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超人あずさ  作者: アズ
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20/23

9話 レベル4 チェルノボーグ戦

 電気が通ってない街や外灯のない暗闇の道を永遠に走り続け一つの目的モスクワへ目指すあずさとダナム達はゴシック建築や新古典主義建築の建物があったりするヴォロネジをこえて、いよいよモスクワへと近づいていた。

「今更だけどなんでさ『白い悪魔』なの? あいつ能力風でしょ? 私の水と風ならなんか出来そな感じするからいいんだけどさ」

「やっぱり能力には相性みたいなのがあるのね。まぁ分かってはいたけど、能力については《超人》にしか分からないから」

「その《超人》という言い方もさ誰が付けたのさ」

「あら、英語ならスーパーマンよ。それとも別の言い方がいい? ユーバーメンシュとか」

「ドイツ語かよ」

「あら、なんで分かるの!?」

「ニーチェ繋がり」

「ああ、成る程ね。別に深く考える必要はないわ。単に超人的な力を持ってるからってだけよ」

「それでなんで『白い悪魔』なのさ」

「本当に今更ね」

「うるさいなぁ。さっきそう言ったろ?」

「『白い悪魔』がフィンランドなのは知ってるわよね? そのフィンランドの伝説の狙撃手シモ・ヘイヘという人物がいて、ソ連相手に活躍したことから白い悪魔と呼ばれるようになった。理由は白い迷彩服を着ていたからよ。あれがそう呼ばれるのは風使いであり、狙撃の名手だからよ。能力と相性がいいわけ」

「成る程ね。しかもそいつは今ロシアにいるわけだ。なんの因果か」

「まぁ確かに」







 その頃、モスクワでは光の流星群を『白い悪魔』に放って奴が消えて暫くたった頃、チェルノボーグの放つ白い光が一瞬赤色になった。



 何故だ。何故まだ生きている?




 それはモスクワから離れ移動中の『白い悪魔』のことだった。

「おや、もうバレたのか。しかし、こっちの攻撃はすり抜けるのに光の矢は攻撃が通じるとは……全く都合がいいこと」

(実際光は物質ではないから物理的な攻撃が通らないのは分かるが、矢がエネルギーを利用しているのなら此方の盾はすり抜けないと思ったらやはりな)

 光は物資ではないから光が熱を持たないのは分かる。竜巻で破壊した建物の残骸を瞬時に盾にしたのは良かったが、その盾も貫いて穴をあけたからあの光線はレーザー切断みたいなものか。

 既に体からは血が垂れていた。

(やれやれ)

 運がいいのか悪いのか致命傷は避けれた。

(というかなんであれでまだ生きてられてるんだ)

 チェルノボーグは驚いていたが自分だって驚いてる。

 しかしだ、あの攻撃を見せた時分かったことがある。それは空に光るあれでなく、その真下にあるクレムリンの方。真っ黒に染まった禍々しい城に変化したあれだが、攻撃の刹那、黒いのが動いたのが見えた。

(恐らく、あれが本体。とはいえ、こちはの)

 『白い悪魔』は自分で体を見た。

(これでは逃げ切るのは難しいか……)

 その時、クレムリンの真上が再び光を放った。こんどは光の流星群ではなく、極太の直線攻撃。まるで、荷電粒子砲のような。

 だが、流星群のような光線と違い極太の光は『白い悪魔』のいる場所から逸れた場所に命中し大爆発が起こった。離れていたとはいっても爆風の範囲内。それだけでも人間なら巻き込まれて死んでいるところだが生憎風は自分の操作範囲だ。風が『白い悪魔』を避けていく。

(酷い命中率だな。だが、今ので攻撃パターンがよめた。流星群のような技は熱エネルギーへの変換、レーザーのようなもので直線。極太は命中率が下がるが威力は高そうだ)

 クレムリンの黒いのが蠢くと、刹那上空の光から再び流星群のように光線が放たれていく。

(やはりそうくるよな)

 『白い悪魔』が覚悟を決めたその時、光線は『白い悪魔』と別の方角へと飛んでいった。

(いや、待て。チェルノボーグはどこを狙ってるんだ?)

 直後、その方角から突然巨大なタコの足、いやクラーケンが現れた。

「あれは……あずさが近くにいるのか!?」






「先頭車両の連中がやられた」

 車両の外に間一髪逃げ出していたあずさ達は空から飛んでくる光線にあずさがいち早く反応したおかげで多くは生き残った。

「なんで気づいたの?」

「なんか凄く嫌な予感が突然したの」

「まさか新たな能力が!?」

「分からない。とにかく敵はまだ遠いよ」

「でも、攻撃がどっから来たのかは分かったわ。場所はクレムリン」

 あずさは能力で従わせてるクラーケンを出現させた。

「それじゃ近くに『白い悪魔』がいるかもね」






 『白い悪魔』はこの状況に笑い出した。

「まさかまだ天が味方してくれるなんてね」

 『白い悪魔』は街の残骸から兵士急募のポスターを見つける。あとはペンさえあればチェルノボーグの情報をあずさに伝えられる。だが、時間がとにかく惜しい。その時、自分の手が真っ赤なことに気づく。そして人差し指でポスターの裏側に書き始めた。

 英語で書いて途中で日本語でなくてよかったか迷ったが、あずさが英語も喋っていたのを思い出して、構わず英語で書き続けた。

「よし……」

 あのクラーケン辺りにいると信じて風でポスターを飛ばした。

 あそこまで飛ばすくらい造作もない。

 そこで尻もちをついてそのまま座り込んでしまった。

(まだ死ぬわけにはいかないな)







 あずさは空にポスターが風で飛んでくるのに気がついた。ダナムはそれを見てもなんとも思っていなかったが、あずさには奇妙に見えた。ポスターがクラーケンの近くをずっと飛んでいるからだ。

 あずさはダナムに言う。

「フレアガン使って」

「どうして?」

「いいから。『白い悪魔』に私達の場所を教えるの」

「分かったわ」

 ダナムは兵士に命令して、兵士はフレアガンで信号弾を発射する。

 空高くに放たれた赤い光に『白い悪魔』は気づくとポスターはその辺りを飛び、そして地面へと落ちた。急いで追いかけるあずさはそのポスターを拾い上げる。

 裏には血文字でチェルノボーグについて情報が書かれてあった。

「ダナム! 『白い悪魔』は怪我してる。多分アンノウンにやられたんだ」

「死んだの?」

「いや、あのポスターを飛ばしてたのは風の能力だから生きてる」

「なんて書いてあるの?」

「クレムリンを狙え。空の光は攻撃しても無駄。光線に気をつけろ」

「それって」

「本体はそこってことでしょ」

「でも、どうやって近づくわけ? 見たでしょあの光の雨を。装甲車もやられてしまったのよ」

「やらなきゃ皆全滅する。ここはモスクワなんだから動かせる車くらいあるでしょ。なんとかして!」

 兵士は頷くと急いで車を用意した。

「装甲車なんて意味ない。それより一番速い車の方がいい」

 それから暫くたって兵士が乗ってあらわれたのはアウルスの高級車だった。あずさは呆れた顔して溜め息を漏らした。

「いいんだけどさ、真面目に探しんだよね。ただ乗りたかっただけじゃないよね」

「あら、いいじゃない。早く乗りましょ」

 あずさは一度クラーケンを戻し車へと乗り込んだ。

 それを空から見ていたチェルノボーグはクレムリンの黒いなにかが蠢き、空にある光を強めていった。



 小賢しい蟻ども。中々小さいくせによく動く。しかし、それにしても何故避けれた。あの『白い悪魔』もまだ息をしている。解せぬな。これも《超人》のもつ能力なのか。



 クレムリンの上、白い大きな光から再び流星群の光線を放った。

 それに気づいたあずさは「来るよ! 必死に避けて」と無茶難題を運転手に押しつける。

 次々と降り注ぐ光の雨。それは次々と地面に穴をあけていく。

 アクセル全開でスピードをあげていくも運転手の兵士は叫ぶ。

「これ以上は無理です!」

「なら止まって!」

 急ブレーキがかかり、即座にクラーケンを盾にする。

「ごめん!」

 クラーケンの足に幾つもの焦げ目がつくが分厚い肉と氷の能力で必死にガードをする。

 光の雨が止むとあずさは「出して!」と叫ぶ。

 アクセルをめいいっぱい踏み込むと車はスピードをあげてクラーケンの盾から出た。

「次の攻撃にタイムラグがある。その間に全力でクレムリンに近づいて!」

「め、目の前になんかいます!」

 それは化け物の群れだった。

「あれが調査団を襲った怪物!」とダナムは大声をあげる。

 だが、あずさはそれどころではなかった。

(タイムラグの予測からそろそろ次の攻撃が来る、しかも大きいのが! 多分クラーケンを狙ってだ)

 あずさは急いでクラーケンを戻しながら窓をあけて手を出すと水の能力で前方にいる怪物達を津波のような大量の水で押し流し道をつくる。

「本当に忙しい!」

(『白い悪魔』は戦えないの? 援護が欲しい)

 直後、強い極太の光が空を駆け、クラーケンが先程いた場所付近に落下し、そこを中心地に大爆発を引き起こした。爆風が起き、走っていた車が浮いて空を飛んだ。

「もう駄目だー!!」兵士が叫んでるとあずさはドアをあけて皆に出るようにいった。

 龍のようなかたちをした水を創造すると、外に脱出した皆を飲みこみ、水の急激な流れを利用しクレムリンへ一気に近づいた。

 あずさは兵士とダナムの呼吸が限界なのを見て水を解くと、全員地面へ転がるように着地した。あずさだけは一人走り目の前の怪物達を水で押し避けながらクレムリンへ一直線に向かった。



 何故分かった!



 クレムリンの禍々しい姿、それをつくりだした黒いなにかが蠢き、刹那空から光の雨が降り注ぐ。直ぐにクラーケンを出して盾にすると、そのまま巨大なタコの足がクレムリン目掛け踏み倒した。

 今度は空からでなくクレムリンの方から悲鳴のような鳴き声が響き渡った。空にあった光が消え、ロシアを覆った闇が開けると、本物の太陽の光が空から顕になる。

 太陽の光を浴びた蠢く黒いアンノウンは煙をあげ燃え始めると一瞬で灰となって空高く散っていった。

「あれは黒い虫か?」

 クレムリンが禍々しい城から元の色を取り戻すと、クラーケンの足で真っ二つに破壊されたクレムリンだけが残った。

 闇があけたのを見た『白い悪魔』はあずさがチェルノボーグを討ち取ったのを確信した。

「遂に人類が倒せなかったレベル4相当のアンノウンを倒したか」

 その空はとても眩しいもので、虹が出来ていた。





 レベル4/虫型・チェルノボーグ  駆除完了


 

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