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北宋の悪女、1986年の男  作者: ひまえび
第一章――「清河県の美しい毒、追う男たち」

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第5話(後編1)――「玉蘭の北伐」

 1224年2月下旬。


 蒙古から買い付けた軍馬2万頭と種馬2000頭が南宋へ入った。


 しかし、これほど大量の馬を徐州と宿州の周辺だけで飼い続けることは難しい。


 耶律玉蘭(イェリュ・ユーラン)は、軍馬を育てるなら北の広い土地を押さえるべきだと達也へ進言する。


 倉達也(ツァン・ダーイエ)の答えは早かった。


 土地が足りないなら、金から奪えばよい。


 達也は北方攻略を玉蘭へ任せ、自分は最後となる大規模な蒙古交易の準備を始める。

 (1224年2月下旬、南宋・徐州(シュージョウ))


 徐州城外には、蒙古から買い付けた馬の群れが広い範囲に分けて置かれていた。


 軍馬は2万頭、種馬は2000頭に達する。


 すべてを徐州へ集めたわけではない。宿州方面にも分散させ、周辺の村から干し草や穀物を買い集めていた。


 それでも量が多すぎた。


 達也と玉蘭は朝から臨時の放牧地を見て回っていた。


 冬の終わりとはいえ、まだ草は十分に伸びていない。馬丁たちは蓄えていた干し草を運び、豆や粟も補っている。


 玉蘭は馬の群れをしばらく見てから達也へ言った。


「達也様。このままではいけません」


「何がだ」


「馬が多すぎます」


「買えと言ったのはお前だろう」


「2万頭もお買いになるとは思っておりませんでした」


「買える時に買った方がいい」


「それは正しいと思います。ただ、飼う土地が足りません」


 達也は周囲を見た。


「徐州の外なら土地はあるだろう」


「農地です」


 玉蘭は答えた。


「馬を増やすために田畑を潰せば、今度は人の食べ物が減ります。それに、馬は飼葉を与えるだけでは足りません。広い土地で歩かせ、毎日十分に走らせる必要があります」


「宿州は?」


「同じです。今いる馬を分散させる程度なら何とかなりますが、これ以上増やすには足りません」


「では、どこがいい」


 玉蘭は北を指した。


「もっと北です」


「金の領地か」


「はい」


 玉蘭は迷わなかった。


「広い土地を押さえれば、馬を群れで動かせます。草を食べさせながら運動させ、冬のための干し草も大量に蓄えられます」


「どこまで取る」


「まず兗州(イェンジョウ)です」


 玉蘭は続けた。


「その先の済州(ジージョウ)、さらに東平(ドンピン)まで押さえられれば、かなり広い土地を使えます」


 達也は玉蘭を見る。


「金軍はいるぞ」


「承知しております」


「何人いる」


「城ごとに守備兵はおりますが、まとまった大軍ではありません。蒙古への備えにも兵を取られています」


「なら取れるか」


「兵をいただければ」


 達也は笑った。


「欲しいのは土地か、兵か」


「両方です」


「欲張りになったな」


「達也様の側室ですから」


 達也は声を上げて笑った。


「いいだろう」


 玉蘭が達也を見る。


「よろしいのですか」


「兗州を取れ」


 達也は続けた。


「取ったら済州へ行け。済州を取れたら東平まで進め」


「黄河まででしょうか」


「黄河より北へは無理に出るな」


「承知しました」


「今は蒙古と戦う時じゃない。金から必要な土地だけ取れ」


「はい」


「それと、城だけ取って終わるな」


 玉蘭が達也を見た。


「牧地ですね」


「ああ。馬を飼うために取るんだ。水場も草地も押さえろ」


「兵糧の倉も必要です」


「作れ」


「冬用の飼葉を蓄える倉も用意します」


「任せる」


 玉蘭は笑った。


「ずいぶん簡単におっしゃいますね」


「お前に任せると言っただろう」


 達也は馬群を見た。


「俺はその間に、もう一度蒙古へ行く」


 玉蘭の表情が変わった。


「またですか」


「ああ」


「今度は何頭お買いになるおつもりですか」


「軍馬3万頭」


 玉蘭が達也を見た。


「3万頭ですか」


「それで最後だ」


「種馬は?」


「2000頭」


「また2000頭ですか」


「今ある分と合わせれば、軍馬5万頭、種馬4000頭になる」


 玉蘭はしばらく達也を見ていた。


「達也様は、本当に蒙古と戦うおつもりなのですね」


「今すぐじゃない」


 達也は答えた。


「だが、蒙古が南へ来た時に、馬がないから戦えませんでは話にならん」


「そのための5万頭ですか」


「全部に1人ずつ乗せる必要はない。騎兵に替え馬を持たせる」


 玉蘭は頷いた。


「蒙古軍と同じ考え方ですね」


「実際に見てきたからな」


「でしたら、北の土地は必ず取ります」


「頼んだぞ」


「承知しました」


 ◇ ◇ ◇


 その日の午後、玉蘭は北方攻略に使う軍の編成を始めた。


 中核になるのは、蒙古から一緒に逃亡した契丹騎兵300人である。


 300人はそのまま戦闘部隊として使うだけではなく、新しく騎馬を覚えた宋兵をまとめる役にも回した。


 徐州と宿州で訓練を受けていた兵の中から、騎乗に慣れた者を選ぶ。


 さらに歩兵と補給隊も加えた。


 城を取るには騎兵だけでは足りない。城門や城壁を攻める歩兵、占領後の城を守る兵、兵糧や矢を運ぶ者までそろえなければならない。


 達也は必要な兵と物資を玉蘭へ渡した。


「最初から大軍を一団にして動かす必要はありません」


 玉蘭が言った。


「金軍がこちらを侮っている間に兗州を取ります」


「兵数を見せすぎるなということか」


「はい。徐州から大軍が北上していると早く知られれば、済州や東平まで守りを固めます」


「ならどうする」


「騎兵を先に出します」


 玉蘭は卓上の地図を指した。


「金軍の斥候を追い払いながら北へ進みます。歩兵は少し遅れて続けます」


「兗州で籠もられたら?」


「城外の道を先に押さえます」


「援軍を入れないわけだな」


「はい」


「できるか」


「やってみせます」


 達也は玉蘭を見た。


「いい顔になったな」


「何がでしょう」


「将軍みたいだ」


「まだ達也様の副官です」


「そのうち変わるかもしれんぞ」


 玉蘭は笑った。


「まず兗州を取ってからおっしゃってください」


 ◇ ◇ ◇


 (1224年3月初め、徐州北方)


 玉蘭の軍は徐州を出た。


 先頭には契丹騎兵がいる。


 その後ろには訓練を受けた宋軍騎兵が続き、さらに歩兵と補給隊が北へ向かった。


 玉蘭自身も馬に乗り、先頭に近い位置を進む。


 達也は出陣を見送るため城外まで来ていた。


 玉蘭が馬上から達也を見る。


「行ってまいります」


「ああ」


「達也様もお気を付けください」


「俺は商売に行くだけだ」


「その商売が一番危ないのです」


「心配するな」


「薩仁様にもお気を付けください」


 達也が笑った。


「そっちか」


「蒙古で問題を起こされたら、3万頭どころではありませんから」


「分かっている」


 玉蘭も笑った。


「戻られる頃には、馬を置く土地を用意しておきます」


「3万頭増えるぞ」


「そのくらい入る土地を取ります」


「頼もしいな」


「達也様が命じたのでしょう」


「そうだった」


 玉蘭は前を向いた。


「出ます」


 騎兵が動き始めた。


 達也はその軍勢を見送った。


 今回は自分が指揮しない。


 玉蘭へ任せる。


 戦だけではない。


 取った土地を守り、大量の馬を養える場所へ変えられるかどうかまで、玉蘭の仕事だった。


 ◇ ◇ ◇


 玉蘭は徐州を出てから、騎兵の動きを止めなかった。


 ただし歩兵を置き去りにはしない。


 騎兵を先へ出して道を確認させ、金軍の斥候を見つければ追い払う。


 深追いはさせなかった。


「敵を倒すことだけが目的ではありません」


 玉蘭は騎兵たちへ言った。


「こちらの兵数や進路を、兗州から外へ知らせないでください」


 騎兵は街道だけではなく、周辺の道にも広がった。


 金軍の小部隊が南へ出てくると契丹騎兵が攻撃し、短時間で追い散らす。


 敵が逃げれば一定のところで止まり、別の道を監視した。


 兗州の守備側が玉蘭軍の規模を正確に把握できないうちに、宋軍歩兵も到着した。


 玉蘭は城壁を見た。


 門は閉じられ、城壁には金兵が並んでいる。


 部下が尋ねた。


「攻めますか」


「攻めます」


「正面からでしょうか」


「正面だけではありません」


 玉蘭は騎兵へ命じた。


「北と西へ回ってください。城から出る者がいれば捕らえてください」


「承知しました」


「東側にも見張りを置いてください」


 歩兵には攻城の準備を命じた。


 その日のうちに、城内から援軍を求めて出た使者が捕らえられた。


 兗州は周囲との連絡を断たれた。


 翌朝、宋軍は攻撃を始めた。


 城壁から矢が降り、宋兵も盾を並べながら進む。


 玉蘭は後方から全体を見ていた。


 闇雲に同じ場所へ兵を送り続けることはしない。


 守りの薄い場所へ兵を増やし、金兵がそちらへ移れば別の場所を攻める。


 午後になると、城壁の一角へ宋兵が登った。


 金軍も兵を集め、必死に押し返そうとした。


 玉蘭はそこで待機させていた歩兵を投入した。


「今です。あそこへ兵を増やしてください」


「承知しました」


 宋兵が次々と城壁へ登る。


 金軍は支え切れなくなった。


 城壁上を確保した宋兵が内側へ降り、城門を開いた。


 待っていた兵が一斉に城内へ入る。


 夕方までに、兗州の抵抗は終わった。


 ◇ ◇ ◇


 玉蘭は城を取った翌日から、次の準備を始めた。


 兵による略奪は禁止した。


 勝手に民家へ入ることも禁じ、必要な食料は代価を払って買わせる。


 城門と城壁には守備兵を置いた。


 それと同時に、周囲の土地を調べる者を送り出した。


「馬を数千頭ずつ置ける場所を探してください」


 部下が尋ねた。


「軍馬のためですか」


「はい」


「戦が終わってからでは遅いのでしょうか」


「遅いです」


 玉蘭は答えた。


「馬を飼うためにこの土地を取ったのです。城を手に入れただけでは目的を果たしたことになりません」


 調べるのは草地だけではない。


 水場が十分にあるか。


 冬用の干し草を蓄えられる場所があるか。


 馬を運ぶ道が使えるか。


 周囲の農地や村の暮らしを邪魔せず、大きな馬群を置けるか。


 玉蘭は必要な兵を兗州へ残し、軍をさらに北へ進めた。


 次は済州である。


 ◇ ◇ ◇


 兗州が落ちた知らせは、済州にも届いていた。


 金軍は宋軍を城へ近づける前に叩こうと考え、城外へ兵を出した。


 玉蘭にとっては都合がよかった。


 城へ籠もられるより、平地へ出てきた方が騎兵を使える。


 斥候から報告が来た。


「前方に金軍がおります。騎兵と歩兵を合わせて数千です」


「騎兵は?」


「およそ800です」


 玉蘭は契丹騎兵を呼んだ。


「正面から長く戦わないでください」


「では、どういたしますか」


「相手の騎兵を歩兵から引き離します」


 玉蘭は蒙古軍の中で、この戦い方を何度も見ていた。


 阿爾布罕も最後の戦で使っている。


 宋軍騎兵が前へ出た。


 金軍騎兵と矢を交わし、しばらく戦ったところで後退する。


 金軍側は宋軍が崩れたと見て追ってきた。


 距離が開いた。


 金軍騎兵と後方の歩兵との間が広がっていく。


 玉蘭は頃合いを見た。


「今です。回ってください」


 契丹騎兵が側面へ出た。


 後退していた宋軍騎兵も馬首を返す。


 前後と側面から攻められた金軍騎兵は隊列を崩した。


 後方の金軍歩兵は追いつけない。


 金軍騎兵が崩れると、玉蘭は宋軍歩兵を前進させた。


 騎兵を失った金軍本隊も次第に押され始める。


 逃げる者が出た。


「城へ入られる前に追ってください。ただし、深追いはしないでください」


 宋軍騎兵が追撃した。


 敗走する金兵が済州へ殺到したため、城門付近でも混乱が起きた。


 玉蘭はそのまま城を包囲した。


 数日後、済州も宋軍の手に落ちた。


 ◇ ◇ ◇


 3月下旬。


 玉蘭軍はさらに東平へ進んだ。


 ここまで来ると、金軍も玉蘭を女だからと侮らなくなっていた。


 兗州を取った。


 済州も取った。


 しかも玉蘭軍は大きな損害を受けていない。


 東平では守備兵が城門を閉じ、城壁の守りを固めて待っていた。


 玉蘭は無理に攻めなかった。


 まず城の周囲を押さえ、外との連絡を断つ。


 近くの村から食料を奪わず、必要な分は代価を払って買った。


 それまで金軍へ物を売っていた商人にも、宋軍へ売るならそのまま商売を続けてよいと伝えた。


 数日すると、城内の食料価格が上がり始めた。


 夜に城から抜け出そうとした金軍の小部隊も、待ち伏せていた契丹騎兵に捕らえられた。


 玉蘭は捕虜から城内の兵数、守備の配置、食料の残りを聞き出した。


 それをもとに攻撃の日を決めた。


「明日の朝、東門へ攻撃を集中させます」


 部下が尋ねた。


「東門から入るのですか」


「いいえ。本当に入るのは南側です」


 翌朝、宋軍は東門へ激しい攻撃を仕掛けた。


 金軍は東側へ兵を集めた。


 玉蘭はその動きを確認した。


 昼前になると、南側で待機していた宋兵へ命令を出した。


「始めてください」


 宋兵が守りの薄くなった南側へ一気に攻めかかった。


 城壁へ兵が登る。


 金軍も急いで兵を戻そうとしたが、間に合わなかった。


 城壁を確保した宋兵が内側から門を開ける。


 そこへ待機していた兵が入った。


 東平も宋軍の手に落ちた。


 ◇ ◇ ◇


 玉蘭は東平へ入ると、北方の情勢を確認した。


 その先には黄河がある。


 部下が尋ねた。


「さらに北へ進みますか」


「進みません」


「黄河まで近いですが」


「達也様から、黄河より北へ無理に出るなと命じられております」


「蒙古軍も北におります」


「だから進まないのです」


 玉蘭は地図を広げた。


 徐州から兗州、済州、東平へ領地がつながった。


「今必要なのは、城をさらに増やすことではありません」


 玉蘭は部下たちへ言った。


「この土地を守り、馬を育てられる場所にします」


 すぐに各地へ人を出した。


 草地と水場を調べる。


 農地を不用意に潰さず、馬を置く場所と人が耕す土地を分ける。


 軍馬は数千頭ごとの群れに分け、1か所へ集中させない。


 冬に備えて飼葉を蓄える倉も作る。


 馬丁が暮らす場所を整え、馬具を修理する職人も置く。


 病気や怪我をした馬は健康な馬群から離して治療できるようにする。


 種馬は軍馬とは別に管理し、繁殖に使う牝馬も集める。


 玉蘭は金から奪った土地を、ただの占領地で終わらせるつもりはなかった。


 ◇ ◇ ◇


 (1224年4月初め、東平)


 朝から、玉蘭は城外の広い草地を馬で回っていた。


 後ろには契丹騎兵が続き、さらに新しく訓練を受けた宋軍騎兵も同行している。


 徐州や兗州方面から移された軍馬の一部が、すでに東平周辺へ入っていた。


 馬は狭い厩へ長く閉じ込められず、群れごとに草地へ出されていた。


 草を食ませるだけではない。


 馬丁と騎兵が毎日群れを動かし、十分に歩かせ、走らせている。


 玉蘭は馬を止めた。


 部下が報告した。


「兗州と済州の牧地も合わせれば、さらにかなりの馬を受け入れられます」


「東平はどうですか」


「土地にはまだ余裕があります。ただ、水場は場所によって差があります」


「水が足りない場所へ無理に集めないでください」


「承知しました」


「達也様が戻られれば、さらに3万頭来ます」


 部下が驚いた。


「3万頭ですか」


「はい」


「今いる馬より多いではありませんか」


「だから土地を取ったのです」


 玉蘭は周囲の平地を見た。


「1か所へ集める必要はありません。兗州、済州、東平へ分けます。草と水が足りなければ、さらに別の牧地を探してください」


「金軍が奪い返しに来た場合は?」


「追い払います」


 玉蘭は迷わず答えた。


「この土地はもう返しません」


 ◇ ◇ ◇


 玉蘭が北へ出たあと、達也も動いていた。


 大量の茶、絹、磁器、薬材、砂糖、香料、金銀などを集め、再び交易商人の倉大業として蒙古へ向かう準備を進めた。


 今回は前回以上の大商いになる。


 買う予定の軍馬は3万頭。


 種馬は2000頭。


 これで蒙古からの大規模な軍馬購入は最後にするつもりだった。


 3月初め、玉蘭の北方軍が兗州へ向かったのとほぼ同じ頃、達也の商隊も北へ向かった。


 玉蘭は金から土地を奪う。


 達也は蒙古から馬を買う。


 2人は別々の場所で、同じ目的のために動いていた。


 4月初め。


 東平を取った玉蘭は、達也へ軍報を送った。


 兗州、済州、東平を攻略したこと。


 黄河より北へは進んでいないこと。


 各地で軍馬を受け入れるための牧地整備を始めたこと。


 そして最後に、短く書き加えた。


『達也様がお戻りになるまでに、3万頭の馬を受け入れる場所を整えておきます』


 軍報を持った騎兵は南へ向かわなかった。


 達也はすでに蒙古へ向かっている。


 達也の商隊を追い、北へ走った。


 その頃、達也は倉大業として、再び蒙古軍の交易所へ近づいていた。


 軍馬3万頭。


 種馬2000頭。


 最後の大買い付けが始まろうとしていた。

 1224年2月下旬、玉蘭は軍馬2万頭と種馬2000頭を維持するには、徐州と宿州だけでは牧地が足りないと達也へ進言した。


 達也は金領へ北上し、兗州、済州、東平を取るよう玉蘭へ命じる。


 3月、玉蘭は契丹騎兵300人を中核に宋軍を率いて北上した。


 兗州では城外との連絡を断って攻略し、済州では金軍騎兵を歩兵から引き離して撃破する。


 さらに東平では包囲と陽動を使い、守備兵を東側へ集めたうえで南から攻め、城を奪った。


 玉蘭は黄河より北へ進まず、兗州、済州、東平の守備を固めると、各地の草地と水場を調べ、大量の軍馬を受け入れるための牧地整備を始めた。


 一方、達也も玉蘭の出陣とほぼ同じ時期に、交易商人の倉大業として再び蒙古へ向かった。


 最後の目標は軍馬3万頭、種馬2000頭である。


 玉蘭が土地を取り、達也が馬を買う。


 南宋北方では、蒙古に対抗できる騎兵軍を育てるための準備が本格的に進み始めていた。

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