12話 レベル4 アポピス戦
中国、北京で現れたアンノウンに世界が反応するのは早かった。それは誰かが政府による規制よりも爆増してSNSに発進されたからだけでなく、既にリーク情報を受け取った他国が警戒をしていたからでもある。
中国といえば観光客問題のみならず、2008年の毒ギョーザ事件や9月の毒ミルク事件など色々と問題が多い、日本に近い国。それは安全保障を度々脅かし、日本以外でも政治的に何かとトラブルメーカーとしての認知がある。そんな中国人の印象は同じ利益に向かって団結する印象があり、既に中国系が増えている国では危機感を持つ国もある。
そんな中国でなにが起きたかと思えば存在を隠しアンノウンの情報を独占しようと他国には知らせず研究を続け、更には利用しようとまで考えていた国だったわけだが、突然動き出した機械タイプのアンノウンに脱走され、街を破壊して回っているのだ。しかし、アメリカや欧州にまだ黙っている辺り、中国はあくまでアメリカに頼るつもりはないようだった。
動いたのはアメリカだった。中国へ協力を申し出た。だが、大統領の計らいを中国はあろうことか断った。むしろ、軍を近づけさせないよう言ってきたのだ。付け加えで《超人》も同様と釘をさして。
それは中国にいたサランにメッセージが届き、一緒にいたユエにも知らされた。
2人は現在、盗んだ車でアンノウンを追っていた。
「それで?」
運転中のサランは横にいるユエに訊いた。ユエは遠くに見えるアンノウンに掌を向けて目を閉じていた。
「駄目」
「駄目?」
「あれから魂は感じない」
「魂がないなんてことあり得るの?」
ユエは首を横に振った。
「生きるということは魂を持つことと同じ。それは動物界に限ったことではない。なのに、アンノウンからは魂が感じ取れない!」
「それじゃ」
「私の能力はアンノウンには通用しない。残念だけどあなたの作戦は使えない」
サランは舌打ちした。
(これなら待機している超人2人に手荒な手を使ってでも来てもらうか?)
アンノウンは今も移動中だが、移動速度は速いとは言えない。これなら車でも追いつける。無論、あれが全速力でない可能性はある。それでもこれ以上被害が拡大するくらいならマシかもしれなかった。
(それにしても国民の避難が全然終えてないのに本当に要請を断ったの!?)
その時だった。上空を複数機の戦闘機が飛んでアンノウンに対し攻撃を開始した。
サランは車内から目視でそれを確認出来た。
勿論、アンノウン相手に人間兵器が通じる筈もなく、放たれたミサイルは本体の手前上空で突然何かに当たったのが爆発した。
(馬鹿ね。アンノウンに対抗できるのは核兵器か《超人》くらいだって分かってる筈でしょ)
アンノウンは戦闘機に向かって頭の穴から赤いレーザーが放たれ、戦闘機は切断され逃げる間もなく爆破した。
他の戦闘機はそれを見て慌てて退避するも、レーザーの方が早く、一機は脱出しようとした刹那爆発に巻き込まれた。
(アンノウンを調べていたならせめて通用する兵器くらい発明してもらいたかったよ)
サランが口に出さないのは隣にいるユエに配慮してのことだった。そのユエは呆気にとられている。
「しっかりして! このままでは皆やられるよ!」
(仕方ない! 2人を呼ぶか)
同刻、エジプト。そこではエジプト軍と共闘で米軍のリーパーからヘルファイアをぶち込んだり、アンノウンに榴弾砲を撃ったり激しい戦闘が起きていた。直撃しても全く効果無し。というより避けようとすらしない。それに対しクラーケンの攻撃はジャンプしてかわす。それも超速で。どんなジャンプしてるんだっていうくらい高く跳んでは急落下を仕掛けてくる。元々蛙というのは視神経は小さな物体が動いたりしたら、強く信号を発する生き物。それが蛙にとっての生存に必要な能力でもあるわけだが、どうもクラーケンの攻撃がよめるようだった。ならばとあずさの能力でミストを蛙の手前で発生させてからクラーケンが攻撃してみると、確かに蛙に攻撃を直撃出来るが、やはりクラーケンの攻撃がそこまで効いていないのか、また高くジャンプし始める。
(やはりクラーケンじゃ駄目なのか?)
「ん? いやいやちょっ!? あいつどこまでいくつもり!?」
蛙は雲を突き抜け見えなくなってしまった。
「これはまずい!? 皆! 急いで逃げて!!」
そう言いながらあずさは全速力で走った。それに続いて皆も移動を開始し一斉に退避を始める。
「そうだクラーケン!」
あずさが振り返った直後、クラーケンが粉々に吹き飛んで地中深くまでそれは落下した。まるで隕石が落ちたみたいに周囲にとんでもない衝撃波が飛び、皆吹き飛ばされた。
あずさはというと衝撃をもろに生身で受け、そのまま意識を喪失した。




