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超人あずさ  作者: アズ
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24/26

12話 未知

【アンノウン警戒レベル】


●アンノウンが存在する可能性ありの場合


レベル1 アンノウン注意報

レベル2 アンノウン警報


●アンノウン脅威レベル


レベル3 クラーケン、サンダーバードなど

レベル4 チェルノボーグなど

「あずさのクラーケンが全く通じていない!」

 ダナムは驚いた。これまであのアンノウンがどれだけ我々に役立ったのか近くで目の当たりにしてきたからこそ、ここまで通じない相手は初めてだった。

 あずさは負けじと水の能力で水竜を創造し、それをアポピスに向け放つも構わず食べ続けていた。反撃に出るわけでもなく、むしろ痛くもかゆくもないといったところか。

「これはちょっと想定外かも……」

 ダナムがそう言うのも無理はなかった。2人の攻撃はどれもアポピス相手では有効打にはならなかった。

 これでは撤退も考えなければならない。

 しかし、当のあずさはまだ諦めてはいなかった。

「ごめんクラーケン」

 アポピスに食べられている足を氷の刃を放ち切断する。

 これで一旦アポピスから距離がとれる。クラーケンの足はこれで99本になったわけだが、アポピスは切断した足を全て飲み込んだ。そして皮膚の袋を膨らませると鳴き声ではなくメロディーが辺りに響き渡った。美しい音程と旋律。これだけでは伝わらないだろう。何故なら美しいという言葉は多くは視覚的なものであるからだ。それでも聴覚的に美しい旋律というものがある。これは抽象的でそれを言葉であらわすのはもとより難しい。中には科学的に計算されたメロディーというのを理論的に説明出来る者がいるのかもしれない。だが、そんなこんなを考えている余裕など当然ある筈もない。







 同刻。中国ではユエの地下のアジトで彼女が集めた情報をサランにも見せ、今後について話しを終え暫くサランは地下で身を隠し、ユエはこれまで通り転生術とやらでお偉いさんに新たな肉体を与えながら情報を聞き出していた。 

「あんたの転生術? は肉体と魂を切り離しているってこと?」

「そうよ。新たな肉体に魂を宿すことで新たな活動を得る。よく言うでしょ? 肉体からの魂の解放って。つまりは魂が我々の知る世界に留まってる限りにおいては肉体は重要になる。肉体とは感覚器官、つまり五感から意識へ向かい認識し人は世界を把握している感覚世界にいるわけ。私達のいる世界の話しね。だから肉体はイコール感覚器官は感覚世界に繋がっていくわけ」

「逆に肉体がなかった場合魂はどこへ行くわけ?」

「さぁ? それ、私に聞く?」

「分かった。それじゃあさその魂を引き抜く能力をアンノウン相手にする場合はどうなるの?」

「アンノウンに? どうだろう……私の能力で肉体から離れた魂は一度感覚世界からいなくなる。五感という感覚がなくなるからね。だから皆魂を抜かれている間の記憶がない。たまに、幽体離脱したみたいな感覚があったという人はいるけど、それは感覚世界にまだ魂がいる時で肉体から完全に離れた時に現れた現象とは言えないわね。」

「今の理屈だと肉体を失えば何も出来ない?」

「肉体がない魂は死者の魂と同じく万物の根源にかえるでしょ。だから私の能力は死者を蘇らせることは出来ない」

「なら、その作戦でいこう」

「嫌よ。あなた分かってるの? そこに人間も含まれてるのよ」

 その時だった。大きな地震が長い時間続いた。

 ユエもサランも突然の地震に頭をおさえながらその場でしゃがみ込んだ。

 棚にあった小道具や本が落ち床に散乱し天井にぶら下げてある照明器具が左右に揺れた。

 揺れが収まるのを待ってから立ち上がると、直ぐに地下から地上へと急いだ。

 地上に2人が出ると、外は逃げ惑う喧騒と遠くでビルが倒壊、火災が発生していた。

 すると放送が流れだした。


〈アンノウンが北京に発生しました。住民は直ちに避難誘導を開始して下さい〉


「アンノウン!?」とユエは驚いた。

「もしかしてもう動き出した!?」

 それは突如北京に現れた。全身シルバー色に見た目タートルブロックみたいな頭に蜘蛛のような八本の足、胴体は饕餮とうてつ文様と似た紋様が浮かんでいた。全高30メートルの巨大アンノウン。頭にある穴から赤い光が光ると、それは移動を始め建物を破壊し始めた。







 場所変わってウクライナ。病院を出た『白い悪魔』とペデルセンは呼んでおいたタクシーに乗り込んだ。

「それで本当なのか?」と訊いたのはペデルセンだった。

「本当だ。アンノウンはこの世界の根源から生まれたんじゃない。別の根源から生まれたんだ」

「どういう意味だ?」

「つまり、別宇宙からきた」

 まさに、この世界にとっての未知アンノウンということだ。

「君はまさか一人でそこまでのことを調べあげたのか?」

「協力者はいたさ。ころころ変わるけれどね。今は君が僕のパートナーさ」

「少し整理させてくれ。まず、君はアンノウンについてどこまで分かったんだ?」

「まず、僕達の世界について。ビックバンによって宇宙が誕生したこの世界がまずある。言い方を変えれば根源から生まれたこの世界がある。その世界を僕達は身体を通じ世界を認識している。だが、厳密には認識している世界と実際の世界にはズレがある。僕達が個々に持つフィルターのようなものだ。それが厄介なものでね、五感によって得られた客観的は主観と同じ意識の場で僕達の頭の中で処理されているからそうなるんだろう。だからフィルターにかけられる前の世界と僕達それぞれの認識する世界をまず分ける。これは皆それぞれが認識する世界観が必ずしも一致しないという前提があるからだ。勿論、共通認識はある。その上でとりあえず僕達が認識する世界を感覚世界と考えてみると、世界とは何かという問いが立ち上がる。あとは根源とは何か? 神という人もいるだろう。ただし、ここで問題が生じる。僕達が知らない領域をどう語るのか? つまりまだ科学が到達していない僕達の認識外の《未知》について。つまり、僕達のいる感覚世界にはいなかった存在者」

「アンノウンは既に存在していた?」

「いや、その理屈はおかしいことになる。何故、急に僕達の世界に現れたのかという問題が。だから別宇宙、別世界と思うんだ。つまり、別の根源から生まれた未知」





 




 

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