出しが届いた。
朝餉を終えると、景文は届いた文書をもう一度確かめた。
「いよいよだな」
達也が声を掛けた。
「ああ。15年待った」
「今度は試験じゃない。仕事だ」
「分かっている。だから緊張するんだ」
景文は文書を丁寧に畳んだ。
陸玉蘭が2人の衣服を確認する。
「あなた、襟が曲がっています」
「またか」
「動かないでください」
玉蘭は夫の襟を整えた。
次に達也へ目を向ける。
「達也は大丈夫そうですね」
「ああ」
「今日は大切な日です。気を付けて行ってきてください」
「分かった」
達也はそれだけ答えた。
以前のような口説き文句はない。
景文の前で、玉蘭への思いをにおわせることもしなかった。
「行くぞ」
景文が立ち上がった。
「ああ」
2人は沈家を出た。
◇ ◇ ◇
朝廷で最初に任命を受けたのは景文だった。
臨安府管内にある県の主簿である。
高い地位ではない。
県内の文書、戸籍、租税などの記録を扱い、上役を補佐する役目だった。
任命を伝えた官人に、景文は頭を下げた。
「承知いたしました。官人としては初めての仕事ですので、ご指導を受けながら務めます」
「まずは任地の仕事を覚えよ」
「はい」
任命を受け終えた景文は、廊下へ出ると肩の力を抜いた。
「主簿だ」
「よかったな」
「ようやく官人になった」
「15年分、働け」
「お前はすぐそれを言うな」
「もう試験は終わった。これからは仕事で決まる」
景文は達也を見る。
「ああ。今度は落第して終わりというわけにはいかない」
「その方がいい」
「お前は?」
「これから呼ばれてる」
「また別扱いか」
「状元だからだろ」
「行ってこい」
「ああ」
達也だけが別の部屋へ案内された。
◇ ◇ ◇
部屋には数人の官人が待っていた。
卓の上には、達也が殿試で書いた答案が置かれている。
年長の官人が一部を指した。
「倉達也」
「はい」
「この答案で、お前は兵の強さを人数だけで見てはならぬと書いている」
「はい」
「食料、武器、馬、道路、倉、輸送、負傷者の手当まで整えなければ軍として働かぬ、とある」
「そのように考えております」
「実際に軍務へ就いた経験はないのであろう」
「ございません」
「それにしては具体的だ」
達也は余計な説明をしなかった。
「兵も人です。食べなければ動けません。武器がなければ戦えません。遠くへ送るなら道と食料が要ります。人数だけを数えても、実際に戦える兵力とは一致しないと思います」
別の官人が尋ねた。
「ならば10万の兵より、補給の整った5万の兵の方が強い場合もあると?」
「あると思います。兵の質や将の能力にもよりますが、食料が数日しか持たない10万と、長く戦える5万なら、単純に人数だけでは比較できません」
年長の官人は別の紙を取った。
「民政についても書いているが、軍の部分は特に細かい。そこで、お前にはしばらく枢密院で働いてもらう」
達也は姿勢を正した。
「枢密院でございますか」
「そうだ。最初から軍を動かすわけではない。まず文書を読み、朝廷が各地の軍情をどう把握しているか学べ」
「承知いたしました」
「兵の配置、兵糧、城、河川、道路、敵国の動きなど、多くの報告が集まる」
「ぜひ学ばせていただきます」
「状元だからといって、最初から意見が通るとは思うな」
「心得ております。まず事実を知り、仕事の流れを覚えます」
「よろしい」
「よろしくお願いいたします」
達也は頭を下げた。
◇ ◇ ◇
枢密院で達也が最初に読まされたのは、北方から届く報告だった。
南宋軍の配置。
金軍の動き。
淮河沿いの守備。
各城の兵数。
兵糧の備蓄。
北から南へ逃れてくる人々の話。
そして金のさらに北で続いている蒙古との戦い。
達也は何日も文書を読んだ。
同じ地名が何度も出る。
兵の数は書いてある。
だが食料が何日持つのか分からない城がある。
守備兵はいる。
しかし増援が向かう道路の状態が書かれていない。
敵軍が川を渡った場合、どこで食い止めるのか不明な場所もある。
達也は気付いた点を自分の紙へまとめた。
ある日、先輩の官人が達也の手元を見た。
「何を書いている」
「報告を読みながら、気になった場所をまとめています」
「見せてみろ」
「はい」
達也は紙を渡した。
官人は目を通した。
「兵糧の残量、道路、渡河点……兵数そのものより、こちらを気にしているのか」
「兵がいても、食料と増援が届かなければ長く守れないと思います」
「金も今は北が苦しい。蒙古に押されている。しばらく大軍を南へ回す余裕はないという見方もある」
「私もその可能性はあると思います」
「では、何を心配している」
達也は言葉を選んだ。
「金が弱くなったことと、南宋が安全になったことは同じではないと思っております」
「理由は?」
「北で土地を失えば、金は税や食料、人を失います。軍を維持する場所も狭くなります」
「それで?」
「追い詰められた結果、南へ土地や食料を求める可能性もございます」
官人は達也を見る。
「金が南へ来ると決めつけるのか」
「いいえ。そこまでは申しません。ただ、来ないと決めて備えを緩めるのも危険だと考えます」
「では、どうする」
達也は机の上の地図を示した。
「淮河沿いの渡河点を確認し、金軍がどこから南へ入れるかを見るべきです。その上で、主要な城の兵糧、増援路、倉の位置を確認します」
「兵を増やすだけでは足りぬと?」
「はい。守れない城へ兵を増やしても、兵糧を切られれば意味がありません」
「城を増やすのは?」
「必要な場所だけでよいと思います。守れない城を増やせば、かえって兵が分散します」
官人は達也の紙をもう一度見た。
「18歳にしては、ずいぶん慎重だな」
「敵が来てから考えるより、来る前に考えた方が損が少ないと思います」
「それはそうだ」
◇ ◇ ◇
達也が次に調べたのは蒙古だった。
金だけを見ても、今後の北方情勢は読めない。
金の城が攻められている。
土地が荒れている。
人が南へ逃げている。
金軍が北へ回されている。
達也は関連する報告を並べ、先輩の官人へ尋ねた。
「蒙古について、さらに詳しい報告はございますか」
「なぜだ」
「金の動きを読むには、蒙古がどこまで金を押しているのか知る必要があると思います」
「南宋が警戒すべき相手は金だ」
「現在はそうだと思います」
「現在は、か」
「金が北で負け続ければ、その北にいる勢力が南へ近づいてきます」
官人は黙った。
達也は続けた。
「金が弱れば南宋にとって好機だ、という見方も分かります。ただ、金が崩れた後に何が起こるかを見ずに北へ出るのは危険ではないでしょうか」
「蒙古が次の敵になると言うのか」
「そこまでは分かりません。ただ、金をこれほど苦しめている軍が弱いとは考えにくいです」
「では金を助けるのか」
「いいえ」
達也は首を振った。
「金と蒙古が争っている間に、こちらの守りを整える方がよいと思います」
「金が弱ったところを攻めるべきだという意見もある」
「取った土地を守れるのであれば、その価値はあります」
「守れぬなら?」
「兵を失い、金の代わりに蒙古と直接向き合うことになります」
「だから急ぐなと」
「はい。まず相手同士がどれほど削り合うのか見極め、その間に南宋側の兵糧、道路、水路、倉、兵の配置を整えるべきだと思います」
先輩の官人は達也の顔を見た。
「お前は敵同士を戦わせておく気か」
「南宋から止める必要はないと思います」
「冷たい考え方だな」
「国同士ですから」
達也は淡々と答えた。
◇ ◇ ◇
達也は自分の考えを勝手に朝廷の方針として語ることはしなかった。
金と蒙古の動き、淮河沿いの兵糧、渡河点、道路、倉について、文書から分かる範囲だけを整理した。
推測は推測として分けた。
数日後、その紙を上役へ差し出した。
「こちらをまとめました。お時間のある時にご覧いただければと思います」
「何だ」
「金国への備えについて、各地の報告から気付いた点を整理しました」
「命じてはいないぞ」
「承知しております。不要でしたら処分していただいて構いません」
上役は紙を受け取った。
何枚か読み進める。
「金だけでなく蒙古も見ろ、とあるな」
「はい」
「金が弱れば好機ではないのか」
「好機になる場合もあると思います。ただ、金が崩れたあとに蒙古と直接向き合う可能性まで考えておくべきだと思います」
「淮河沿いの倉と輸送路も調べろと」
「敵が来てから兵糧を集めても遅いと思います」
「お前は行政より軍務の方が好きなのか」
達也は少し考えた。
「軍務の方が自分には合っているように思います」
「なぜだ」
「敵がどう動くか、その時こちらがどこへ兵を置き、どう食料を運ぶかを考える方が、頭に入りやすいのです」
「変わった状元だ」
「そうかもしれません」
「預かっておく」
「お願いいたします」
達也は頭を下げた。
まだ18歳の新人官人である。
朝廷の方針を決める立場ではない。
今は資料を読み、事実を集め、上役から求められた時に答える。
それで十分だった。
◇ ◇ ◇
その頃、沈宗礼から達也へ話があった。
場所は沈氏本家だった。
「達也」
「何だ」
「そろそろ本家へ住め」
「ここに?」
「ああ。お前は私の養子だ。しかも状元となり、枢密院へ通うようになった。いつまでも景文の家へ置いておく理由はない」
「景文とは話したのか」
「ああ。お前が決めればよいと言っている」
達也は少し考えた。
景文の科挙は終わった。
自分も仕事を始めた。
何より玉蘭から距離を取ると決めた以上、同じ家に住み続ける必要はない。
「分かった。本家へ移る」
「そうしろ。部屋はこちらで用意する」
「助かる」
◇ ◇ ◇
達也が荷物をまとめる日は、景文の家では朝から落ち着かなかった。
もともと荷物は多くない。
衣服、本、科挙で使った物をまとめれば終わる。
文進が不満そうに尋ねた。
「本当に本家へ行くのですか」
「ああ」
「朝の稽古は?」
「来れば教える」
「毎朝ですか」
「嫌なら1人で鍛えろ」
「行きます」
「なら寝坊するな」
「はい」
慧娘も言った。
「いつでも来てください」
「ああ」
景文は荷物を見ながら笑った。
「食堂で会った時は、まさか本家の養子になって状元まで取るとは思わなかった」
「俺もだ」
「俺も進士になった」
「それは約束どおりだ」
「ああ。十分すぎるほど世話になった」
景文は達也へ手を差し出した。
「本家へ移っても、ここへはいつでも来い」
達也はその手を握った。
「ああ。世話になった」
「文進の稽古も忘れるなよ」
「本人が来るって言ってる」
「なら任せる」
最後に玉蘭が達也の前へ立った。
「忘れ物はありませんか」
「ないと思う」
「本家なら近いですから、何かあれば取りに来られますね」
「ああ」
達也は玉蘭の顔を見た。
玉蘭も達也を見る。
だが景文や子どもたちの前で、2人だけに通じる話をすることはなかった。
「長い間、世話になった」
「こちらこそ。主人をここまで連れてきていただきました」
「景文が自分で受かったんだ」
「それでも、あなたが来なければ違っていたと思います」
達也はそれ以上答えなかった。
「じゃあ行く」
「はい。お元気で」
「ああ」
達也は荷物を持ち、景文の家を出た。
玉蘭は家族と一緒に門まで見送った。
それだけだった。
◇ ◇ ◇
沈氏本家での暮らしは、その日から始まった。
宗礼が用意した部屋は広く、書棚と机もあった。
枢密院から戻ったあと、文書や書物を読むには十分だった。
本家には宗礼だけでなく、同族の家族も暮らしている。
その中に、宗礼の甥である沈文紹と、その妻蘇玉香がいた。
玉香は31歳だった。
文紹は本家の田地や財産の管理を手伝っている。
玉香も家の内向きの仕事を任され、使用人や食料、衣服などの管理をしていた。
達也が移ってきた日の夕食にも、夫婦は同席した。
達也は玉香を見た。
派手な装いではない。
だが顔立ちは整い、姿勢や仕草にも落ち着きがある。
達也は美しい女だと思った。
それだけだった。
文紹の前で声を掛けることはしない。
視線も長く留めなかった。
食事の席では宗礼と仕事の話をし、文紹とは本家の暮らしについて話した。
玉香とは必要な挨拶だけを交わした。
「これからお世話になります」
達也が言った。
「こちらこそ。何か必要な物がございましたら、使用人へお申し付けください」
玉香はそう答えた。
「ありがとうございます」
それで終わった。
◇ ◇ ◇
数日後の午後。
達也は枢密院から早めに戻った。
本家の中庭を通ると、玉香が1人で帳簿を確かめていた。
近くに文紹はいない。
使用人も少し離れた場所で仕事をしている。
達也はそのまま通り過ぎようとした。
玉香の方から声を掛けた。
「達也殿、お帰りなさいませ」
達也は足を止めた。
「ただいま戻りました」
「朝廷のお仕事には慣れましたか」
「まだ覚えることばかりです」
「状元になった方でもそうなのですね」
「科挙と仕事は別ですから」
玉香が笑った。
「随分と真面目なのですね。宗礼伯父上からは、もっと勝手な方だと聞いていました」
「何を聞かれたのですか」
「詳しくは教えてくださいませんでした」
「それなら、そのままの方がいいでしょう」
「秘密が多いのですか」
「人に話す必要のないことは話さないだけです」
玉香は達也を見る。
「18歳とは思えないことを言いますね」
「そうですか」
「もっと何でも顔に出す年頃かと思っていました」
達也は少し笑った。
「出して得をする時だけ出します」
「やはり変わった方ですね」
「玉香殿も、思っていた方とは違いました」
「私を知っていたのですか」
「本家へ来てから見ています」
玉香の目が達也へ向いた。
「何を見ていたのです?」
達也は一度周囲を見た。
近くに人がいないことを確かめてから答えた。
「よく働く方だと思っていました」
「それだけですか」
「それ以外は、今ここで申し上げることではありません」
玉香の顔にわずかな警戒が浮かんだ。
「どういう意味でしょう」
達也はそれ以上踏み込まなかった。
「失礼しました。変な意味に聞こえたなら忘れてください」
「達也殿」
「はい」
「今の言い方では、余計に気になります」
達也は少し考えたあと、声を落とした。
「では1つだけ」
玉香は待った。
「とてもお綺麗な方だと思っています」
玉香はすぐには答えなかった。
達也は続けない。
夫のことも聞かない。
自分の気持ちを並べることもしない。
「それだけです」
達也は頭を下げた。
「お邪魔しました」
そのまま歩き去った。
玉香は帳簿を持ったまま、達也の背中を見ていた。
◇ ◇ ◇
達也は翌日から、玉香へ何も言わなかった。
夫の文紹がいる時には普通に挨拶をする。
食事の席でも必要な会話しかしない。
2人きりになる機会を無理に作ることもしなかった。
玉香の方も、最初はそのままにしていた。
だが一度だけ「綺麗だ」と言われ、その後は何も言われない。
その方が、毎日口説かれるよりも意識に残った。
ある日の夕方、達也が書斎で金国の地図を見ていると、戸口から玉香が声を掛けた。
「達也殿」
達也は顔を上げた。
「はい」
「夕食の支度ができました」
「ありがとうございます。すぐ参ります」
玉香は去ろうとした。
だが一度立ち止まった。
「毎日、随分と遅くまで勉強なさるのですね」
「仕事の続きです」
「金国ですか」
机の上の地図を見れば、それくらいは分かる。
「はい」
「戦になるのですか」
「分かりません」
達也は答えた。
「分からないから調べています」
「怖くはないのですか」
「何がです?」
「戦のことです」
達也は地図を見た。
「怖くない人間はいないと思います。ただ、怖いから見ないというわけにはいきません」
玉香はその横顔を見た。
「達也殿は、普段と仕事の時では随分違うのですね」
「普段の私はそんなに駄目ですか」
「そうは言っておりません」
玉香は少し笑った。
「夕食が冷めますよ」
「今行きます」
玉香は今度こそ部屋を出た。
達也は追わなかった。
◇ ◇ ◇
達也は玉香を気に入っていた。
だが急がなかった。
文紹の妻である。
本家で暮らす以上、夫を不用意に警戒させるわけにはいかない。
宗礼にも余計な心配をさせたくない。
何より、玉香自身が達也を避けるようになれば、それで終わる。
だから人前では何も見せない。
2人きりになっても、相手の反応を見ながら一歩ずつ進む。
秘密にするべきことは秘密にする。
相手へ伝えるべきことだけを伝える。
それが一番確実だった。
一方、枢密院では金と蒙古に関する報告を読み続けた。
金が南へ攻めないと言っているから安心する。
達也には、その考えの方が危険に見えた。
北で押されれば、金が南へ活路を求める可能性がある。
逆に金が崩れれば、その北にいる蒙古が南宋へ近づく。
どちらに転んでも、南宋が何も準備せずに済む状況ではない。
達也は地図の上で淮河を見た。
その北に金がある。
さらに北には蒙古がある。
今見るべきなのは、目の前の敵だけではなかった。
18歳の状元は、官人になって間もないうちから、金国のさらに北を見始めていた。
1223年春、達也と景文に最初の官職が与えられた。
景文は臨安府管内で主簿となり、15年間追い続けた官人としての生活を始める。
達也は殿試で軍、兵糧、道路、倉、輸送などを具体的に論じたことから、枢密院で北方の軍事情勢を学ぶことになった。
そこで達也は、蒙古に圧迫される金が弱ったからといって南宋が安全になるわけではないと考える。
金の南下に備えて淮河周辺の兵糧、渡河点、道路、水路、倉を確認し、金と蒙古が争う間に南宋自身の守りを固めるべきだと意見をまとめた。
また、金の北にいる蒙古そのものも、今後の脅威になり得ると見始める。
私生活では景文の家を出て、養父・沈宗礼が暮らす沈氏本家へ移った。
そこで31歳の美しい人妻蘇玉香と出会う。
達也は人前では何も見せず、夫の文紹にも警戒させないまま、玉香との距離を慎重に測り始めた。




