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超人あずさ  作者: アズ
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23/23

11話 雪降るエジプト 後編

 エジプトの《超人》を簡単に説明すると褐色で軽く刈り上げた短髪に長身で目が大きく、そしてよく分からない独特な香水? 匂いがそいつから漂ってきてずっとなんか喋ってるが言葉が分からず何言ってるか分からないがとにかく陽気な奴。年齢は23とダナムが教えてくれた。

「英語は喋れる?」とあずさは英語で訊ねるが、男は首を横に振った。

「それじゃ通訳がいるな。共闘に支障出ないかこれ」

「一様通訳アプリを通じてお互い通信が出来るようにするけど」とダナムは答えた。

「分かった。それじゃ宜しくシャリーフ」

「宜しくあずさ」

 それからはアプリを通じシャリーフと会話が続いた。まず、戦闘になるにあたってまだカイロにいる人々を避難する必要が会議でなされたが、一部は残ることを選択した人達がいて全員とはいかないことが政府から告げられた。更に、街の方へは被害を最小限に留めて欲しいと要求されたがそれにはあずさは断った。

「相手は強敵だ。簡単にいくわけないだろ。それは約束出来ないな」

「あずさ、君の強さを見込んでお願いしてる。皆カイロが好きなんだ」あろうことかシャリーフは政府側の味方についた。あずさは本気か? と疑った。

「悪いがピラミッドも守ってはやれない。優先事項はアンノウンの討伐。これは譲れない」

 最後は政府もそれを承知し、その上でアンノウン討伐を2人にお願いした。

 会議を終え街の外を見るとまだアンノウンに向け祈りを続ける一部がいた。

「お前達の神はそんな分かりやすい存在なのか? いや、あんなのが神なのか?」

「あずさはどこの宗教なの?」

「宗教て程はないよ。でも、あれは神なんかじゃない。神ってのは存在するものなのか? いや、いるいないとかじゃなくてさ、神はこの世界の根源的なものじゃないのかな。創造主みたいな」

「成る程」

「だから神がなんでアンノウンという侵略者が現れたのに救いに現れないかってさ、現れたら存在でしょ? 目の前に現れなきゃ信じられない程度なら信仰には程遠いよ。なら、私みたいに清々しくそんなの考えなきゃいい。私はそんな考えるより自分のこと考えるよ」

「そういう割には世界を救ってるね」

「なんかそれ他の誰かにも言われたよ。別にヒーローなんてがらじゃないよ私は」

「そうかな?」






 その頃、とある病院の特別病室に《超人》ペデルセンが現れた。その病室にはチェルノボーグの戦闘で傷を負って現在療養中の『白い悪魔』が横になっていた。

「おや、珍しい面会者だこと。何の用かなペデルセン」

「勿論お見舞いだよ」そう言って花束を見せた。

「しかし、随分と回復が早いんだな」

「ああ。先生も驚いていたよ」

「《超人》は皆そうなのか?」

「さぁ? それで、見舞いは嬉しいがそれは建前だろ? 本題に入ったらどうだい?」

「分かった。先程だがエジプトでアンノウンレベル4が発見したそうだ」

「ああ、それならニュースで知ったよ。どうやらあずさが向かったようだね。彼女も引っ張りだこだ。クラーケンを操る彼女にはもっともらしいけど」

「一方で中国にもレベル4のアンノウンがいるとほぼ分かった」

「それも知ってる」

「なら、君も分かるだろ。もし、この状況で新たなレベル4のアンノウンが動き出したらどうなるかくらい」

「まさかそうなのか?」

「もう、我々しかいないんだ」

「分かった。それで、アンノウンはどこに現れた?」

 ペデルセンは場所を教えた。それを聞いた『白い悪魔』は目を見開いた。

「それは!?」








「おじいちゃんが言うにはカイロは元々喧騒にあう街で観光客も沢山いたんだって。でも今じゃ観光客はほとんどいない。それどころか街の人もここを去るようになった」

「……」

「僕は元のカイロに戻って欲しい。駄目かな?」

「私に訊いてどうする? それは自分の命より大事なことなのか? それは命をかける程大事なのか?」

「分からない」

「私はさ、いざとなれば逃げるしあなたもそうしなよ」

「あずさ」

「ん?」

「僕は逃げるわけにはいかないんだ。もし、君の国だったら君は逃げる?」

「どうかな。シャリーフは私のこと勘違いしてるよ。私は無敵じゃないし普通に怪我するし死ぬよ。だからさ、アンノウンに戦い続けてたらいつか負けてもおかしくはないと思ってる。チェルノボーグだって『白い悪魔』が教えてくれた情報がなきゃ倒し方も分からずそのままやられてたかもしれない。この世に絶対なんてないんだよ」

「なんでアンノウンなんかが現れたんだろう」

「さぁね。考えるだけ無意味じゃない?出ちまったもんは仕方ない。むしろ、どうするか」

「あずさは強いね」

「はい?」

「僕はそういう風に割り切れないな」

「そう……なのかな?」

「ほとんどはあずさみたいに強くはなれないよ」

「買いかぶりだよ。もうしょうがないじゃんって感じで適当なだけだから私」

「僕、あずさのこと好きになっちゃった」

「は? ちょろ過ぎだろ」






 アンノウンに立ち向かう前に私達は腹ごしらえにビュッフェをご馳走になった。炭水化物がエグいエジプト料理のコシャリやターメイヤと呼ばれるそら豆のコロッケ、あと肉料理に緑色が目立つモロヘイヤスープを食べた。因みにモロヘイヤというのはモロヘイヤという葉っぱのこと。クレオパトラが愛したというが味は美味しくニンニクも感じて元気の出るスープって感じだ。

 料理を食べ終われば早速アンノウン戦の準備に取り掛かる。

 エジプトを含む多国籍軍の出動。カイロを守る守備隊、あずさ達を援護する部隊とわかれアンノウン戦に突入していく。

 そして、本作戦からアンノウンに名がついた。アポピス。太陽神ラーと戦う宇宙の秩序をこわそうとするもの。神話からとってつけた名だが、意味なんかない。名前がないのが不便だからだ。

 そして定刻。作戦は開始。あずさ達を乗せた装甲車が走る。既に除雪車が雪をこの作戦の為に行っていた。

 目の前にはピラミッドが見え、その上空を数発のミサイルが飛んだ。その先は激しい吹雪によって視界が悪く目視では特定は出来ない。

 着弾。爆発音と共に炎があがり煙が空に広がっていく。衝撃波が近くの積もった雪を振動させ崩す。

 例のメロディーとやらは聴こえてはこない。だが、視界の悪い吹雪から黒い影が現れると、吹雪の中の青い光が二つ見えた。それが眼光だと気づくにはもう少し近づいたあとだった。装甲車が止まり私とシャリーフは降りると装甲車は一度後退した。

 吹雪が少しやみ始め、正体が徐々に顕になる。それはピラミッドよりも背のある巨体。だが、巨体なアンノウンは慣れっこだ。あずさはペットにしたクラーケンを能力で出現させる。その横でシャリーフは掌から砂を発生させた。シャリーフの能力は砂と土を生み出したり操作する能力。エジプトらしい能力だ。

 そして目の前にいる敵は白い図体に見開いた青い目を持つ蛙のような化け物。その時、鳴嚢めいのうと呼ばれる皮膚の袋が膨らみ音を奏で始めた。




 美しい旋律を奏で引き寄せて、のこのこ現れた餌に巨大な影を見せ戦慄させた後、パクっと喰らいつく、肉食の怪物。その声は多様で自在の両声類。

 レベル4/音の支配者アポピス 両生類





「私さ蛙苦手なんだよね」

「へぇーあずさの苦手発見」

「真面目にやってよね」

「勿論」

 シャリーフはそう言ってアポピスに負けない巨大なスフィンクスの頭をしたゴーレムを生み出した。その巨体で硬化した剛腕でアポピスの顔面目掛け拳を放った。それは凄い衝撃だった。

「うおっ!? もう決まったか?」

 だが、シャリーフは不穏な顔を浮かべた。

「いや……」

 シャリーフが創造したゴーレムの腕にヒビが入るとそこから折れて砕け始めた。

「思ったより頑丈だぞこいつ」

「蛙のくせに!?」とはいえアンノウンだ。此方の常識は通用しない。そういえばミサイルを直撃しても無傷なところ、相変わらずの硬さということか。

「クラーケン!」

 クラーケンはあずさの意図を感じ、直ぐに長い足で蛙野郎に巻き付いた。

「このまま絞めるよ」

(やはりこいつ氷系に耐性があるのか)

 普通なら巻き付かれた時点で氷漬けされるのだが一切その様子はない。

 すると突然、蛙が巻き付いて離れないクラーケンごとジャンプした。

 それは空高く飛び雲をこえると、ゴーレムへ直下した。

 粉砕されたゴーレム。更に大地震が起きたかのような激しい揺れが起きた。クラーケンはその衝撃で足が緩みその場に倒れ込む。つかさずアポピスはクラーケンの足を喰らいついた。

「こいつなんでも喰うのかよ」

 クラーケンは起き上がり、残りの足でアポピスをタコ殴りにしだした。

 それでもアポピスは怯まずクラーケンの足を食べ続けた。

「なんなのこいつ……」


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